弁護士阪口徳雄の自由発言

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政治とカネ

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政治とカネについて法律的に解説・コメントをします
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陸山会の土地取得が2004年10月に契約したが2005年1月に登記の時期がずれた理由が農地であったので、農地法に定める第5条の転用許可の為に時期がずれただけであると何人か、私のブログにコメントする方がおられた。
 コメント(1)
≪2004年の契約時には農地法上の所有権移転の制限にもし市街化農地と仮定すると登記の時期のズレは単なる農地転用許可の時期のより所有権移転の手続き自体が取れず、2004年の契約時には売買予約の仮登記をし、農地転用許可後の2005年に「小沢氏個人」に所有権移転がされたと想定できます≫
 コメント(2)
≪農地売買の通常の手順は ①売買契約(所有権移転仮登記)→②農地法5条の許可申請→③農業委員会の承認→④東京都知事の許可(許可指令書の交付)→⑤所有権移転の本登記農地法の許可は、申請から許可指令書の交付まで通常2ヶ月以上を要します。(どんなに頑張ってもこれ以上早くなりません。)そして上記の都道府県知事の許可指令書を添付しないと、所有権移転の本登記は受理されません。)≫ 
 コメント(3)
有名な≪永田町異聞≫さんも同じ意見というコメントまでもあった。 
小沢氏の「政治とカネ」問題は存在しない
検察審に知ってほしい小沢土地取引の真実
 
そこで、コメント(3)の案内で≪永田町異聞≫さんのブログを読ませて貰った。登記簿謄本を見たら農地であり、それに起因する遅れという内容であった。私も登記簿謄本をインタネットから、取得して調べた。
 
下記画像がその問題の登記簿謄本である。
イメージ 1
たしかに問題の土地は地目≪畑≫とあり農地である。
 
AさんからT株式会社が所有権を取得したのは平成16年3月。T株式会社は農地資格者でないから、この段階で農地法5条の移転の為の転用許可をうけるか、それとも、本件は市街化区域内農地であることから、農地法5条1項6号で、農業委員会への許可ではなく届出をしていると思われる。


第五条  農地を農地以外のものにするため・・・・・・、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 〜五 ()
 前条第一項第七号に規定する市街化区域内にある農地・・・政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地・・・以外のものにするためこれらの権利を取得する場合


ところで、普通の農地の場合は、農業委員会は月1回程度の会議であるので、許可を受けようとすれば、最低でも2カ月かかり、時には3カ月を要する場合もある。
 
しかし、市街化区域内農地における、上記届け出の場合は必要書類を提出すれば普通は1週間から10日もあれば受理通知が来る。そこで法務局にその書類を持参すれば登記が可能。
 
世田谷区役所はこの届出を会長に専決処分させている。
 
市街化区域内農地転用の届出に係る事務処理規程
これは事務手続きを早くするためである。
  
市街化区域内農地の転用届出書が提出されたら,
*届出に係る農地が市街化区域内の土地であるか
*届出書に法定記載事項が記入されているか
*農地法で定められた書類が添附されているか
を審査し,届出が適法であれば受理し,受理通知書を発行するだけだからである。
 
ネットで調べると例えば福岡市などはこの市街化農地の届出から受理通知までの1週間から10日前後としている。
 
おそらく関西の自治体でも似たり寄ったり。どこの自治体でも同じであろう。
 
ちなみに、本件対象土地はT株式会社が平成16年3月にA氏より購入した段階で上記届け出は終了しているのであろう。
 
この場合はもはや農業委員会から外れ、普通の土地として売買が有効になる(農地法5条の転用許可があった扱い)
 
それを同社が同年5月6日に28番5、28番19〜24の7筆に分筆し、順次6名(小沢氏は二筆)に売買している。 
 
ただ、地目が畑の場合に、大阪だと地目が農地のままでは法務局は移転登記を認めてくれない。
 
しかし、東京の法務局の慣例かは知らないが、地目を畑のままでも上記7筆全ての所有権移転登記を認めている。後日、7筆が宅地に地目変更していることが謄本を見れば判る。
 
おそらく現況が農地でない証明書か、何らかの証明書があれば登記を認めるのであろう。(判例の立場である)
 
