弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

談合

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談合に関する株主代表訴訟の報告、実際の起っている談合事件への意見、感想
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 防衛施設庁の談合が本体の基地建設などの土木、建築工事に関する談合に発展してきた。

平成16年度の防衛施設庁の契約件数は1391件で、金額は2046億9316万円である。http://www.dfaa.go.jp/news/kensetsu/h16keiyakujisseki/data/keiyakujisseki.htm
1年でこの金額だから10年にすると巨額な金額になる。

このうち岩国飛行場滑走路改良工事の一般競争入札は7件、合計122億2200万円である。
検察の当面の捜査の焦点がこれに移っているようだ。この落札業者は以下のとおり。

1 広(16)岸壁(292)整備土木工事 応札社は7社、10億6575万円でみらい建設工業・洋伸建設JVが落札 【落札率96.907】
2 岩国飛行場(16)港湾施設新設土木工事 応札社は5社、8億7150万円で大成建設・大本組JVが落札【落札率95.858】
3 岩国飛行場(16)滑走路移設北地区地盤改良工事 応札社は6社、20億5800万円で鉄建建設・大豊建設・大平工業JVが落札【落札率97.210】
4 岩国飛行場(16)滑走路移設中央地区埋立工事 応札社は5社、27億3000万円で大林組・徳倉建設・岩国土建JVが落札【落札率97.410】
5 岩国飛行場(16)滑走路移設中央地区地盤改良工事 応札社は6社、10億2375万円でアイサワ工業・新井組JVが落札【落札率88.907】
6 岩国飛行場(16)滑走路移設中央地区地盤改良工事 応札社は5社、35億1750万円で鹿島・西武建設・株木JVが落札【落札率96.805】
7 岩国飛行場(16)滑走路移設北地区地盤改良工事 応札社は5社、9億5550万円で浅沼組・松尾建設JVが落札【落札率95.594】

大手企業が談合する場合では落札率が92%前後の『より控えめ談合』になっている実態をよく見たが、基地の建設工事などは市民から見えない工事だから『ハゲタカ談合』に限りなく近い談合になったのだろうか。

それにしても、上記5番のアイサワJVがどうして88.907になったか解明して欲しい。

ハゲタカ談合』『控えめ談合』『節度ある談合』について談合10に書いた。このうち『控えめ談合』が本日の新聞で明らかになった。

【予定価格に近いと疑われるから入札価格を4000万から5000万円を下げろ】
2004年11月25日の予定価格が10億9300万円に対して、4000万円低い10億5000万円で応札したケースで落札率が96.0%の官制談合の件だ (2/2産経新聞朝刊)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/02na1001.htm

ハゲタカ談合』の場合は落札率が100%か又はそれに限りなく近い価格で落札する。これでは世間から批判される。一般的に『ハゲタカ談合』はあまり世間から注目されない入札では行われている。例えば橋梁談合のケースなどの談合摘発前の入札の場合である。多くの自治体ではこれが今なお多い。

他方『控えめ談合』が行われる場合は、一度談合が摘発されたとか、議会で追求された場合とかマスコミで問題になった入札の場合に、この『控えめ談合』が行われる場合が多い。防衛施設庁は、以前に防衛調達実施本部の発注について官制談合が問題となり、額賀防衛長官が辞任したケースがあったからであろう。このような場合は大体、落札率は95%前後で動く。

各地の入札結果を見てみると面白い。

『控えめ談合』でもがめついチャンピオンは97%になるし、チャンピオンによっては95%前後でも気が引けるのか『より控えめ談合』で92から93%%前後のチャンピオンもいる。防衛施設庁の平成16年の落札率も大体この傾向が出ている
http://www.dfaa.go.jp/news/kensetsu/h16keiyakujisseki/kouhyou.htm

『談合10』で『節度ある談合』について書いた2件の落札率(80%台)の制限価格に近い金額で落札しているケースについては今なお、解明されていない。もし、官制談合でも落札率が80%や82%なら『結構な談合』??ではないかと私は思う。

