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9月26日陸山会秘書事件の判決がある。この事件についてメンバー3名で議論した。以下その概要。
1 調書の不採用について
A「東京地裁が元秘書などの検面調書を却下したことをどうみるか」
B「今までの裁判官の認識だったら、検事の『あの程度の誘導、脅迫』程度では検面調書の却下をしなかっただろう。驚きだ。」
C「検事の取調べに関する世論が裁判官にも反映しているのだろう」
2 調書の不採用は有罪、無罪に影響するか
A「このことは元秘書らの有罪、無罪とは関係するか」
B「石川元秘書と大久保との虚偽記載に関する共謀の事実の立証については検察の打撃は大きい。収支報告書の実際の作成は石川と池田であるので、大久保との共謀に赤信号がついたと言える」
C「却下された検面調書を見ると、ある時期以降の調書が採用されなかっただけで、それ以前の石川秘書らの、検面調書は採用されている。この採用された調書に石川元秘書は大久保からの指示、監督のもとで作成したという点を認めているので、それほど簡単ではないだろう。必ずしも連動しないのではないか」
A「採用された検面調書があるのでその調書内容如何になるね」
3 小澤一郎から4億円の借入金の不記載について
A「石川元秘書の起訴事実に【平成16年10月初めころから同月27日ころまでの間に、小澤一郎から合計4億円の借入れをしたのにそれを記載しなかった事実】が起訴されているがこの点はどうか」
B「平成16年度の陸山会の収支報告書に記載のある『平成16年10月29日4億円』の記載は『平成16年10月29日りそな銀行から借り入れた4億円である』と捜査段階では供述していたが、その検面調書が採用されないとなると、検察は小澤一郎からの借り入れた4億円の不記載を何で立証するのか、厳しいと思う。」
C「もし、裁判官は石川元秘書の検察は小澤一郎からの借入れた4億円の不記載を認定するとすれば、一番簡単なのは①収支報告書に記載のある4億円の借入日時が平成16年10月29日と記載されていること=それは銀行からの借入日時であること②石川元秘書の小澤一郎からの借入れた4億円を12回に分散して陸山会口座に入金していることから、最初からそれを隠ぺいしていること③銀行からの借入は必要ないのにあえて借り入れている事実・・・・等の事実から石川元秘書の公判廷の供述を信用できないと切ってしまうやり方だろうね」
A「石川秘書は小澤からの4億円の借入金を平成16年度の収支報告書に書いたと言い、他方池田秘書は小澤からの借入金を平成19年5月に返済した事実があるのに平成19年度の収支報告書に書かなかったのは単なる「預かり金」であったからと秘書間で違うことを述べている。これが裁判官の事実認定に影響があるか」
C「石川、池田の元秘書間で全く違う弁明は、石川秘書の小沢借入金を記載したという石川秘書には不利に働くだろう」
B「裁判官はそのような立場にたつかどうかは不明だが、特捜の捜査は供述に頼り過ぎの為に、このような困難な立証になったのだろう」
4 土地代金の支出は本登記の時期に記載すれば良いのか。
A「石川元秘書は『平成16年10月5日及び同月29日、土地取得費用等として合計3億5261万6788円を支払ったのに、同収支報告書にこれらを支出として記載しなかった』事実で起訴されている。石川秘書が本登記時(平成17年1月5日)に記載すればOKと思ったと反論しているが、これはどういう意味があるのか」
B「収支報告書に時期はずれても本登記時に記載すれば良いと思ったという石川元秘書の弁護人の主張は『虚偽記載の故意がなかったということ=違法の認識がなかった』という主張だから無罪。虚偽=嘘の記載をする故意が必要なところその意図がなかったという反論である」
C「規正法同法12条1項では、「すべての収入・・・及び「すべての支出・・・について、当該収入・支出があった年月日等を収支報告書に記載しなければならないと規定している。実際に現金等の出入りがあるごとにその旨の記載を収支報告書にしなくても良いとなれば、政治資金の収支の時期を【恣意的】に公開する恐れがあり解釈として間違っているのでないか。本件では土地代の支出は平成16年10月であることは確実だから、この支出時期をずらすならば、その時期のずれに客観的に相当な理由が必要だ。石川秘書の時期のずれの弁明に裁判官がシツコク聞いているのはこの為ではないか」