なお、小沢氏のように仮登記をして、その後に本登記をしている人は上記6人のうち小沢氏しかいない。
 
それはともかく、農地だから、契約してから2カ月とかの期間が必要という上記コメントなどは上記農地法5条但し書の市街化区域内農地の届出から受理通知までの期間が1週間程度であること、及びこの小沢氏の土地を含む7筆の土地の移転登記の経過を見れば破たんする。
 
A氏からT株式会社に所有権移転本登記に農地法5条の届出が必要なことは条文の通りだが、T株式会社から小沢氏への所有権移転登記に農地法5条の届出が必要かどうかは不明だが、仮に必要であったとしても、契約して1週間もすれば登記ができるのである(農地法の解釈からすれば不要のように思える)
 
登記簿謄本によれば、小沢氏が契約した日は平成16年10月5日であること、同年10月29日に仮登記をしていることから、みれば、この10月29日段階では本登記も可能であったから残金も決済をした可能性が高い。100歩譲り、10月29日に契約したしても、仮に農地法5条の届出をしたとしても、11月初めか中頃には本登記が可能であったはず。すくなても、農業委員会の許可は不要だから2カ月もかかるという説は破たんしている。
 
仮登記を10月にしながら、本登記が翌年の1月になるというのは、何らかの「意図」がない限りあり得ない。単純に本登記が遅くなったとも言えない。
 
このような「意識して行った登記」、しかも4億円近い買い物を2004年に記載すべきところを2005年の記載ミスとも単純には言えないだろう。
 
 以上の問題は、契約日から本登記が遅れるのは農地だからということへの反論であって、この事実だけから小沢氏が有罪というわけではない。念のため。

≪追加解説≫
 
小澤氏の取得した土地(地番28番5、28番19)以外の分筆された5筆の所有権移転の本登記の日時、地目変更日、地目変更登記日を見ると、所有権移転の本登記はいずれも「畑」から「宅地」への変更前になされている。

28番Aの土地の所有権移転の本登記日はH16/6/15、地目「畑」から「宅地」への変更日はH16/12/18(登記日はH17/1/25)。
 
28番Bの土地の所有権移転の本登記日はH16/6/11、地目変更日はH16/11/24(登記日はH17/1/27)
 
28番Cの土地の所有権移転の本登記日はH16/10/29地目変更日はH17/4/6(登記日はH17/4/15)
 
28番Dの土地の所有権移転の本登記日はH16/6/10、地目変更日はH19/3/31(登記日はH19/5/14)。
 
地番Eの土地の所有権移転の本登記日はH16/6/15、地目変更日はH16/12/10(登記日はH16/12/17)。
≪小沢氏の「議決無効」請求は却下か≫


小沢氏の「議決無効」申し立て、地裁が近く判断 201010181307  読売新聞)
 小沢一郎・元民主党代表(68)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「起訴すべきだ」とした東京第5検察審査会の議決は無効だとして、小沢氏が国を相手取って東京地裁に申し立てた議決の執行停止と、強制起訴を行う指定弁護士の選任の仮差し止めについて、国側が「刑事司法の中で争うべきだ」として却下を求める意見書を同地裁に提出したことが、関係者への取材で分かった。 これを受けて同地裁は一両日中にも、判断を示すとみられる。 小沢氏は、国に起訴議決の取り消しや指定弁護士の選任差し止めを求める行政訴訟も起こしており、この訴訟の審理は今後、本格化する。


