弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

東日本大震災による多くの住民の被害には心が痛む。遠くからでは義援金を出すのでが精一杯で、現地に行って被災者や自治体の職員らの相談にのることもできない。
 
平成7年1月の阪神大震災の時は事務所と阪神地区は近くだったこともあり、1月末から避難場所に行き、被災者や自治体の職員らの法律相談にのった。
 
阪神地区は借地借家が多かったこともあり「住宅が壊れたが何らかの国の補償があるか」「敷金・保証金は返るか」「自宅が壊れたが借地契約は存続するのか」などの住居に関する法律相談が多かった。
 
当時は1月末頃から2月になると被災者の関心は、住む家の問題が気になる時期でもあったからであろう。
 
東日本震災被災者の多くの方も近いうちに、これから直面する住宅問題などに関心が行くことになろう。被災者の相談にのった経験から被災者救済制度について判る範囲で解説したい。
 
1 住宅が地震・津波で全壊、大規模半壊した被災世帯に対する支援制度
 
震災・津波などの自然災害で自宅が全壊した世帯には最大300万円、大規模半壊は150万円を限度で現金で支給する制度である。次のような内容である。
 
(1)住宅の損壊の被害程度による支援金(これを基礎支援金という)(第3条2項本文)
 
①全壊世帯には       100万円
②大規模半壊世帯には     50万円
但しその被災世帯が1人の場合は その3分の2(第3条5項)
 
大規模半壊とは住宅が半壊し基礎、壁、柱などの大規模補修を行わなければ居住することが困難であると認められることを言う(法2条2号ニ)
 
(2)住宅の再建方法による支援金(加算支援金という)
 
①自宅を建設・購入      200万円
②補修            100万円
③賃借(但し公営住宅は除く)  50万円
但しその被災世帯が1人の場合は その3分の2(第3条5項)
 
(3)適用対象世帯
 
この被災者救済制度は「その居住する住宅が全壊・半壊世帯」(法2条)とあるので「家主」がそこに居住していない以上適用されない。(家主の自宅が損壊した場合はその自宅は当然に適用になることは当然)店舗だけの建物所有者などにも「その居住する住宅」とある以上店舗付住宅なら別であるが、単なる店だけの場合も適用がない。
 
借家人や外国人にも適用される。持家だけとも制限していないからである。「居住する」とある以上、一定期間の定着=住民票、外国人登録証明などの住所が必要であるから、旅行者、一時住まいなどの別荘などの場合は適用されない。
 
() 申請方法
 
 ①基礎支援金は自然災害が発生してから13カ月(施行令4条1項)加算支援金は37カ月以内(施行令4条2項)(今回の災害では無理なので、この時期を政令で延長する必要あり)
 
②申請の窓口は地元の市町村。宛先は県。
 
 ③証明書類(市町村が発行する「り災証明書」などが必要。
 
八戸市が早速HPにアップしている。
 
これは県、又は市町村に聞けば良い)地元の市町村が機能不全に陥っている自治体もあるし、避難所対策で手が一杯となっているので、早急に県で対策を検討する必要あり。どのような被害救済手続きにも必ず「り災証明書」が要求されるので、この発行事務は市町村にある関係上、この支援体制が要請される。
 
() 根拠法
 
「被災者生活再建支援法」
「被災者生活再建支援法施行令」
「概要」
 
() 阪神大震災時にはこの制度がなかった。
 
この救済制度は阪神震災の時にはなかった。当時の国・大蔵省は「私有財産への国の補償」は自然災害では認められないという大原則を振りかざし、認めなった。
多くの被災者達の運動の結果、そのあと3年してやっと議員立法で通過した法律。
 
当時は家屋の全壊で最高100万円だった。平成16年に家屋の全壊で300万円にアップされ、収入制限などもなくなり現行の法律に改正された。十分な制度でないが
阪神大震災当時からみれば大きな前進。
 
2 震災・津波などで亡くなった遺族に対する災害弔慰金
 
(1)  概要・根拠法
 
    震災等で亡くなった被災者が「生計維持者」である場合は500万円、その他の者である場合は250万円の災害弔慰金を条例に基づき自治体が支給する制度である。
    災害弔慰金の支給等に関する法律
    災害弔慰金の支給等に関する法律施行令
法3条3項、施行令1条の2で「生計を主として維持していた場合にあつては500万円とし、その他の場合にあつては250万円とする」と規定。
    各自体の条例
福島県参照
 
(2)  実施主体(市町村)
 
(3)  受給権者
  災害により死亡した方の相続人=配偶者(内縁の関係夫婦も含む)子供孫、祖父母)とし兄弟姉妹は除くことになっている。この結果、阪神大震災の場合には生計を維持している者達が兄弟姉妹の場合などに支給できないと言う矛盾が多発した。
(4)  死亡の推定
 
災害の際にその現場にいたが3カ月後になっても生死不明の者は当該災害によって死亡したものと推定することになっている(法4条)
 
() 災害と死亡との相当因果関係
 支給する自治体側ではこの因果関係の認定は相当苦労した。震災直後の避難所での死亡とかは相当因果関係ありとして支給決定をすることなどは悩むことはなかったが、いわゆる「災害関連死」と言われる事例、例えば、仮設住宅などでの「本来の病気」「ストレス」が原因となっての死亡したケースなどでは悩んだという話をよく聞いた。実務的には医師、弁護士、職員などで構成される「災害弔慰金審査委員会」が設置され個別に検討した。当時は先例がなく悩んだが、今後は下記大阪高裁の判例にみられる因果関係論が一応の参考になろう。
 
≪震災前夜昏睡状態にあり数時間か数日で死亡する可能性があったとしても、延命の為に治療継続中で震災が原因となってその治療が不可能になり死亡という結果が生じたこと、および震災がなければその治療により延命の可能性があり、少なくもその時期には未だ死亡していない以上相当因果関係があるとした≫
一審は上記のケースでは相当因果関係がないとしたが、大阪高裁は比較的因果関係を広く解した。
 
 
3 災害障害見舞金
 
  災害により重度の負傷、疾病で精神又は身体に著しい障害を受けた被災者には生計を維持する者には250万円、その他の人には125万円を支給する制度。根拠条文は上記
「災害弔慰金の支給等に関する法律」第8条の別表参照。
 
4 災害援護貸付金制度
 
家が全壊した者には350万円、一部滅失した者には150万円を3年又は5年据え置き、そのあと年3%の利息で、10年で返済する貸付制度である。この借入には罹災証明を添付して保証人をつけて借入を当該市町村に申請する。借りるときは良いが、いずれ返還することが要求される制度であるので、将来、返済可能かどうか、保証人に迷惑をかけないかどうか、慎重に判断を要する。阪神大震災の時に借りて、保証人になって貰ったが最後はその保証人に迷惑をかけたケースも相当あったと聞いた。阪神大震災の貸付金が今なお残っていることが以前に報道されていた。なお、当時は「被災者生活再建支援法」が無かった関係でこの貸付金に依存せざるを得なかったことは確かである。
 
5 震災等による借地借家法の特例
 
震災による借地借家関係は一般の民法、借地借家法ではなく、特別の「罹災都市借地借家臨時処理法」によることになる。
 
神戸商工会議所のHPに具体的事例を述べて詳しい解説があるので参照されたい
 
6 災害救助法関係
 
被災者が有する土地、建物の固定資産税の減免や所得税の減免制度があるがこれは別途。
 

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事