A「裁判官は平成16年10月に土地代の支出があった事実を認定することは確実。その金の支出時期を本登記の平成17年1月5日に支出したと記載しても良いという石川元秘書の弁明は単なる「情状レベル」の主張とみているのか」
C「最終的に判決がどのような認定になるかは不明だが、規正法の普通の解釈では弁護人の反論は成り立つことは難しいだろう」
5 水谷建設1億円の金は虚偽記載罪にどのように影響するのか
A「時期をずらした理由に検察側は水谷建設などの裏カネがあったと必死に立証しているが、このことはどう関係するのか」
B「時期をずらした本当の理由は4億円の金の中に検察はゼネコンの金があったからだと虚偽記載の程度が悪質というレベルの立証にしかすぎない。本件事件の虚偽記載にそこまで立証する必要性がない」
C「石川元秘書は民主党の代表選が平成17年9月にあるので、その時に陸山会が大きな金額の土地を購入していることが争点となる危険性があったので、時期を意図的にずらしたことを認めているので自白したようなものであるからこの立証は不要と思う点では一致する」
A「では検察はそれを何故、シツコク立証しようとするのか」
B「検察の意地・メンツではないか。検察は西松建設事件で強制捜査した中で、陸山会の平成16年10月の土地購入代金の金の出どころをはっきりしない事実=陸山会の通帳に12回にわたって3000万円から5000万円の金が入っていることを掴んだ。そこで当時東北のゼネコンから裏カネが入っていると思い捜査した。しかしその金に見合う裏カネをつかむことができなかった。2009年8月の総選挙前だった関係で世間の批判を浴び、特捜部の捜査が頓挫した。しかし彼らは何としてもこの続きの捜査をしたかったのではないか」
A「何故、捜査が再開されたのか」
B「特捜部は西松建設事件の捜査でつかんだ土地代約4億円の原資を探す為に大義名分が必要だった。その為に、土地の購入の時期などをずらしたことを、ある新聞にリークし、本件土地購入問題を再燃させ、その上、どこかの市民の告発を待って捜査を再開したのでないかと思う」
A「特捜の意図は別にして、裁判官は水谷建設の1億円の金を認定するか」
B「判決は水谷建設の1億円の点を認定せず=その認定は困難だからでもあるが、石川元秘書の公判廷で認めている民主党の代表選があるから時期をずらした点だけを認定して有罪とすることもあるのでないか」
C「いわゆる、逃げた判決もあり得るだろう。しかし他方では、裁判官の常識では水谷建設の1億円を利害関係がない水谷の関係者が検察や公判で供述・証言することは、普通はあり得ないと思っている。大久保は西松建設事件で、東北の談合を仕切っていた者と連携してゼネコンに金を要求している供述調書などはバッチリ採用されているのだから水谷建設の1億円を認定する可能性も高いのでないか」
B「検察もオカシイね。自信があったら水谷建設の1億円の虚偽記載で立件すれば良いのに、それをしない事実を、裁判官はマイナスに評価するから、水谷建設の1億円を認定できないのでないか」
A「水谷建設の1億円は蓋をあけてみないと判らないということになりそうだね」
6 判決予想 B「大久保は無罪の可能性が50%か。他の被告人は有罪が80%以上」 C「大久保は有罪なら実刑、石川も実刑の可能性が半々、池田は執行猶予か」 この事件の事実経過
① 2004/9/末頃 世田谷に土地が3億4264万円での売りに出ていた。大久保秘書らが小沢議員に相談し購入することを決定。小沢議員の関連する政治団体のカネを集めれば土地資金が賄えるがそれでは各政治団体の運転資金が枯渇してしまうので小沢議員の個人の4億円を借りることになった。
② 10/5 売買契約締結。売買金額3億4264万円、10/29に売買残金を払い、所有権移転登記をする旨の合意。この日に手付金などを支払った。
③ 10/12頃 小沢議員から個人の現金4億円を石川秘書が保管。この時小沢議員から「純粋な個人資産だから間違いなく返すように」言われたと言う。
