弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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≪政府・公明案でも記者の普通の取材行為は罰せられる≫
 
「取材の自由に配慮」規定 秘密保護法案 公明が修正案了承(東京新聞)
 
この報道によると「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とする」との規定を新たに挿入すると言う。
①「出版又は報道の業務に従事する者」が
②「専ら公益を図る目的を有し」
③「法令違反」又は「著しく不当な方法によるものと認められない」
方法で取材活動をした記者だけが正当業務になると言う。
 
出版又は報道の業務に従事する者に限定する点はさておくとして、記者の取材行為もソモソモ保護されないお粗末な、インチキ「改正案」である。
 
政府・公明案でも、記者の取材活動が正当な業務になるケースは法23条の『教唆犯を罰する』条文や刑法の教唆犯の条文がある限り、通常の記者の行為は全て「法令違反」に該当し正当な業務と解釈されないのだ。
 
教唆行為とは「人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせるものであれば足り、その態様は多様である。命令、指揮、嘱託、依頼、甘言、誘導・・などによることが可能である。教唆行為は明示的でなく黙示的・暗示的なものでもあり得る。働きかけの強い時は正犯となる場合が考えられる」(『条解刑法』第2版弘文堂218頁)
 
「依頼」でも刑法の「教唆」行為に該当すると解されている。新聞記者の普通の取材活動は秘密を持つ公務員に秘密文書のコピーを欲しいと「依頼」することが基本であり、それに尽きる。
 
その公務員が実行行為に至った場合、又はその公務員が実行行為に着手しなくても、政府・公明党案における改正案でも取材活動が「法23条の法令違反」に該当し正当な業務と解釈されないのだ。
 
「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為は法23条に違反しないで公務員に働きかけなどがあり得ないのである。法23条の「教唆行為を罰する」条文と記者の普通の取材行為とは根本的に矛盾する。
この点を隠ぺいして、あたかも政府・公明案ではマスコミの記者の取材行為が正当行為として保護されるかのごとき報道は間違いである。
 
仮に法24条の独立の教唆犯の条文が無くても、刑法61条の教唆犯がある限り記者の普通の取材行為も罰せられる。
第61条  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
 
公明党が当初から要求していたと報道されている「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、著しく不当な方法によらない限りこの行為は、これを罰しない」という条文を解釈規定ではなく、罰則の本文に入れない限り記者の通常の取材活動も罰せられるのである。
 
法24条の条文は独立の教唆犯を罰するので、公務員に教唆し、公務員がそれに従わない場合でも罰せられる恐ろしい法律であることは
「知る権利」が明記されても、この法案の危険性は何ら変わらない≫http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/64706113.htmlで指摘した。
 
参考条文
第24条 第22条第1項又は前条第1項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、5年以下の懲役に処する。
 
第22条1項とは特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、10年以下の懲役に処する・・・・・・・・
 
第23条1項とは 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する
 
≪転送自由≫

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