読売新聞の以上の報道の通りとすれば、小沢氏側の請求が却下されることになろう。いわゆる門前払い裁判である。
 
普通はこのような事件で小沢氏側の請求に相当な理由があると裁判所が考えれば、裁判所は小沢氏側に、国の答弁書に対する反論の機会を与え、順次何回か、書面審理ではあるが、双方で書面のやりとりをするものだ。
 
それをしないで、国の答弁書がでるなり、裁判所が一両日中に判断をすると言うことになったとすれば、小沢氏側の実体上の請求を審査するまでもなく、ソモソモ検察審査会の議決の取消訴訟、無効確認請求が「裁判所法3条が規定する法律上の争訟」に該当しないと判断すると思われる。
 
ちなみに検察審査会の議決に関する最高裁昭和41年1月13日判決の下記青色部分の理由で小沢事件も却下するのであろう。
 
≪検察審査会の議決に対しては・・・裁判所法三条が規定する、裁判所の権限事項としている「法律上の争訟」とは、・・・法規の適用によつて解決し得べき当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争をいうものと解すべきであり、また、検察審査会の議決が申立人または第三者の具体的な権利義務ないし法律関係に対して直接の影響を与えるものでないことは、検察審査会法四一条の規定の解釈上疑いを容れないところである。≫とした。
 
別件で検察官に起訴せよともとめた裁判で、裁判所は次のような理由で却下した。
≪裁判所と検察庁の機能を全然区別したわが刑事訴訟制度の根本原則に前述の告訴及び公訴権提起の性質を照らし合わせて考えれば・・・・裁判所に行政事件訴訟を提起することは、できないものといわねばならぬ≫
この理論も検察官の権限を裁判所で審査することは司法裁判所の権限外の行為であるとした。理由の書き方が違うが、司法裁判所が扱う≪法律上の争訟≫でないというのであろう。検察審査会の議決も同じ理由にするようだ。
 
しかし、上記考え方は裁判所の伝統的な考え方であるが、検察官の権限行使と検察審査会の議決とは違うのであるから、司法審査の対象にすべきではないかと思う。
 
≪追加≫上記ブログを書き投稿して、ネットを見ると却下決定が出たという報道があった。却下理由は不明だが、おそらく上記≪法律上の争訟≫に該当せずという理由に思われる。このような伝統的解釈を取るなら、本案の裁判も長くかからず2回か3回の弁論で終結、判決となろう。

小沢氏側の強制起訴手続き停止認めず 東京地裁

朝日新聞 2010年10月18日19時47分
 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京地裁(川神〈かわかみ〉裕裁判長)は18日、東京第五検察審査会の「起訴議決」の執行停止と、検察官の代わりに小沢氏を強制起訴する「指定弁護士」を選ぶ手続きの仮の差し止めを求めた小沢氏側の申請を、いずれも却下する決定をした。
 強制起訴手続きができて以来、検察審査会の議決の有効性が争われた初めてのケースとなった。
 執行停止や仮の差し止めは、正式な裁判の確定を待っていては重大な損害が生じる場合などに裁判所が早急に仮の状態を定める手続き。小沢氏は第五審査会の起訴議決は無効だとして15日、国を相手に議決の取り消しや強制起訴に向けた指定弁護士の選任の差し止めを求める行政訴訟を起こした。同時に、強制起訴手続きが進むと回復できない損害があるとして、判決前に一時的に手続きを止めるよう求めていた。


 

