弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

政治献金

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熊谷組の企業献金裁判を準備していくなかで私達は多くのビックリするような政治と金の実態を知った。
一番驚いたのは自民党から国会議員に配る『政策活動費』というものであった。

東大の会計学の専門の醍醐聡教授がこの問題を調べていた最初の学者だった。醍醐先生を講師に呼び、早速、学習会を開き、勉強した。この裁判を支援してくれている横浜の元校長先生が、当時の自治省に毎日行って自民党の収支報告書の中の、政策活動費を全て書き写してくれた。(当時はコピーが出来ず、見て書き写す必要があった)これを裁判の証拠に出した。この部分の一部はは政治資金オンブズマンのHPアップしている。http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/menu04.html

盆に配る金は氷代と呼ばれ、暮れに配る金はモチ代と呼ばれている。しかしこの金はせいぜい200万とか300万だけである。派閥の事務総長クラスになるとこれが5000万とか1億円になる。自民党の幹事長となると、年間5億とか6億円を受け取る。これらの金を貰った議員は誰に、幾ら払ったか、その支出を自民党本部にも明細を報告する必要がない。もちろん一切収支報告書にも書く必要かない。使途不明金になっている。大物政治家となると1億の金など『エー何のこと』と言うはずだ。

自民党の本部の収支報告書を見るとある議員に3億円とかを一回で配っていることも記載されていた。真相は不明だが、小選挙区からコスタリカ方式で比例区に回った議員に対する解決金かと思われるような巨額の金であった。何故これほどの大きな金を貰い、その配布先を収支報告書に書かないから、疑われるのだ。

議員を辞める国会議員にも退職金代わりに1000万とか2000万を配っている。もと大阪の専門学校の教師がその議員1人1人を調べ、退職議員であることを発見してくれた。準備書面にもこのことを書いた。この裁判はこのような多くのボランテイアーによって支えられている。弁護士と株主だけでこの裁判は出来ないのだ。次の議員の税金問題に関しても公認会計士の協力があったから判明した。

不思議なことにこの金の支出については、全額支出すれば、国会議員個人の所得の申告書に記載する必要がない。もし残ったら雑所得として申告する必要があるという扱いになっているという。しかし残ったかどうか誰も調べない。国税もこの政策活動費についてはアンタチャブルになっているという。愛人に配っても『政策活動費』となり適正な支出になるのではないかと言う。市民から見ると驚くべき国会議員の『特権』だ。誰も調べないのだから支出は何でも良いことになってしまう。もちろん議員個人のポケットに入っても判らない。

この金の大半は企業献金である。自民党の議員も財界の言うことをよく聞くはずだ。こんなおいしい金を配ってくれるのだからね。ところが経団連はこのような使途不明で政治の腐敗を生む企業献金を『社会貢献活動』と言っている。『自民党議員裏金貢献活動』と言ってもらうと市民に判りやすい。

来年1月11日の熊谷組の名古屋高裁金沢支部の判決がこの自民党の『政策活動費』の原資を裁くのだ。裁判官も、この実態を見て欲しい。証拠は腐る程出しているのだから。

本日、関西大学法科大学院で講義をしてきた。テーマーは
  『憲法・政策形成訴訟における弁護士は何を考えて提訴しているか』
      ー最高裁八幡政治献金事件の判例変更に挑んでー
である。同大学の教授から『法律家の卵である人達に社会的に意義のある訴訟について講義をして欲しい』という要請があった。教授には政治献金裁判などでお世話になっていたので、断れなかった。
年1回であることも引き受ける気持ちになった。

自分の事件を客観的に報告するのは難しい。しかしこの講義に際して整理し、反省する点で私も勉強になっている。学生も熱心に聴いてくれ、今年で2年目だ。
受講生が1日でも早く司法試験に合格して、私達の政策形成訴訟である社会的な事件に合流することを願って講義を終わった。

最高裁八幡政治献金事件の判例変更をするために私達が提訴している裁判は次のとおりだ。

日建連(大手ゼネコンの団体)加盟企業は毎年自民党に多い時で6億弱、少ない年で2.5億強の企業献金をしている。そのうち熊谷組は1996年から2000年の5年間に約9900万の献金をしていた
この献金が取締役の善管注意義務違反だとして株主代表訴訟を2001年6月に福井地裁に提訴した。2003年2月に判決があった。理由の中では八幡事件の判決理由を批判しながら、1人の取締役に一部勝訴し、別の役員には敗訴した。ある新聞の社説はこの判決を評価しながら、八幡事件をこの際に全面見直しをすべきだという意見もあった。双方控訴して、元社長の尋問などを経て今年の3月に終結し、判決は2006年1月11日に判決となった。詳細は以下のHPに掲載している。
http://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/index.html

終結から判決まで10ヶ月がかかったところから、原判決が見直される可能性が大だという意見もある。
一部勝訴部分が見直されるのか、敗訴部分が見直されるのか、それとも原判決どおりか、あれやこれやと考え、眠られぬ夜が続く。

政治と金の問題は自民党の圧勝で殆どマスコミに報道されなくなった。何かこの問題を言うことが青二才
のように思える時代になってきている。しかし選挙権のない企業がどうして、金で国会議員・政党の政策を左右することが許されるのか、民主主義の根本が問われている問題として誰かが常に追求していかなければならない課題だ。

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