弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

株主と会社

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
株主代表訴訟についての監査役から株主への不提訴通知(会社としては役員に損害賠償をしないという通知)の内容が大幅に変わった。しかし、実態は変わらない。
 
その内容を比較検討しよう。
 
以下の通知書は、会社法の改正前に不提訴通知のあった橋梁談合企業の監査役からの回答である。(この画像にマウスをあてると右下に拡大する+がでるのでそれをクリックすると鮮明に見える)


 
 
イメージ 1


住友電工の監査役からの不提訴通知は株主の権利弁護団のHPに掲載されている。
 
住友電工の監査役の不提訴通知は上記の不提訴通知と比べて、極めて親切、丁寧。住友電工の監査役がどのような調査をして、どのような理由により、不提訴に至ったか、その資料などを掲載し、不提訴理由はそれなりに判る。

会社法の改正により不提訴通知の内容が詳しくなった点は評価できる。
監査役の調査にも『外部弁護士』を入れ、調査をしている点では、それなりに評価すべきであろう。
 
しかし、会社法が改正され、不提訴通知は、少しは詳しく記載されることになったが監査役は、役員の違法、不正行為に関して、自ら提訴すべきと結論した事件は知らない。
 
監査役は会社法上、あたかも独立の機関かの如く位置づけられているが、所詮、社長に選ばれた≪恩義≫のある従業員見たいなもの。このような監査役に役員の違法、不正行為の調査・提訴権限を与える会社法自体が自己矛盾。
 
住友電工のようなカルテルなど会社の為に行う行為を、一従業員がコッソリ、上司に黙って、秘密裏に仕事をするなどおよそ信じがたい。そのようなことを監査役のヒヤリングで、平気で言う会社の役員達は、『私は経営者として無能で、ボンクラでした』と自白するようなもの。
 
従業員がコッソリ、カルテルをしているのを知らずに、会社に69億円の損害を与えたのなら、即刻会社の役員を辞任し、株主・従業員にお詫びすべきであろう。
 
不提訴通知に、株主代表訴訟で、69億円賠償を恐れ、リーニエンシ―の手続きをしようと準備していたが、他社の方が早かったという泣き言などは、天下の住友電工の役員が主張する内容ではないだろう。お粗末そのもの。
 
役員を辞任もしないなら、堂々と本音を語ってはどうか。
≪会社はコンプライアンスでは飯が食えぬ。カルテルを知っていたが、会社の利益の為に、容認、黙認していたと。それが何故悪いのか≫と。

不提訴通知に関する会社法、規則の条文を引用する。


会社法(責任追及等の訴え)
 
第847条  6箇月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により・・・役員等の責任を追及する訴え、・・・・・の提起を請求することができる。
2(略)
3  株式会社が第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4  株式会社は、第1項の規定による請求の日か60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
 
 会社法施行規則

(訴えを提起しない理由の通知方法)
第218条  法第847条第4項 の法務省令で定める方法は、次に掲げる事項を記載した書面の提出又は当該事項の電磁的方法による提供とする。
一  株式会社が行った調査の内容(次号の判断の基礎とした資料を含む。)
二  請求対象者の責任又は義務の有無についての判断及びその理由
三  請求対象者に責任又は義務があると判断した場合において、責任追及等の訴えを提起しないときは、その理由
住友電気工業の光ファイバーケーブルカルテル事件に関して8月26日に、株主代表訴訟の提訴通知が同社の監査役に対してなされた。 
 
その提訴通知こよると、カルテルが認定された2005年(平成17年)2月9日から立入調査を受けた2009年(平成21年)6月までの間,一時期でも取締役の地位にあったことがある役員24名に対して会社に対して課徴金相当額である67億6272万円の損害を弁償させるべきという内容である。
 
  その責任原因に、カルテルを黙認してきたとか、有効な内部統制システム構築義務違反などを主張している点は従来と同じであるが、今回の特徴は
 
(1)課徴金減免制度(リーニエンシー)に関する内部統制システム構築義務違反
 
2006年(平成18年)1月以降,独占禁止法改正によるリーニエンシーが施行されたのであるから,カルテルが行われていたとしても,この減免ルールに従って公取委に違反事実を申告すれば課徴金の減免を受けることができた。本件取締役らは,他事業者の申告に先駆けて違反事実を申告して課徴金を免れるコンプライアンスシステムを構築する義務があったにもかかわらず,これを怠り,有効なリーニエンシーに関するコンプライアンスシステムを構築しなかった過失がある
 