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≪小沢氏検察審査会の起訴議決は無効となるか≫


小沢氏、15日に国を提訴 検察審査会の議決「無効」
共同通信20101014 2004
 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、強制起訴すべきと議決された民主党の小沢一郎元代表が、「議決内容に欠陥があり無効だ」として起訴手続き差し止めを求める国相手の行政訴訟を15日に東京地裁に起こすことが分かった。
 小沢氏の了承を得た代理人弁護士が14日、明らかにした。提訴と同時に、検察官役となる指定弁護士を東京地裁が選任しないよう求める仮差し止めも申し立てる。
 昨年5月の改正検察審査会法施行後、審査員11人中8人以上の賛成が必要となる起訴議決は、兵庫県明石市の花火大会事故や尼崎JR脱線事故、沖縄県の未公開株詐欺事件に続き4件目となったが、不服とする提訴は今回が初めてとなる。
 東京第5検察審査会が4日に公表した議決は、土地購入費約3億4千万円を本来記入しなければならない2004年分報告書に載せず、05年分に載せたなどとする告発容疑に加え、購入費には小沢氏が用意した4億円が充てられた、と認定した。
 4月に「起訴相当」とした1回目の議決で認定した「容疑内容」には、購入費の出どころは盛り込まれていなかった。
(共同) 


共同通信の記事によると、小沢氏の2010年4月の起訴議決と今回の起訴議決の内容が違うという点にあり、検察審査会法に違反し、無効という主張のように見える。
 
検察審査会の議決の取消又は無効確認ができるかどうかは、旧法の検察審査会時代に最高裁は1966年(昭和41年)1月13日検察審査会の議決に対しては行政訴訟ができない(裁判所法第3条にいう「法律上の争訟」に当たらない)と訴えを却下した。http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=66395&hanreiKbn=01
 
検察審査会法が改正され、2度目の議決の場合は起訴議決を受けた裁判所は起訴に従事する指定弁護士を指名する義務を命じられている。(法41条の9)裁判所から指定された弁護士は、検察審査会の起訴議決にかかる事件について起訴することを義務づけられている(法41条の10)
 
この議決は裁判所に指定弁護士選任を義務つけ、その指定弁護士に起訴を義務付けている以上、議決を行政処分と見、その名宛人は裁判所、指定弁護士であり、第3者に対する行政処分であるが、小沢氏はその処分により不利益取扱を受ける以上、原告適格はあるだろう。
 
行政訴訟をする以上、検察審査会の議決の取消、無効確認となろう。 
 
従って、旧法とは違い「法律上の争訟」に該当し、行政処分性もあり、原告適格もあると思われ、以前のように門前払いは簡単ではなさそうだ。
 
国の主張は、上記弁護団の主張に対して、以上の検察審査会法の規定する手続きは強制起訴という処分に至る手続(=行政機関内部の関係)だから、通常の検察官の起訴処分に関して行政訴訟ができないと同様に「法律上の争訟」に該当しない等として却下を求めるだろう。
 
国の処分の取消訴訟、無効確認訴訟などの行政事件を拡大する方向で、何件も訴訟をしている弁護士から見ると、本件でも行政訴訟ができるという小沢弁護団説には賛成だ。
 
問題は弁護団の主張するように今回の検察審査会の議決が無効かどうかである
 
検察審査会の議決は「検察官の公訴を提起しない処分の当否」について議決することになっている。
 
検察官の不起訴処分の正確な内容は公表されていないので、何とも評価できないが、第1回議決書のうち「被疑事実の要旨」記載の事実が「検察官の公訴を提起しない処分」だとすると、第2回の「別紙犯罪事実」を起訴すべきとする事実とは違うことはその通りである。
 
その違いだけで起訴議決は無効になるとは簡単には私には思えない。
 
この事件で問題となっている公訴事実(=社会的事実)は
 
    陸山会は2004年(平成16年)10月に土地を購入したこと、
    その代金として3億4264万円を支払ったこと、
    そのカネは小沢氏が立替かどうか別として小沢氏のカネでまず支払ったこと、
    そのあと間もなく小沢氏が銀行から4億円を借り、それを陸山会に貸付けしたこと、
    土地の登記は2005年(平成17年)1月であったこと、
    陸山会の2004年(平成16年)度の収支報告書には、上記のような事実が記載されずに提出されたこと
にあると思われる。
 
上記公訴事実(=社会的事実)に対して検察官は不起訴処分をしたと思われる。第1回議決記載の「被疑事実の要旨」の通り不起訴処分したとしても、上記②③④の事実の不記載も検討した上で、不起訴処分にしたと解するのは自然。
 
