弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪株主オンブズマンがソニーに対し取締役報酬の個別開示の株主提案を断念≫
と決定し、それを先日HPに公表した。
http://kabuombu.sakura.ne.jp/2009/20090415.html

ソニーへの取締役の報酬の個別開示を求める株主提案は2002年以来7年間にわたって提案してきた。ある年は44%の賛成があり、このママの推移で行くならば、1年か2年後には50%を超えると期待を抱いた年もあった。

株主提案に関する会社法の改悪もあり、多数の株主を公募して株主オンブズマンのような株主提案を行うことは困難になったことが直接の原因である。

より根本的には、ソニーのような閉鎖体質の企業に向かって、報酬の個別開示を求めることに、私自身は事務局長を引退したあと、この運動の実務には関与しなかったが、この運動をそのあと、中心的に進めていたメンバーが、この運動の虚しさを感じたのではないかと推測する。

当初、役員の報酬の個別開示の株主提案は旧住友銀行から始まった。
当時銀行の株主持合いで、賛成は極めてわずかであった。

財界の元祖である銀行への株主提案をやめソニーに切り替えた。

ソニーのようなグロバール企業に的を絞り、株主提案の賛同が20%から30%も超えれば自主的に個別報酬の開示に踏み込むだろうと思ったからである。

ソニーといえども、日本の企業は表向きの話と、実際の話は違うことをこの株主提案の中で知った。

ソニーは表向きはグローバル企業と言いながら実は「日本独特の閉鎖体質」を有していることが判明した。ソニーの副社長と面談した時に「青二才」のような反論をしてくる馬鹿らしさを感じた。この「青二才」的副社長との面談内容をブログにも指摘した。
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/38233600.html

この運動は残念ながら挫折した。

しかし、もし、株主総会での議決方法が会社提案と株主提案の賛成票の計算の仕方を同じにすれば、とっくに可決されていたはずである。

会社提案には、議決権行使書において、白紙でも「賛成」として計算をする。
他方、株主提案の白紙は「反対」として計算する。

ちなみに、ソニーの議決権行使書を閲覧したことがあったが、会社提案の賛成はほとんど「白紙」賛成票だった。会社提案に「賛成」と書いた賛成票はわずかであった。

他方株主提案の場合の38%とか44%の賛成票はすべて、株主提案に「賛成」と表示されていた。株主の意識の差は歴然であった。

それでも、会社提案と株主提案の計算方法の違いは是正されず、ソニーは自主的に役員の個別報酬を開示しなかった。

このような計算方法を当時の旧法務省は規則でOKと、お墨付きを与えていたし、今も与えている。

株主オンブズマンは、旧住友銀行の株主提案における総会の議決が、このような計算方法による議決は違法であるとして、総会決議取消訴訟をした。
http://kabuombu.sakura.ne.jp/archives/000927-1.htm

大阪地裁のご用裁判官達はこの旧法務省の規則が妥当だという判決を出し、株主オンブズマンの請求を棄却した。

財界の旧態以前のやり方を官僚が擁護し、司法までもがこれを追認するやり方は、閉鎖体質そのものであった。

この運動をソニーに提案するや、ソニーが役員の報酬の総額を開示するようになった。
その前は、役員の報酬を総額ですら開示しなかった。

この総額開示が日本の企業に定着したのは、旧住友銀行やソニーの役員の報酬の個別開示を求める株主提案の成果とも言える。

ブルームバーグの記事を引用させて貰う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ソニーの壁厚く、役員報酬の個別開示請求を断念 ― 株主オンブズマン
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=awjz11DxgmaQ

4月7日(ブルームバーグ):過去7年間にわたりソニーの株主総会で取締役報酬の
個別開示を求めてきたNPO法人株主オンブズマン(大阪市)が今年は開示請求の株
主提案を断念することを決めた。一時は5割近くの株主が賛成したにもかかわらず、
ソニー側の姿勢に変化がないことに失望したとしている。

株主オンブズマン代表の森岡孝二関西大学教授は7日、ブルームバーグ・ニュースの
電話取材に応じ、ソニーのこれまでの対応は「世界の情報開示の基準に背いており、
結局、日本の他の財界主流の大手と変わらない体質だ」と指摘。同時に「日本での個
別報酬開示の壁の厚さを痛感している。固い扉、開かずの扉だ」と述べた。

株主総会で議案の承認には議決権行使株数の3分の2の賛成が必要。02年は27.2%に
とどまったが、次第に支持を広げ07年は44.3%が賛成。昨年はやや減ったもののなお
39.7%が賛成した。世界不況の中でソニーの前期(09年3月期)の営業損益は2600億
円と14年ぶりの赤字予想で、1万6000人以上の人員削減も発表。今期は賃上げも1年
間凍結する。

森岡代表は、こうした厳しい状況の中で「役員報酬の個別開示への関心も高まってい
る」としながらも、外国人株主が減少するなか、3分の2以上の賛成を得るのは難し
いと判断したという。

08年3月期のハワード・ストリンガー会長ら執行役7人の報酬総額は20億2900万円
だった。ストリンガー氏は08年の総会で、「日本の文化からみると総額開示が適切」
などとして個別開示に反対した。ストリンガー氏は今年4月から社長も兼務し、経営
立て直しの陣頭指揮を取る体制を整えている。

              賛否

みずほインベスターズ証券調査部の倉橋延巨アナリストは、ソニーの業績が悪化し、
株価は下落、減配の中、役員報酬の個別開示について「この程度の開示もできず、株
主の信頼が失われていくことは問題だ」と述べた。一方、モーニングスター調査分析
部の鈴木英之ゼネラル・マネージャーは、「経営者と株主の間の取り分ということで
総額の合意がなされれば、個別報酬までは立ち入るべきではない」との見方だ。

