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地方自治体の首長が業者からワイロを貰い、その業者から土地を高額でその自治体(公社)に買わせた場合に、その首長らが民法の709条に違反し、損害を当該自治体に賠償すべきは当然。
その買わされた土地自体の価格は地方自治体にとって一応『財産=利益』となる場合があるが、このような反倫理行為の場合に、その土地の「利益額」を、損益相殺の対象として、その損害賠償額から控除することは許されるかどうかが争点となった事件の判決が本日(12/22)大阪高裁で判決があった。
事件の概要は
生駒市のN前市長らが、生駒市(土地開発公社)に、必要も利用価値もない山林を総合スポーツ公園用地として1億3600万円余で買わせた事件である。政権交代した生駒市の山下真市長はこの前市長らに必要のない山林を買わせたので、民法709条による、土地代全額相当の損害賠償請求をした事件である。
争点は
① 1億円3600万円の公園用地として土地代の価格が妥当かどうか。
②生駒市が購入した土地の価格分を、生駒市の利益とみて、損害賠償から控除するかかどうか、即ち損益相殺すべきかどうか。
③この売買には前市長以外に、生駒市の副市長他担当部長や課長が関係していたので、『生駒市側にも過失があったのでその分を過失相殺すべきかどうか』であった。
一審奈良地方裁判所は、N前市長らの責任を認めつつ、
①土地代の1億3600万円は高過ぎ、その価格は妥当でない。よって民法709条により生駒市は前市長らに損害賠償を請求できる。
②しかし、生駒市が取得した土地の価値を約5300万円弱とみてこれだけの土地=利益があるのだから、1億3600万円から5300万円弱を控除した残りの金額を生駒市の損害額と認定した。
③過失相殺は認めなかった。
一審奈良地方裁判所は約5300万円弱の価値があると認めた土地には何らの事業計画もなく、使い道のない土地として、今でもこの土地は塩漬けのまま残っている。
このような使い道のない土地の価格を約5300万円弱とみて、損益相殺するのは
法律家、市民の感覚からも非常識であるが、何故か一審地裁はこれを肯定した。
生駒市の代理人であった私、,同じ事務所の前川拓郎弁護士はこのような地裁の判決には我慢がならなかった。弁護士でもある山下真市長も同じで、当然大阪高裁に控訴した。
控訴審の大阪高等裁判所(裁判長 永井ユタカ)は、今年の9月に1回の弁論を開いただけで、終結し、本日(12/21)に判決をした。
本件のような民法708条に違反する前市長らの反倫理行為の場合は、その土地の「利益」は損益相殺の対象として、その損害賠償額から控除することは許されないと判断し、一審判決を取消し、生駒市に逆転全面勝訴判決をした。もちろん市長が共謀して行った違法行為であるから、過失相殺もみとめなかった。
(注)(不法原因給付)
第708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。 以前に高利貸し事件や詐欺事件などでは、損益相殺すべきでないという最高裁判例があるが、地方自治体の請求で、損益相殺すべきでないという高裁の判例は初めてである。
それにしても、この前N市長は懲役2年の実刑判決(最高裁に上告中)の上に、自分がワイロとして貰った金額が1千万円であるのに、土地代相当の約1億3600万円及び年5分の遅延損害金、弁護士費用の全額を命じられた。
生駒市が高裁判決までに回収した金額は損害額に遅延損害金を含め約1億280万円弱。
高裁判決が確定すれば、あと6102万円余に年5分の利息
合計1億6千500万円余を前市長らが支払う計算になる。
発覚すれば本当に割に合わないビジネスではある。
これも生駒市におけるN前市長から山下真市長への自治体の政権交代がなければ、そのままN市長らの「ワイロ行政」が放置され、業者も、前議長もガッポリ笑いながら、儲かったのであろう。
それにしても民主党の政権交代劇は鳩山のバカ、幼稚総理、小澤のカネ儲け、自分の子分養成ばかりの幹事長、菅総理の指導性の欠如、仙谷官房長官の野党時代と政権を取った時の識見のなさ連中らに、生駒市の山下市長ような政治主導、リーダーシップの発揮方法、カネにクリーン、議会筋と妥協しないという、小さい自治体の経験ではあるが教えてあげたい位だ。
政権交代は意味があるが、結局のところそれを担うのは政党ではなく、それを担う人達であることが判る事例。
生駒の汚職:損賠訴訟 元市長らに6100万円支払い命令−−控訴審 /奈良 生駒市の山林売買を巡る汚職事件に絡み、同市が元市長の中本幸一被告(74)=加重収賄罪などで上告中=や元市議会議長の酒井隆被告(68)=あっせん収賄罪などで上告中=らに計約9850万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が21日、大阪高裁であった。永井ユタカ裁判長は計約4040万円の支払いを命じた1審・奈良地裁判決(今年5月)を変更し、計約6100万円の支払いを命じた。
永井裁判長は「市長による背任行為で、態様は悪質。損害額から土地の価格を除くべきではない」などと指摘し、賠償額を積み増した。
判決によると、2人は03年12月、懇意の業者が所有する山林を市土地開発公社に高額で先行取得させ、それぞれ1000万円のわいろを受け取るなどした。
生駒市の山下真市長は「市の主張が全面的に認められ、大変うれしい。被告らは判決を真摯(しんし)に受け止め、上告せずに速やかに損害の賠償に応じてもらいたい。それが市民に対するせめてもの償いになるのではないか」とのコメントを発表した。【日野行介、熊谷仁志】毎日新聞 |
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2010年12月21日
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