検察官の記載された「被疑事実の要旨」だけではなく、上記公訴事実(=社会的事実)の中にも犯罪を構成する事実がなかったとして不起訴処分をしたことになる。従って検察官の不起訴処分は記載されている事実以外の上記公訴事実(=社会的事実)も不起訴にしたと解することになる。
 
この社会的事実を検察官が不起訴にしたので、検察審査会の審査はその当否を審査できることになる。
 
第2回の審査会の議決が上記②③④の事実を起訴議決したとしても、検察官が不起訴処分にしている以上、それを審査の対象にできる以上、起訴議決しても検察審査会法に違反するとは思えない
 
検察の処分の表面的な「被疑事実の要旨」と検察審査会の議決内容の少しの違いで、起訴議決が違法となり、無効になるなら、大阪の市民団体が東京地検に背任、横領罪で告発している2.5億円の河村官房長官の食い逃げ事件などを検察が不起訴にした場合を想定すればこの不当性は明らかとなる。
 
この事件の社会的事実は、次のような事実であったとしよう。
 
    2009年9月に河村長官が2.5億円を国庫から引き出したこと、
    それを政策推進費、調査情報活動費、関係活動費名目で費消した、
    上記名目の支出の中に2億円が情報収集費(政策推進費)や会合費(調査情報対策費)があった(仮定)
 
上記社会的事実について、検察官は河村の使ったカネの2・5億円は背任、横領の犯罪については嫌疑不十分という不起訴処分をしたと仮定しよう。大阪の市民団体が検察審査会に異議の申し立てをして、第1次検察審査会が2.5億円のうち5000万円は通常の官房報償費に支出したが、残りの2億円は背任、横領で起訴議決をしたとしよう。
 
第2回検察審査会がよくよく記録を調査したところ、最初から、2億円は、自民党の為の費用を、情報収集費(政策推進費)会合費(調査情報対策費)名目で支出する為であったして、最初から国庫から2億円を騙すつもりで請求したから詐欺で起訴すべきとなった場合を想定すれば、第1回起訴議決と第2回起訴議決が違うことは明白。だからと言って、2回目の起訴議決が無効になるとすればこれはおかしい。
 
小沢議員の弁護団がどのような事実をとらまえ、無効と主張するのかは判らないが、上記のような違いを言うなら、法的には裁判所に採用されないだろう。
 
2004年から2005年3月までの収支報告書の虚偽記載、不記載の公訴事実(=社会的事実)を対象にしているときに、実は、記録を読むと2006年の社会的事実の中に、犯罪事実があった。ところが検察官見落としていたというような場合は2004年の社会的事実と2006年の社会的事実は明らかに違うのだから、もし検察審査会が起訴議決をしたような場合は無効と言えるが、小沢議員の場合はそのような違いがあるのかどうか。
 
(注)なお、以上は検察審査会の議決の手続きが違法かどうかの議論であって、強制起訴が有罪になるかどうかとは別の議論。念のため。

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平成22年東京第五検察審査会審査事件(起相)1
(平成22年東京第五検察審査会審査事件(申立)10)
申立書記載罪名 政治資金規正法違反
検察官裁定罪名 政治資金規正法違反
議決年月日 平成22914
議決書作成年月日 平成22104
 
議決の要旨
審査申立人
(氏名)
被疑者
(氏名) 小沢一郎こと 小澤一郎
不起訴処分をした検察官
(官職氏名) 東京地方検察庁 検察官検事
議決書の作成を補助した審査補助員 弁護士
当検察審査会は、上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検平成22年検第11022)につき、平成22521日上記検察官がした再度の不起訴処分の当否に関し、検察審査会法第41条の21項により審査を行い、次のとおり議決する。
 