何故,逮捕事実の3件のうち2件が極めて低い落札率の入札か?
・極めて低い落札率のケースだけを業者が自白し、高い落札率のケースを隠蔽していないのか?
・低い事実を自白する代わりに落札率の高い件を被疑事実にしないなどの司法取引があるのか?ないのか?
・チャンピオン業者が在宅で、官側が逮捕されたがことの『司法取引』と関係があるのか、ないのか?
マスコミの記者の出番だ。

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 防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部は1/30日、前技術審議官ら3名を競売入札妨害容疑で逮捕した。同庁が発注した空調工事について、業者間の受注調整を主導した疑い。

この記事を見て『あれ』と思ったのは以下の3件のうち2件の落札率(落札価格÷予定価格×100)が極めて低いことだ。
2004年11月15日の落札率は82.81%
2004年11月25日の落札率は96.06%
2005年3月3日の落札率は80.36%

通常の談合は100%に限りなく近い『ハゲタカ談合』か、『控えめ談合』の95%前後だからだ。
80%台は『節度ある談合』と私は呼んでいる。

上記2件のような制限価格に近い『節度ある談合』は例外中の例外だ。次の仮説が思いつく。

1 『節度ある談合』のケース。制限価格でも十分儲かるのだから、世間の厳しい批判との関係で、せめて80台で何とかならないのかと思うことがある。あり得ないと思うが、仮説としては成り立つ。

2 官側がチャンピオン業者を決めても、予定価格の積算を業者がする場合がある。その場合にチャンピオン業者が積算を間違えたケース

3 予定価格を教えた内部の人間が談合に協力させられることに良心の呵責に悩まされ、又は頭にきて、制限価格に近い金額を意図的に『間違えた振り』をして教えたケース

4 予定価格をチャンピオン業者に教えた内部の人間が、その価格を積算係りから本当に間違えて聞いたか、又は見まちがえてチャンピオン業者に制限価格を教えたケース

5 通常なら本来のチャンピオン業者がいたが、施設庁側に何らかの理由で今回のチャンピオン業者に落札させる事情が生じた。そこで今回のチャンピオン業者は低い落札金額を希望しているとか、又はこの工事の予算が少ないとか理由をつけて、その業者を下ろさせたケース

新聞記事を見ると今回の逮捕者が予定価格を教えたと報道されていない。別のルートだという。
このような例外談合の真相を特捜部で、ぜひ解明して頂きたい。

大林組の元課長の鬼島 紘一氏が官民癒着を告発した『談合業務課』は面白かった。
汐留、丸の内、六本木ヒルズ…。最先端の超高層ビル建設を、なぜ「大林組」は相次いで独占できた
のか。官との癒着を見事に描いている。ドンドンと引き込まれ読んでしまった。

おそらくスーパーゼネコンの従業員が官民の癒着を実名で告発したのは初めてではないかと思う。
一読の価値あり。おすすめする。

次の事実は興味深く読んだ。
【入札間近になると本命から「スタンダード」と呼ばれる見積書の雛型が送られてくる送られてきたら、会社特有の項目立てをし、スタンダードに数字を適当に変化させ、あたかも真面目に数字を弾き出したかのような体裁ぶつくる・・・】(290P)である

我々は東京地裁で五洋建設の役員に対する談合を理由に株主代表(談合8)をしているからだ。
原告は「本命以外の企業は積算しない。真面目に積算すれば0.3%程の費用がいる。だれもそんな無駄な金を払わない」と主張した。

被告の役員側は五洋建設では積算をしているという反論をしてきた。本当に積算したのなら、2、3枚の見積書でなく、その元になる積算資料があるはずだ。この文書を提出をせよと迫るつもりだったが、この本をさっそく証拠に出して、現実はこのような見積もりだと反論しようと思う。

以前に大林組の役員に対して
平成5年の仙台市発注の公共工事をめぐるゼネコン汚職にからみ、大林組の株主の一人である松丸正弁護士が、同社の大林芳郎会長ら当時の役員10名を相手に損害賠償訴訟を求めた株主代表訴訟をし、1999年1月27日大阪地裁で和解した事件がある。http://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/2118.htm

