弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪ルポ−内部告発(なぜ組織は間違うのか)≫

著者は朝日新聞の奥山俊宏記者、村山治編集員、横川蔵利記者達である。
朝日新聞社発行。798円(税込)
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9737

この本は単なる内部告発をルポした本ではない。

企業などの組織が「内部告発」があったときに、どのように対応するべきか、その「成功例」「間違う例」を「生きた教材」で教えてくれる「ルポ」である。

内部告発に対処するコンプライアンス担当者はもちろん、企業などの組織のトップ達も、是非一読するべき本であろう。自らの組織に「内部告発」があったときに誤らない為にも。

第1章 最大の隠ぺい会社、三菱自動車のクレーム隠しについて、組織の対応を誤った、「反面教師の男」として当時の社長の刑事事件がルポされている。

第2章 「ミートホープから船場吉兆まで」食の偽装会社の経営者の内部告発への対応の「失敗例」が報告されている。読者にとって、バラバラの知識だった偽装会社の実例が、最初から終わりまでルポされることにより、組織の対応の誤りがよく解る。

ミートホープや船場吉兆などで最初に社長などは、部下がやったという見苦しい弁明が繰り返されている。三笠フーズの社長も最初は同じ弁明をしていた。

内部告発に対する組織の対応=誤りが、何ら「勉強」されていない状況がよくわかる。

この章の最後に「告発の連鎖」がなぜ起こるかのかの中で、
私の【内部告発は流行する】http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/52332245.html
の一部が引用されている。

第3章 「コンプライアンスと内部通報に企業、組織がどう向き合っているか」では帝人グループの副社長が「あなたの内部通報のおかげで自主申告できた」と感謝した実例がルポされている。

他方で大阪トヨタ自動車が内部告発者を通報の翌日「自宅待機」させ「組織の対応の失敗事例」などが報告されている。その上、通報に相談にのった弁護士がその通報者の氏名を会社に知らせるという失敗の連続例も報告されている。

【内部告発者の実名を会社に教えた弁護士は「懲戒相当」】
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/54257142.html

第4章は「地方自治体と取り組み」の中で、大阪市の元天敵だった辻公雄弁護士をコンプライアンス担当に迎え、成功している実例がルポされている。宮城県の東国原知事の「職員に通報を義務つけた」実例なども参考になる。

第5章では「検察の裏金」問題、第6章では金沢大学における専門職である医師の内部告発、第6章では千代田生命の元常務の告発、第8章では元祖内部告発のトナミ運輸の串岡さんの戦いなどがルポされている。

下手な「内部告発への対処」の研修などを受けるより、この本を一冊読む方が、もっと安くて価値があるように思う。

多くの企業や組織の内部告発に関係する人達がぜひ読むべき一冊である。

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