議決の趣旨
 
別紙犯罪事実につき、起訴すべきである。
 
議決の理由
 
1  被疑事実の要旨
 
被疑者は、資金管理団体である陸山会の代表者であるが、真実は睦山会において平成1610月に代金合計34264万円を支払い、東京都世口谷区の土地2(以下「本件土地」という。)を取得したのに
 
1  陸山会会計責任者A(以下「A」という。)及びその職務を補佐するB(以下「B」という。)と共謀の上、平成173月ころ、東京都選挙管理委員会において、平成16年分の陸山会の収支報告書に、本件土地代金の支払いを支出として、本件土地を資産としてそれぞれ記載しないまま、総務大臣に提出した
2  A及びその職務を補佐するC(以下「C」という。)と共謀の上、平成183月ころ、東京都選挙管理委員会において、平成17年分の陸山会の収支報告書に、本件土地代金分過大の415254243円を事務所費として支出した旨、資産として本件土地を平成1717日に取得した旨それぞれ虚偽の記入をした上、総務大臣に提出した
ものである。
 
2  検察官の再度の不起訴処分
 
嫌疑不十分
 
3  検察審査会の判断
 
1  再捜査について
検察官は再捜査において、被疑者、ABCを再度取調べているが、いずれも形式的な取調べの域を出ておらず、本件を解明するために、十分な再捜査が行われたとは言い難い。
 
2 供述の信用性
 
(1) Bの供述について、4億円の出所や土地取得資金の記載を翌年にずらした偽装工作の動機に関する供述に不合理・不自然な点もみられるが、4億円の出所、偽装工作の動機に関する供述は真の動機を明らかにできないことから、苦し紛れの説明をせざるを得なかったもので、被疑者に報告・相談等したことに関する供述とは局面を異にする。そして、Bは被疑者を尊敬し、師として仰いでおり、 Bが被疑者の関与を実際より強める方向で虚偽の供述に及ぶことや被疑者を罪に陥れるための虚偽の供述をすることはおよそ考え難い。
さらに、再捜査において、検察官から被疑者に不利となる報告・相談等を認める供述をした理由を聞かれ、合理的に説明し再捜査前の供述を維持していることなどから、前記Bの供述には信用性が認められる。
 
(2) Bの被疑者に報告・相談等したとの供述について、被疑者の了解を得たとする場面での具体的なやりとりがなく、迫真性があるものとまで言えないとして、また、Bの説明に対する被疑者の反応も受身のものであるとして、Bの供述の信用性を消極的に評価することは適切ではない。Bが取調べを受けたのは、被疑者に説明・相談し、了承を得たときから5年ほど経緯した時点である上、Bにとって、日常的な業務の場所である被疑者事務所で、用意した資料に基づいて報告・説明したのであるから、そのときのやりとりや状況に特に記憶に残るものがなかったとして、何ら不自然、不合理ではなく、本件では、細かな事項や情景が浮かぶようないわゆる具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ作為性を感じ、違和感を覚えることになるものと思われる。
 
3  C供述の信用性
 
Cは、「平成17年分の収支報告書を提出する前に、被疑者に土地代金を計上することを報告し、了承を得た」旨の供述をしていたが、再捜査において、この供述を翻し、これを完全に否定するに至っている。
 
(1) Cの被疑者に報告し了承を得たとの供述について、Bからの会計補助事務の引き継ぎにおいて、本件土地代金の収支報告書での処理に関する方針についても引き継ぎがなされていることは、Bの供述と符合するものである。そして、CBと同様に、被疑者を尊敬し、師として仰いでおり、Cが被疑者の関与を実際より強める方向で虚偽の供述に及ぶことや被疑者を罪に陥れるための虚偽の供述をすることはおよそ考え難いことなどから、Cの変遷前の供述には信用性が認められる。
 
(2) Cの供述について、Bの供述と同様に、被疑者の了解を得たとする場面での具体的なやりとりがなく、迫寅性があるものとまで言えないとして、また、Cの説明に対する被疑者の反応も受身のものであるとして、Cの供述の信用性を消極的に評価することは適切ではない。その理由は既にBの供述について述べたとおりである。
 