この裁判の途中で、大林組の関係者と思われる人から、イロイロな情報が匿名で送られてきた。ゼネコンの社員の中でも良心的な人がいることに感動したことがあった。『談合業務課』を読んで思いだした。

鬼島 紘一氏のような人や、株主代表訴訟に匿名で情報を提供してくれるような社員がいたということは大林組の社員が社会からみると健全である証明だ。

公益通報者保護法が今年の4月から施行される。この法律は問題があるが、今後も内部告発を促進する法律に運用上、関係者が努力する必要性を痛感した。鬼島氏のような従業員が1人でも多くでるためにも。

日経新聞朝刊の月曜日に『法務』欄がある。取材もしっかりし、弁護士でも大いに参考になるので、良く読む記事だ。

先週(1/9)の16面の『傍聴席』に元特捜部の検事だった公正取引委員の三谷紘氏が『談合と決別する覚悟示す時』と題して次の談話を掲載していた。当日は見過ごしていたが、先ほど検索していたら発見。参考になるので引用する。

 ◎…「新制度により談合やカルテルの隠ぺいはますます困難になる」。元特捜検事で公正取引委員会委員の三谷紘氏は指摘する。4日から改正独占禁止法が施行され、談合など不正を自ら申し出れば刑事告発や課徴金を免除する日本初の“司法取引”の課徴金減免制度がスタートした。
 
 ◎…「談合をやめろと指示するだけでは企業トップの責任を果たしたとはいえない」と手厳しい。談合組織は長年にわたり築き上げられてきた共犯者の集まりで、決別は容易ではない。「利益を一時的に減らしてでも不正と決別する覚悟を示すべき」と訴える。

『談合をやめろと指示するだけでは企業トップの責任を果たしたとはいえない』という意見は時期にピッタリのコメントであり、全くそのとおりだ。こんなことは、特捜部の元検事に指摘して貰うまでもなく、とっくに企業には判っていることだ。

財団法人公正取引協会が定める『独占禁止法コンプライアンス・プログラム』がある。ほぼ次のような内容。
1会社の独占禁止法遵守の宣言
2従業員のための独占禁止法の遵守マニュアルの作成
3従業員への独占禁止法教育
4独占禁止法の遵守状況のチェック及び独占禁止法に関する疑問への回答の体制作り
5将来にコンプライアンス・プログラムの見直し
6法務部やコンプライアンス室を作り従業員に事前相談させるシステムを作る。

五洋建設(マリコン大手)が長崎県の公共工事について談合をしていた。課徴金1億6342万が会社に生じた損害として株主代表訴訟が今東京地裁民事8部に係属している。(平成15年ワ26706号事件)

被告役員は上記のような独占禁止法コンプライアンス・プログラムを作っていたので、責任がないという。しかし五洋建設は、この間に、次のような公取委から談合に関する排除命令や課徴金が命じられている

1 昭和63年12月8日 横須賀米軍工事談合で課徴金命令
2 平成4年6月3日   埼玉談合事件で排除命令
3 平成10年6月17日 関西地区の国、自治体の入札に関して談合をしないように警告(いわゆる
             平島栄西松相談役の告発に端を発した事件)
4 平成14年6月10日 長崎談合事件で排除勧告及び課徴金納付命令
5 平成15年6月13日 仙台市岩切駅土地区画整理組合談合で警告
6 平成16年7月13日 新潟市の公共工事の談合で排除命令

これを見ると、財団法人公正取引協会が定める『独占禁止法コンプライアンス・プログラム』に根本的欠陥があるのと見るのが常識。少なくとも、これを履行したから責任がないという主張は、何回も談合を繰り返す企業においては、全く『役立つ』独占禁止法コンプライアンス・プログラムでないことは明らかだ。

今後企業が『談合と決別する覚悟示す時』に相応しい独占禁止法コンプライアンス・プログラムをどう作るかが問われている。


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