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田母神俊雄・前幕僚長(60)は「自衛官にも言論の自由がある」と国会で強弁したそうだ。
反戦自衛官が、ある集会などで、自衛隊の活動を批判した。
この自衛官は田母神と違い、即刻懲戒免職された。
この懲戒免職処分の取消訴訟において当時の防衛庁は、懲戒免職を正当化する為に「自衛官にも表現の自由がある」というテーマーに関して、どう主張したかを見ることは今回の事件を考察する上において大いに参考になる。
判例は次の2件。
1 平成12年10月25日東京高等裁判所航空自衛隊隊員懲戒免職処分
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=18804&hanreiKbn=05
この裁判での防衛庁の主張を田母神俊雄・前幕僚長に当てはめると
*戦前の歴史について『事実を誇張し、歪曲したり、事実に反するものであり、その中で言っている事項は、自衛隊の任務及び自衛隊員の服務の本旨や遵守すべき義務とはおよそ相容れないものである』
*本件内容は、『正当な手続を経て決定された内閣等の国の政策につき、一方的かつ過激な表現をもって公然と非難するとともに、右政策決定を前提とする上司の命令に服しようとしない態度を明らかにしたものである』
*田母神俊雄・前幕僚長の行為は、『自衛隊の制服や官職を利用し、それによる対外的な宣伝効果を意図したものであって、到底真摯かつ誠実な政策批判・・・・とは言い難いものであり、その実質において憲法、内閣の決定に対するいわれのない誹謗中傷である』
*したがって、田母神俊雄・前幕僚長の行為が法第四六条第二号の「隊員たるにふさわしくない行為」に該当することは明らかである。
となり防衛庁の以前の主張からすると「懲戒免職」が相当となる。
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平成12年10月25日東京高等裁判所航空自衛隊隊員懲戒免職処分
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=18804&hanreiKbn=05
この裁判で防衛庁は次のように隊員に関する『表現の自由』の制約、および懲戒免職が相当であると以下のように主張した。
(1) 自衛隊は、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものであり(自衛隊法(以下、単に「法」という。)第三条第一項)、その実力組織としての特性から、行政組織の中でも特に政治的中立を保ちつつ一体となって国民全体に奉仕すべき責務を負うものである。換言すれば、自衛隊は、正当な手続過程を経て決定された国の政策を忠実に遂行すべき責務を負っているということができる。
そして、自衛隊を構成する自衛隊員は、服務の本旨(法第五二条)にのっとり公正誠実に職務を遂行する義務を負う(法第五六条、第五七条)とともに、職務遂行中であるか否かを問わず、隊員としての品位、信用を傷つけ又は自衛隊の威信を損なう行為をしてはならない義務を負っているのである(法第五八条)。
しかして、法第四六条第二号にいう「隊員たるにふさわしくない行為」とは、自衛隊員の国民全体の奉仕者としての地位及びわが国の防衛というその職務の特性から導き出される、隊員の服務の本旨に反する行為ないし国民の期待する隊員としてのあるべき姿に反する行為であって、自衛隊の規律又は秩序の維持に関連を有する行為を指すものということができる。
そして、このような観点からすれば、通常の判断能力を有する自衛隊員が社会通念に照らして判断すれば、具体的な場合に当該行為が「隊員たるにふさわしくない行為」に当たるか否かはおのずから明らかであって、その適用について恣意的、差別的な解釈の入る余地はない。
勤務時間外であっても、自衛隊員が国の政策を批判することは、その内容、手段、態様によっては、服務の本旨に違背し、国民の自衛隊及び自衛隊員に対する威信、信用を傷つけることにもなりかねないのであるから、このような場合には、法第四六条第二号の「隊員たるにふさわしくない行為」に該当するものとして、懲戒処分の対象となることは当然である。
(2) 自衛官(控訴人)らが防衛庁正門付近で読み上げた前記「要求書」の内容は、自衛隊の沖縄配備及び立川移駐について、事実を誇張し、歪曲したり、事実に反するものであり、その中で要求している事項は、自衛隊の任務及び自衛隊員の服務の本旨や遵守すべき義務とはおよそ相容れないものである。
また、前記「声明」の内容は、正当な手続を経て決定された自衛隊の沖縄配備等の国の政策につき、一方的かつ過激な表現をもって公然と非難するとともに、右政策決定を前提とする上司の命令に服しようとしない態度を明らかにしたものである。さらに、控訴人が四・二八中央総決起集会において演説した内容は、自衛隊に対する根拠のない誹謗中傷を交えながら、政府の決定した自衛隊の沖縄配備等の国の政策に理由のない非難を加えて反対し、右政策決定を前提とする上司の命令に服しようとしない態度を明らかにしたものである。
(3) 自衛官(控訴人)が防衛庁正門付近において行った行為及び四・二八中央総決起集会において行った行為は、自衛隊の制服や官職を利用し、それによる対外的な宣伝効果を意図したものであって、到底真摯かつ誠実な政策批判ないしは処遇改善の要求行為とは言い難いものであり、その実質において自衛隊に対するいわれのない誹謗中傷である。
(4) したがって、自衛官(控訴人)の右各行為が法第四六条第二号の「隊員たるにふさわしくない行為」に該当することは明らかである。
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2 平成5年09月06日東京高等裁判所反戦自衛官懲戒免職
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=19005&hanreiKbn=05
この裁判では、当時の防衛庁は≪ 隊員の表現の自由の制限とその必要性について≫
以下の通り主張した。麻生、防衛大臣らは、田母神前幕僚長を懲戒処分にしなかった理由に『表現の自由』を持ち出しているが、下記防衛庁の見解はどうなったのか?
≪自衛隊員も国民の一人として表現の自由の保障を受けるものであることは自衛官らの主張するとおりである。しかしながら、自衛隊は、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ことを任務とするもので(自衛隊法三条一項)、そのために必要な武器を保有し、防衛出動又は治安出動に際しては武力の行使又は武器の使用を認められている実力組織であり、わが国の防衛政策の根幹をなす組織として国民の負託を受けて設置されたものである。自衛隊員は右任務に携わる特別職の国家公務員として、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、その任務の遂行に当り、もって国民の負託にこたえるべきものとされている(同法五二条)。
すなわち、自衛隊員には、右任務を効果的に遂行するため、防衛出動等の機会に限らず、不断から、厳格な規律と強固な団結を保持することが要請されているが、これは実力組織としての性格に由来する本質的な要請である。防衛という国家の重大な行政目的を適正に遂行させるために極めて強大な実力を付与してまで右任務を自衛隊に負託した国民の信頼こそは、自衛隊の存立の基本である。
この国民の信頼を揺るがすことのないよう、自衛隊員は品位を重んじなければならないのであり、隊員としての信用を傷つけたり、自衛隊の威信を損するような行為をしてはならないことは当然である。厳正な規律と強固な団結の保持及び信用失墜行為の禁止の見地から、自衛隊員の表現の自由が制約を受けることがあるのは止むを得ないところである≫
『転送、転載、引用自由』
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