④ 10/13に石川被告は陸山会の口座がある、4銀行4支店を順次回り、3000万から5000万円ずつ合計1億8千万円を分散入金。10/18、10/21、10/25に合計5000万円、10/27に5492万円を順次分散入金。検察陳述によると5銀行6支店の陸山会6口座に12回に分散入金した。
⑤ 10/15に陸山会口座に5000万円入金あり。検察冒陳では、10/13(金曜)水谷建設から受け取った現金を月曜に入金したと主張。弁護側否認。
⑥ 10/中頃に石川、大久保は売主側に、残金支払及び本登記を翌年にできないかと相談したが、断られる。そこで石川秘書は司法書士に相談したところ、残金は決済しても仮登記をして翌年に登記をすれば大丈夫というアドバイスを受けた。
⑦ 10/28、他の銀行口座に分散入金した金をりそな銀行衆議院支店の陸山会口座に振り込み入金した。陸山会の口座残高は4億3500万円余となった。
⑧ 10/28午後4時ないし5時ごろに石川秘書は銀行に陸山会の4億円の預金担保に小沢個人に4億円の融資を受ける相談を持ちかける。
⑨ 10/29、土地代金決済予定の午前10時前に、3銀行3支店の順次回り、民主党岩手県第4区総支部口座等から合計3億500万円を、りそな銀行衆議院支店の陸山会口座に送金手続をした。
⑩ 10/29午前10時半頃、土地残代金3億3264万円等合計3億3753万6788円を支払った。
⑪ 同日、原契約を維持したまま、金を払い、土地も引渡し、仮登記をして本登記を2005年1月7日にする旨の合意書を作った。
⑫ 10/29上記⑨のあと、(検察の冒陳では午後1時過ぎ頃)陸山会名義の定期預金4億円を設定した。これを担保として小沢議員個人の口座に4億円のりそな銀行から借入が行われた(りそな借入金)そのあと小沢個人口座から、陸山会名義の口座に振り替えられた。この借入金は銀行との契約書の借主は小沢個人。
⑬ 2005年1月7日 本登記。
⑭ 2005年3月31日 陸山会2004年収支報告書を総務省に提出した。
イ.この収支報告書に本件土地の所得費「3億5261万6788円の支出」を記載しなかった(争いがない)
ロ.2004年10月月29日、民主党岩手県第4区総支部から7000万円、小沢一郎政経研究会から7500万円の各寄附を受けたのにそれを記載しなかった。(争いがない)
ハ 収支報告書に小沢議員からの「平成16年10月29日小澤一郎4億円借入」の記載がある。検察はこの収支報告書の記載は2004年10月29日の「りそな借入金」であるというに対して石川秘書側は「10月12日小沢現金借入」を記載したと言う。
⑮ 2005年4月5日小沢議員の資産等補充報告書提出。これには「借入金400,000,000円」「貸付金400,000,000円」がある。
⑯ 2005年10月31日 上記⑪の定期預金2億円を取り崩し、銀行に2億円返済した。2億円の定期担保は継続し、借入金2億円は残った。小沢議員の資産等補充報告書には2億円の借入と貸付金の記載となる。
⑰ 2006年3月31日2億円の担保が取崩され、2億円が銀行に返済された。
⑱ 2006年3月 2005年度収支報告書提出。
⑲ 2007年5月 小澤4億円返済( しかし翌年3月の収支報告書に記載せず)
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≪オリンパスは高裁判決を尊重し何故このような事件が起こったか、第3者委員会を設置し再発防止策を検討せよ≫
「オリンパス」の社員である浜田正晴さんが、会社の内部通報制度を利用したことに対する報復として他の部署に配転させられた事件。濱田さんが、その配転を無効とすることを求めた裁判で、一審の東京地裁は濱田さんの請求を全部棄却したが、東京高裁第23民事部(鈴木健太裁判長)は8月31日、浜田さんの請求をほぼ大筋で認める逆転判決を言い渡した。
高裁判決は濱田さんの通報を「立場上やむを得ずなされた正当なもの」と指摘し、「これを問題視し、いわば制裁的に配転命令をしたものと推認できる」と会社側の配転を無効とした。
公益通報者保護法が2004年に制定されてから企業の内部通報制度を利用して通報した事件でその内部通報制度に自ら定めたルールに会社側が違反したことを理由に人事異動を無効にした初めての裁判例。
裁判所は従業員の解雇事件では解雇無効にするケースが比較的多いが,配置転換を無効にするのは極めて慎重である。