(3) Cは、再捜査において、被疑者に報告し了解を得た供述を翻し、これを否定しているが、その理由として、Cは、前供述当時から明確な記憶があったわけではなく、曖味な記憶に基づいて話してしまったが、冷静になって記憶を呼び戻した結果、はっきりなかったと思い至ったというほかない旨の説明をしているが、Cは逮捕前から、Aへの報告を否定しつつ、被疑者への報告、了承を供述しており、記憶に従つて供述していたことが認められることから、不合理な説明である。そして、再捜査における取調べにおいては自らの供述が被疑者の刑事処分に影響を及ぼしかねないことをおそれていることが明らかであることなどから、Cの変遷後の供述は信用できない。
 
4  被疑者供述の信用性
 
(1) 被疑者の本件土地購入資金4億円の出所について、被疑者の当初の説明は著しく不合理なものであつて、到底信用することができないものである上、その後、その説明を変えているが、変更後の説明も著しく不合理なものであつて、到底信用することができないものである。被疑者が本件4億円の出所について明らかにしようとしないことは、被疑者に収支報告書の不記載、虚偽記入に係る動機があつたことを示している。
 
(2) 被疑者は、本件土地購入の原資を偽装するために、銀行から陸山会の定期預金4億円を担保に被疑者個人が4億円を借り入れるに際して、融資申込書や約束手形に署名・押印したことに関し、「Bから特に説明を受けることなく、求められるままに署名した」旨の供述をしている。しかし、被疑者は、本件土地購入資金として4億円を自己の手持資金から出したと供述しており、そうであれば、本件土地購入資金として銀行から4億円を借入れる必要は全くなかつたわけであるから、年間約450万円もの金利負担を伴う4億円もの債務負担行為の趣旨・目的を理解しないまま、その融資申込書や約束手形に署名・押印したとの点については、極めて不合理・不自然である。また、本件土地購入資金の原資を隠すために偽装工作として、4億円の銀行借入を行つたのであれば、原資の4億円については収支報告書に記載されないことになり、その偽装工作のために収支報告書の不記載、虚偽記入がなされることは当然であつて、このような銀行借入を行うことを了承して自ら融資申込書等に署名・押印している以上、当然に不記載・虚偽記入についても了承していたものと認められることになる。
 
5 状況証拠
 
前記の定期預金担保貸付が行われた際に、被疑者が融資申込書や約束手形に署名・押印していることのほか、 427日付け検察審査会議決において指摘されているように、平成161029日に売買代金を支払い取得した土地の本登記を平成1717日にずらすための合意書を取り交わし、合意書どおりに本登記手続を同年17日に行うなど、土地取得の経緯や資金についてマスコミなどに迫及されないようにするための偽装工作をしている。また、被疑者とBACの間には強い上下関係があり、被疑者に無断でBACが隠蔽工作をする必要も理由もない。
 
さらに、被疑者は、平成19220日に事務所費や資産等を公開するための記者会見を開くにあたり、同年2月中旬ころ、Cに指示し、本件土地の所有権移転登記が被疑者個人の名義になつていることから、本件土地が被疑者個人の財産ではなく、陸山会の財産である旨の確認書を平成1717日付けで作成させ、記者会見の場において、被疑者自らこの偽装した確認書を示して説明を行つている。この確認書の作成年月日の偽装は事後的なものであるが、収支報告書の不記載・虚偽記入についての被疑者の関与を強く窺わせるものである。
 
6 まとめ
 
以上の直接証拠及び状況証拠に照らし、検察官が、被疑者とABCとの共謀を認めるに足りる証拠が存するとは言い難く、結局、本件は嫌疑不十分に帰するとして、不起訴処分としたことに疑問がある。
検察官は、起訴するためには、的確な証拠により有罪判決を得られる高度の見込みがあること、すなわち、刑事裁判において合理的な疑いの余地がない証明ができるだけの証拠が必要になると説明しているが、検察官が説明した起訴基準に照らしても、本件において嫌疑不十分として不起訴処分とした検察官の判断は首肯し難い。
 
