弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪選挙管理委員らへの月1・2回の会議で報酬、差し止め判決…大津地裁≫

この大津地裁の判決は地方自治体の関係者にはショック。
実務に大きな影響を与えるだろう。

自治体の労働委員会、選挙管理委員会、収用委員会の各行政委員の報酬を月額で一律に決めているケースが多い。県レベルだけでなく、市町村でも選挙管理委員会なども月給にしているからである。

この判決の原告は弁護士で、以前に滋賀県で県会議員をしていた。

新幹線の自治体の起債の差し止め訴訟などでも勝訴した。住民訴訟でこの人を超える人はいないほど有名。普通の県の弁護士や指定代理人では、太刀打ちできない力量の持ち主。着目点も実にすばらしい。
判決を知るなり、原告の弁護士から、PDFで全文を頂いた。

原告の吉原弁護士の裁判の動機などが記載されたサイト参照
http://www.jlaf.jp/tsushin/2009/1298.html#01

判決理由は簡単明瞭。

これらの非常勤委員の勤務実態は月1回から2回であるのに、委員長で月226,000円、平の委員で月202,000円が支給されている。

ところが、地方自治法の203条の2の条文に、非常勤委員の報酬が「勤務日数に応じて支給する」と記載されているのに、月給で支払っているからであるという。

県は、定例の会議は月1回か2回だが、その準備にこれらの委員は「研修、勉強、研鑽など」があるという反論を行った。

しかし裁判官は、そのような事情があっても、違法という。
おそらく滋賀県が控訴しても、大阪高裁でもこの判決が維持されるであろう。

5年前にNHKの経営委員の報酬も勤務日数に応じて支払うという規定があるのに月給で固定給を支払うことが違法という要請をした。同じ問題点である。
http://kabuombu.sakura.ne.jp/archives/nhk13.html

【注】自治体の関係者の方で、この判決の必要な方はこのブログの「取材・連絡方法など」のアドレスに連絡してくだされば、PDFファイルで送ります。
――――――――――
地方自治法
第203条の2  
1 普通地方公共団体は、その委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。

2  前項の職員に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない。
―――――――――――――――――――――――――――――
労働委員ら月1・2回の会議で報酬、差し止め判決…大津地裁

 滋賀県の労働、選挙管理、収用の各行政委員(非常勤特別職)が月1、2回の会議などに出席するだけで月額約22万〜19万円の報酬を得ているのは、地方自治法に違反しているとして、吉原稔弁護士(滋賀弁護士会)が、嘉田由紀子知事に報酬の支払い差し止めを求めた訴訟の判決が22日、大津地裁であった。

 石原稚也裁判長は原告側の主張を全面的に認め、差し止めを命じた。行政委員の月額報酬について違法性を認定する司法判断は初めて。現在、ほとんどの都道府県が行政委員の月額報酬制を導入しており、影響を与えそうだ。

 訴状などによると、労働委員は15人いるが、1997〜07年の不当労働行為申し立ては、年平均2件。選管委員は4人が月1回、半日程度の会議に出席している。土地取得などを担当する収用委員は7人で、2000〜07年に年平均3件の裁決しか行っていない。
 地方自治法では、非常勤職員の報酬について「条例で特別に定めた以外は、勤務日数に応じて支給する」と規定。訴訟では、報酬額が勤務実態に見合っているかや、月額報酬制を定めた条例が法の趣旨に反していないかが争点となっていた。

 判決で、石原裁判長は「(月額報酬制は)勤務実態が常勤職員と異ならないといえる場合に限られる。滋賀県の場合、勤務実態は常勤職員と異ならないとはとうてい言えず、法律は勤務日数によらないで、報酬を支給することを許していない」と指摘した。

 県の調査によると、2008年1月1日現在、労働、選管両委員は全都道府県、収用委員については43都道府県が月額報酬制。

 判決について、吉原弁護士は「画期的だ。今後、全国の自治体の報酬制度が見直されるだろう」と評価。滋賀県は「県の主張が認められず残念だ。判決の内容を詳細に検討したい」としている。

(読売新聞から引用)

西松建設の役員らは連帯して約5億円余を会社に返すべきだ。

西松建設のOBが設立した政治団体(新政治問題研究会、未来産業研究会)が設立(1995年)から解散(2006年)まで、個人の会費で集めた金は合計5億1500万円あまり。

この個人からの会費収入が、西松建設の課長クラス以上の寄付扱いとして、実際は会社が給与に上乗せしたのか、それとも会社の裏金を個人会費名目で一括、これらの政治団体に寄付したかは今のところ不明。

政治資金オンブズマンのメンバーの公認会計士が調べてくれたレポートによると、多い年で1400人、普通の年では400人か600人前後の者の会費収入となっているという。
コメント
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/20090202/nishimatsu_syushi_opinion.pdf
政治団体の収支表
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/20090202/nishimatsu_syushi_list.pdf

西松の課長クラス以上の者に給与を上乗せして、その上乗せ金額を会費で集めることはあり得ないだろうと推測する。何故なら、このような方法ではこれらの人間の所得税、市県民税などに反映せざるを得ず、面倒なうえに、これだけ多数の人物が関与すると、秘密で行うことは不可能となるからであるという。

むしろ、会社の裏金を課長級以上の個人の会費名目で、これらのOBの政治団体に実際は寄付したと見るべきだという。

どちらにしても、会社の金が流失したことは間違いがなさそうだ。

企業献金は1995年からは、政党、政党支部、政治家の資金管理団体以外への寄付は禁止された。(政治家の資金管理団体でも最高50万円だけ)

OBの政治団体は政党支部でもないし、資金管理団体でもない。

もし、年間3000万円から8000万円前後の金を上記のような方法で、会社の金を流失させたとすれば、取締役の善管注意義務に違反することは明白。

関与した役員達は違法行為であるから、役員賠償保険も出ない。自腹で会社に5億円余を会社に返還しなければならない。

役員の損害賠償責任の消滅時効は10年であるから、今から10年に限っても、約3億円あまり。(このような明らかな不法行為によって会社に損害を与えた場合は民法の709条違反であるので、会社が返還訴訟をするなら、約5億円全額の賠償請求が可能であろう)

西松建設の新社長がどのような方針で臨むのか、注目される。

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