昨年のソニーの株主総会の会場出席者数は7883人で前年より720 人増えた。オンブズ
マンの株主提案について森岡氏は「勝手な判断かもしれないが出席率を高める作用も
あったと思う」と話している。

オンブズマンが株主提案を断念することを決めたことについてソニーは、「何も聞い
ていない」(広報センターの今田真実氏)としている。

≪公益通報者保護法に違反した企業の経営者に株主代表訴訟を提訴しよう≫

公益通報した労働者に対する不利益取扱は、公益通報者保護法に違反する。
公益通報した労働者への不利益取扱は無効であり、そのような処分をしないようにするのが企業に本来求められるコンプライアンス。

しかし、公益通報者保護法に違反を承知して不利益処分を行う企業への「抑止力」はこの法律は何ら整備していない。

解雇処分や配転処分、職場での嫌がらせをしたとしても、解雇や配転を取消せば済み、嫌がらせなどがあれば、それを中止させれば、この法律は終わりである。

公益通報という社会の利益の為に行動した労働者を不利益に処遇するのは本来は「公益」に反する違法行為。しかし「公的な制裁」が何ら整備されていない。

民事法ルールで解決をするというこの法律の根本的欠陥。

違反行為を行った会社には1億円とか2億円前後の罰金(課徴金)を科するとか、不利益処分をした役員や上司には懲役3年以下の刑罰に処するとかの「公的」な制裁がない。

せめて、当該労働者には、懲罰的慰謝料を払うなど条文でもあれば何らかの「抑止力」にはなるしその労働者も救われる。

大手の企業は内部告発を行った労働者をドラスチックな当該労働者を解雇せず、一般的に「配転」という手段で不利益処分を行い、労働者が嫌になり会社を辞めるのを待つやりかたをすることが多い。

労働者は解雇されれば生活の為に裁判をするが、配転され一応給料が払われていると、あえて裁判までして争うのは難しい。

配転という会社の人事権を主張して、裁判を長引かせることもこの裁判の提訴を難しくする一要因。

仮に裁判で負けても、原状に戻せば足り、せいぜいこの間の慰謝料を100万か200万払えばよいとして「公然」と不利益取扱を行う。

これでは、会社の役員達は何ら腹が痛まない。内部告発をした労働者を配転などで不利益取扱いのしたい放題が容認される。

そこで、このような、公益通報者保護法違反を承知して不利益処分を行う企業の役員に対する株主代表訴訟が可能かどうか、公益通報者支援センターで検討してきた。

すなわち、公益通報者保護法に違反して配転などを行い、その為に裁判で敗訴した場合に、その裁判の為に
「支出した弁護士費用や裁判対策費用」
「コンプライアンスが機能していない企業としての批判されることによる信用損害」
などを役員個人に補てんを求める株主代表訴訟だ。

公益通報者を理由に不利益取扱をしたかどうかは、社内に真面目に調査すれば直ちに判明する。

公益通報者保護法、又は自ら定めたコンプライアンス規定(内部統制システム)に従い、早期に是正すべき注意義務が役員にはあることは明白。

それをしないで、長々と裁判で争い、その為の何千万円の訴訟費用などを支払い、その上、裁判で敗訴でもすれば、会社の信用損害も甚大。

そもそもこのような会社の経営者は自ら定めた内部統制システムを守れないのであるから、およそ社会、消費者、取引先などから信頼されるはずがない。

長い目でみれば、このような会社のトップには損害を補てんさせ、その上辞めてもらうのが株主の長期的な利益にも合致する。

公益通報者保護法が施行されてから、初めての判決は私達が知りうる範囲では、オリンパスの事件でないかと思われる。この事件の内容は以下のサイトに詳しい。

オリンパスのケースに見る内部告発者の悲惨な現状
http://diamond.jp/series/yamazaki/10070/

要するに、オリンパスのある本部長が、取引先の従業員を引き抜いた。それを知った他の従業員(濱田正晴さん)が、会社のヘルプラインを通じてこのような引き抜きを止めるよう会社に通報した。しかもこの会社のヘルプラインの担当者は公益通報者保護法の基本が解らない者であったので、濱田さんの実名をその上司や人事部に連絡した。

それに知った上司及び会社はこの濱田さんを閑職に配転し、日常嫌がらせを行っているという事件である。

公益通報者支援センターの共同代表の一人である森岡孝二関西大学教授が東京地裁に「意見書」も提出したこと(http://www006.upp.so-net.ne.jp/pisa/2009/pisa20090421.html)もあり、オリンパスの事件が株主代表訴訟として検討するにはピッタリの事件として、原告から訴訟記録を入手した。

同時に株主を探していたところ、何年も前からオリンパスの株を持っている株主も見つかった。この趣旨に大賛成という。

折も折、濱田さんがオリンパスに対する、配転命令無効確認訴訟の証拠調べが行われる。

注目される公益通報者保護法施行後の最初の判決。そして会社が敗訴すれば公益通報者保護法違反と株主代表訴訟の最初の事件。

秋には東京地裁で判決がある予定という。
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5月20日、午前10時から午後5時
東京地裁 530号廷 傍聴は自由。

午前(午前10時から12時)は、当時のオリンパスの原告の上司ら(取引先の従業員を引き抜きに走った人物、及び配転をした人事部長ら)

午後(午後1時から5時)は、原告の名前を明らかにした「元コンプライアンス室長」や不利益取扱いを受けている原告ら。

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