検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思つて起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によってほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴を躊躇した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる。
 
よって、上記趣旨のとおり議決する。
東京第五検察審査会

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石川議員ら無罪主張へ=虚偽記載、一転否認方針―24日から公判前整理・陸山会事件
時事通信 920()1418分配信
 小沢一郎民主党元幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、起訴された衆院議員石川知裕被告(37)ら小沢氏の元秘書3人の第1回公判前整理手続きが24日、東京地裁で開かれる。石川被告は捜査段階から一転して無罪を主張する方針で、公判は検察、弁護側の全面対決となりそうだ。
 同手続きは11月まで計8回予定されており、早ければ年内に初公判が開かれる見通し。

 石川被告らは、200410月に東京都世田谷区の土地を購入する前に、陸山会の口座へ入金した小沢氏からの借入金4億円を、同年分の収支報告書に記載しなかったなどとして起訴された。

 関係者によると、石川被告側は、同年分の報告書には「借入金 小沢一郎 4億円」と記載されており、虚偽記載には当たらないと主張する方針。特捜部は、記載されたのは土地購入の直後に銀行から融資された別の4億円で、小沢氏からの借入金ではないとの立場だ。

 石川被告は虚偽記載を認める供述をしていたが、公判では供述調書の信用性を争うという。

 元公設第1秘書大久保隆規被告(49)も、「記載内容の詳細な報告は受けていなかった」として、石川被告らとの共謀を否定するとみられる。


≪小沢秘書の否認は裁判所で認められるか?≫
 
小沢議員が『真っ白』と主張しているのに、石川秘書らが虚偽記載を認めているとうのは、モトモトおかしいと疑問を持っていた。
 
秘書が認めていたのは、陸山会での土地購入代金を小沢から借りた4億円で調達しながら、同議員のタンス預金の4億円を隠ぺいする為に、これを記載しないなら、小沢議員のマネーロンダリングを秘書が行った感じ。
他方、陸山会での土地購入資金の資金をモトモト銀行の借入金で支払う予定であったが、借入金が間に会わず、そのために小沢議員のタンス預金の4億円を一時的に借入した(一時的な立替)というなら、それを記載しなかったからと言って、これは良くある形式犯の話。
息子が自宅購入資金を銀行に借入を申しこんでいたが、時間の都合で間に合わず、父親から一時的に立替て貰い、最終的に銀行から借りれた場合と同じ。
検察並びに第5検察審査会の「起訴議決」は小沢のタンス預金を隠ぺいする為に、ワザワザ、銀行から借り入れした悪質事案という構図。
小沢議員は、上記のごとく秘書が何故記載したか、その説明をすべきだが、何ら『やましいことはない』という抗弁だけで、上記の説明を一切拒否していた。これでは疑われても仕方がない
しかし、秘書が否認するなら、最初から否認すべきだったし、保釈で出たあとでも直ちに釈明、否認すべきだったが、今頃、否認するようでは「政治的」には遅すぎた感じが否めない。
裁判所でも、秘書の言い分が認めれられる可能性が低いと思うが、小沢議員の立場からすれば、徹底抗戦しか道がないのだろう。
それにしても、この事件は検察が仕掛けた事件か、それとも小沢議員の持つ本質的なカネにまつわる政治とカネ問題がタマタマ追及されただけか、意見が分かれる。
政治資金オンブズマンが小沢議員の巨額の組織活動費について質問状を出しているが、小沢議員の腰巾着議員からは何の説明もない。
小沢議員の応援団から、小沢批判に対する文句が出るようなら、組織活動費の実態を法的な土俵に乗せ、その実態を明らかにして貰うしか道がないのかと悲しくなる。
 

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