弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

株主と会社

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 ライブドアーの株主を含む金融商品被害110番が実施される。本日(1/26)朝のテレビで報道された。実施主体は『東京先物研究会』で東京の紀藤正樹弁護士らが中心になっている金融、証券問題の専門弁護士グループである。

日時:2006年1月28日(土)
午前10時〜午後4時
電話番号:03−5211−5841
*当日のみの電話番号。無料
なお、紀藤弁護士のHPに詳しいことが記載されている
http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/

 今までは証券取引法の虚偽記載を理由に裁判をしていたのは、大阪の弁護士グループばかりであったが東京でこのようなライブドアーのような虚偽記載に関する大量、被害に取り組む弁護士グループが出来たことは本当に頼もしい。ご苦労さんと言いたい。おそらく110番を実施しても、今後の捜査の成り行きやライブドアー本体の様子を見ることになるだろう。

なお、西武鉄道の虚偽記載の損害賠償訴訟のHPがある。
http://www.ne.jp/asahi/seibu-tetudou/kabunushi-bengodan/seibu,top,dantyouaisatu.html
現在何が争点となっているか、報告されている。一番難しいのはどうやら株主の損害額のようだ。
最後は民訴法248条で裁判所が決断するしか方法がないだろう。

なお西武鉄道の場合は個人株主だけでなく、年金事業団や多くの法人が西武への損害賠償訴訟を次々と請求しているので勝訴しても100%の補償ができるのか心配だ。このような大量の被害の救済裁判は、判決の確定まで行くと何年かかるか判らない。薬害訴訟で東京地裁の可部和解勧告があったように、裁判官が今後の参考事例になるような『裁判官の所見』を公表し、職権和解勧告することを願う

*薬害に関する裁判だけでなく、神戸製鋼所株主代表訴訟で神戸地裁が取締役の責任について『所見』を公表して和解したケースがある。この所見が上場企業のコンプライアンスの参考例になった。

【政府は24日の政務官会議で、ライブドアー関連株などが急落していることに関し、経済犯罪の影響で株主が損害を被った場合の救済策を検討していくことを確認した】という小さく新聞記事に掲載されていた。(1/25産経新聞朝刊2面)

遅きに失したが、これは賛成だ。

事前規制から事後規制への転換が叫ばれ規制緩和が進められた。株式100分割とか考えられないことが行われる。それをマスコミが改革だと言って煽る。評論家も持ち上げる。それを知らない個人投資家が買う。結果、株も信じられない上がり方をする。その上、政治家も「わが弟であり、わが息子」とか「小泉、私(=竹中)ホリエモンが一緒になって郵政改革をするめる」などボルテージをあげる。おおくの個人株主があおられ、ライブドアーの株の購入に走った。

しかし今回の捜索、逮捕に到った。上場廃止になる可能性が大だ。株主が損害を受けても自己責任であると放置することは情報のない弱者が結局のところ損害を受けることはライブドアーの結果をみれば一目瞭然だ。
ライブドアーの大口株主に機関投資家が殆どなく、半数以上が個人投資家であることがこれを証明している。

今回のような会社、役員が有価証券法に違反した結果、上場廃止になる場合の株主の損害賠償が簡易、迅速に出来る法律を、個人投資家の保護の視点から早急に作るべきだ。それは長い目でみれば、我国の株主市場を活性化する道だからだ。

1 会社、取締役が有価証券法に違反して有罪の刑罰を受けた場合に
2 その会社が上場廃止になった場合で
3 その損害を受けた個人株主について(事件後に買った株主などは除外するなど)
4 簡易、迅速にその損害額を判定して(民事訴訟法248条のような条文を作り)
5 会社、役員、監査法人などに命じる
6 第3者機関をつくるか(この場合の命令に不満があれば訴訟に移行できる。しかし命じれた会社側は  出来ないなど)
7 又はアメリカのようなクラスアクション制度
を作る必要性を痛感する。

個人の投資家を救済する道は、司法上はあっても時間と費用がかかり、現実は泣き寝入りするしか道がなくなるからだ。

個人投資家と事業者の区別をどうするかが問題だが、本来は区別する必要性がない。
しかし、全ての投資家にすると経済界等の抵抗勢力が自民党等に政治献金をして反対する。
その為には当面、個人投資家に限り、その被害額を例えば一定の額に限定するなどするのも一案だ。
ないよりましだ。長い目でみれば、個人投資家を株式市場に呼び込み、株主市場を活性化する
一つの道となるからだ。

同じテーマーで1/23付のブログを書いた。この内容はライブドアー本体の有価証券虚偽記載の場合の株主の権利について書いた。その後にライブドアーの役員が逮捕された。逮捕事実は新聞報道によると、偽計、風説の流布罪であることが判明。以前のブログを少し訂正する必要がでた。以下に逮捕事実を考慮して記載する。