配転理由は、後でもっともらしい屁理屈をいくらでも主張できること、裁判官は内部告発などと無縁の社会で生きているなど世間知らずの上に、自分達も3年か4年に一度配転させられる人事制度になっていることなどから、企業の配転という人事権の行使に甘い。
とブログに書き、内部告発裁判に裁判員の導入を言うのはこの為である。
それにしても、この事件は通報対象事実が法例違反などでなく、企業の倫理違反であること、コンプライアンス室が濱田さんの氏名を上司に伝えたこと=守秘義務違反など、企業内部の通報制度に違反する会社のあり方を批判して、配転を無効にした事例であり、今後の企業の通報者へのあり方に大きな影響を与えるだろう。
判決全文は公益通報支援センターのHPにあるので読んで頂きたい。
この判決を読むとオリンパスという会社は何と非常識な会社かと思う。
濱田さんの主張によると、自社と共同で開発する最重要顧客である会社の社員をその『情報』を持ったまま、ひっこ抜き、そのあげく、もう一人の社員まで引き抜きにかかった。この時に、濱田さんが、このような最重要顧客の社員の引き抜きはオリンパスの信用を無くすので、やめて欲しいと会社のコンプライアンス室に通報しただけである。マスコミやネットに公表したわけでもない。
本当に会社の将来を思い通報した濱田さんを、会社のコンプライアンス室は濱田さんの上司に通報者は濱田さんと伝えるなどのお粗末もあり、担当役員も、濱田さんと上司に≪仲良くやれ≫などとお茶を濁しただけであった。
ところが、上司はそれを恨みに思い、濱田さんを他の部署に配転した。
その上、次々と配転し、合計3回も配転する有様であり、しかも配転先で、JR西並みの≪日勤教育≫同様の無内容な業務を命じるなどの≪いじめ≫が行われた。
不可解なのは、オリンパスの人事部がたやすくこのような配転を認め、しかも濱田さんからの訴えがあった時に裁判をして濱田さんが≪得意先の人物が入社するのを嫌悪したから内部通報した≫などと適当な屁理屈をつけ裁判で長々と争うことを決断した役員達の姿勢である。
内部告発者を不利益取扱をする役員に株主代表訴訟を!(公益通報34)http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/59363034.html
このブログで次のように指摘した。
≪労働者は解雇されれば生活の為に裁判をするが、配転され一応給料が払われていると、あえて裁判までして争うのは難しい。配転という会社の人事権を主張して、裁判を長引かせることもこの裁判の提訴を難しくする一要因。仮に裁判で負けても、原状に戻せば足り、せいぜいこの間の慰謝料を100万か200万払えばよいとして「公然」と不利益取扱を行う。
すなわち、公益通報者保護法に違反して配転などを行い、その為に裁判で敗訴した場合に、その裁判の為に 「支出した弁護士費用や裁判対策費用」 「コンプライアンスが機能していない企業としての批判されることによる信用損害」 などを役員個人に補てんを求める株主代表訴訟だ。 公益通報者保護法、又は自ら定めたコンプライアンス規定(内部統制システム)に従い、早期に是正すべき注意義務が役員にはあることは明白。 そもそもこのような会社の経営者は自ら定めた内部統制システムを守れないのであるから、およそ社会、消費者、取引先などから信頼されるはずがない。≫ 長い目でみれば、このような会社のトップには損害を補てんさせ、その上辞めてもらうのが株主の長期的な利益にも合致する。 オリンパスが最重要顧客である得意先の従業員を引き抜くなどの企業倫理に違反する実態がますます係争すればするほど広がっていく。
オリンパスの会社にとって、この事件は最高裁に上告せず、この事件を外部の第3者委員などをいれ、再発防止策を講じることが今の会社のトップに求められる。この事件を苦い教訓とすべきである。それが今後も消費者や社会の信用を獲得する有名企業としての期待される役割であろう。
もし最高裁に上告し、オリンパスが敗訴した場合は、自ら定めたコンプライアンス規定(内部統制システム)に従い、早期に是正すべき注意義務が役員にはどの程度あるか、公開の法廷で議論する絶好の良い事件。
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