質問1 
 ライブドアーの社長らが逮捕された。今後もし上場廃止になれば、株主が大きな損害を受ける可能性がある。損害賠償が出来るか?
回答1
 逮捕事実は証券取引法158条違反だ。この事実に違反した場合に株主が損害賠償が出来るという条文がない。しかし民法の不法行為に該当する可能性が高いので損害賠償が可能だ。しかし、この偽計、風説の流布と株を高く買わせた因果関係が議論となるので訴訟は相当複雑となろう。
質問2
 もし今後捜査の過程で、ライブドアー本体の2004年9月期の有価証券虚偽記載(粉飾決算)で起訴された場合だとどうか
回答2
 その場合は証券取引法24条の4(準用される22条及び21条)によると有価証券報告書に重要な事項について 虚偽の記載がある場合は、会社、役員、監査法人は連帯して賠償する責任があると規定している
 但し21条2項に役員などが『相当の注意を用いたのに虚偽記載を知らなかった場合は責任がない』 という規定になっている。
 今回のライブドアー本体の虚偽事実が報道されているとおりなら、「重要な事項」にほぼ該当するだろう。売り上げが100億前後で十数億の利益の付け替えがあったとすれば「重要な事項」に該当すると思われる。 訴訟は可能だし、勝訴の可能性もあるように思う。
質問3
 幾ら損害額の請求ができるのか
回答3
 買ったときの価格から、この事件が発生したことによって下落した額が請求できることになる
 例えば買った価格が600円で、売った価格が300円とすればその差額となる。上場廃止になれば、その株式金額を幾らとするかは難しい。しかし理論的価値は算定できるので その価格が損害となる。
なお、株主の損害額についての争いがでたときは最終的には「損害がでたことが明確だがその額が極めて困難な場合は」に該当し民事訴訟法248条で裁判所が認定することが出来る条文がある。
ただ判決で、株主にも「過失相殺」され、減額される覚悟が必要だろう。
質問4
 売ってしまった場合でも訴訟ができるか
回答4
 その場合は買った時の資料と売った時の資料を保存しておればOK
質問5
 もし会社が潰れ、役員も一文なしになったらどうなるのか?
回答5
 相手が支払い能力がなければ、費用と時間の無駄になる。財産がない者から法的には取れない。ない人ほど強いものはない。
 ライブドアーの一番の難しさは、会社が存続できるかどうかだ。
 判決で勝訴しても、会社がつぶれればどうしようもない。優良子会社が残ればその株式や、テレビ会社の株式位が配当財源になるが、しかしその場合でも株主であるだけで当然に配当がない。訴訟して損害額を確定させる必要がある。
 
質問6
 監査法人にはどうか
回答6
 監査法人に請求が出来る条文になっている。どの程度関与しているかどうかだ。なお監査法人は賠償保険に入っているので、取れるかも知れない。 但し保険約款には、公認会計士が『故意、又は重過失』の場合は保険が降りないことになっている。 もし公認会計士も「グル」だと保険が出ないの可能性があるので要注意。
質問7
 同じような有価証券虚偽記載を理由にしても訴訟は過去にあるか
回答7
 最近では西武鉄道の虚偽記載事件の損害賠償事件がある
 西武の場合はチャントした『実業』があったから、株主も損害賠償が出来る。現在も東京地裁で係争中だが。
質問8
 それ以外はどうか
回答8
 日住金の株主、ヤオハンの株主が訴訟をして和解をしている。日住金はたしか約20%で、ヤオハンは90%位で和解したと聞いている。
 山一証券の場合は破綻会社との間で約20%で一部和解した。しかし監査法人への請求やそごうの株主の請求は現在も係争している。監査法人は相当の注意をもってしても発見できなかったとか、当時は引当金を積む必要がなかったなどの反論で長引いている。
質問9
 集団訴訟が起こるか
回答9
 どこかの弁護団が集団訴訟を呼びかければ応援する用意がある。しかし株主オンブズマンでは今のところ、積極的に弁護団を組織したり、株主への集団訴訟の呼びかけは考えていない。
 株主数が多くて大変さが先にあると同時に、何より、勝訴しても取れる可能性が今のところ読めないからだ。
 もし勝訴しても取れなければ、「泥棒に追銭」となり、株主に2次被害を与える。
質問10
 今後、このような小額の多数の株主被害の救済訴訟についてどうすれば良いのか
回答10
 規制緩和は結局のところ多くの投資家に損害を与える。規制緩和する場合は、事後救済制度を作りその上で規制緩和があるはずだ。わが国の規制緩和は、まず緩和ありきで、事後救済は放置されている。
 アメリカの規制緩和を導入した結果、このような損害がでたのだから、訴訟もアメリカのクラスアクション制度を導入することだ。都合の良い場合は規制緩和と言いながら、他方では小額多数の事後被害者救済を放置するのは本末転倒だ。(今回は間に会わないが)
  
※直前の有価証券報告書によると個人株主が218,775人である。持ち株総数は582,251,880株(全体の55.5%)だから1人あたりは2661株だ。多くの個人株主は1000株以下だろう
これを見ると数万円から十数万円の損害の人も多い。初めての投資家も多いのでないかと思う。

今までは改革の旗手とか言ってライブドアーをほめ讃え、個人投資家を煽り、捜査が入ったトタンに自己責任と言って切り捨てる一部マスコミ、評論家には抵抗がある。

個人株主に殆ど知られていなったライブドアーに、これだけ多くの人に投資をさせた本当の被告は、ライブドアーを持ち上げた、マスコミや評論家や政治家ではないのか。

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