(2)  実際にリーニエンシーを利用しなかった過失
 
昨年来,電線業界では4件ものカルテル事件が発生させており,この分野でカルテルが横していることは容易に認識し得た。また,実際に本件カルテルにおいては,他事業者はリーニエンシーにより課徴金を免れており,本件取締役らは立入調査前には他事業者に先駆けて違反事実を申告するべきであったし(1番目なら全額免除,2番目なら50%減額。独占禁止法7条の2第10項,11項),また立入調査がなされた平成21年6月2日以降でも公取委にその時点で何社が減免申請しているか確認し,まだ3社に満たない場合であれば,直ちに様式第3号による報告を行えば30%の減額をすることができたにもかかわらず(独占禁止法7条の2第12項),この減免申請を怠り,減免の機会を失した過失がある。
 
を主張している点である。
 
 リーニエンシーを巡っての株主代表訴訟は初めてである。本件カルテルでは他の業者がリーニエンシーを活用して課徴金を免れている。住友電工のリーニエンシー制度はあったのかどうか、形だけのものを作って魂を入れなかったか、そのあり方を問う初めての代表訴訟。今後の推移が注目される。
 
 
 この提訴通知の弁護団は株主権利弁護団の由良事務局長他7名。
連絡先は、弁護士 由良尚文
  大阪市中央区北浜2丁目1番3号 北浜清友会館8階  
 Phone 06-6201-5111 Fax 06-6201-5122
 
≪ 光ファイバーケーブルカルテル事件とは≫ 
 住友電気工業は,2009年(平成21年)6月2日,公正取引委員会からNTT東日本やNTTドコモが発注する光ファイバーケーブル製品等の販売に関してカルテルを結んでいた疑いで立入調査を受けました。そして,公取委は,2010年(平成22年)5月21日,このカルテルについて独占禁止法3条に違反する行為があったとして排除措置命令及び課徴金67億6272万円もの課徴金納付命令を発令した。
  住友電工は,この課徴金納付命令について審判請求をしなかったので,2010年(平成22年)8月23日までに課徴金67億6272万円を納付した模様。
イメージ 1


本日(9/6)に日経新聞の≪法務≫欄の記事。
弁護士や企業のコンプライアンス担当者には非常に参考になる記事が掲載されている。
 
今回の記事は不祥事企業における第3者委員会についての取材である。
しかも、その第3者委員会は御用弁護士・学者でなく、本当の外部委員のあり方を問う内容である。
 
今は不祥事企業においては第3者委員会が流行りである。
 
しかし、第3者であれば、誰でも良い時代は終わった。
 
顧問弁護士の知りあいである、弁護士とか、企業のコンプライアンスに何の実績もないが昔の肩書きで登場するヤメ検グループが登場する企業の第3者委員会は信用しない方が良い。
 
そのような第3者委員会はこの記事にある、会社の主張ばかりを書いた
準備書面と同じという批判は強烈である。
 
会社が本当に消費者や社会から信頼を獲得するなら、その委員は会社にとって御用弁護士・学者ではなく、中立な第3者を選ぶ手法に改革・改善すべきであろう。
 
株主の権利弁護団(HPアドレスhttp://kabunushinokenri.com/)に推薦要請があれば、日弁連の元事務総長経験者とか、日弁連の消費者委員会委員長経験者など相応しい人材を推薦できる。推薦費用は無料。
 
その実績が以下のブログに記載されているので参照されたい。
 
談合企業の株主代表訴訟、株主推薦委員を含む外部委員会設置で和解事例(株主と会社67) http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/61974508.html
 

株主の権利弁護団から

談合企業の株主代表訴訟、株主推薦委員を含む外部委員会設置で和解

2010年08月31日

株主権利弁護団の事務局長の由良尚文弁護士が朝日新聞が主催する「法と経済のジャーナル」に投稿した記事の内容。
---------------------ーーーーー
今までの、五洋建設から始まり大林組、橋梁談合訴訟をの合計9社で和解事例が報告されている。
 
その中で株主が推薦する外部委員会のもとで、企業の今までのコンプライアンスシステムの在り方を検討、検証する委員会が発足し、一定の成果をあげているし今後も成果をあげようとしている。
 
この和解には最初は企業側は抵抗が激しかった。
 
株主が推薦する弁護士、学者にどのような人物が選ばれるてくるか、企業内部の秘密が暴露されるかとの不安が一杯であったのあろう。
 
私達、原告側の弁護士は企業が本来なすべき「自浄作用」を発揮する為の委員会であり、決して企業内部を暴く「野党的委員」でもないと説得し続けた。
 
企業の透明性を発揮する委員会であり、このような制度は企業にとってもプラスであると、会社側と話あいながらやっと和解に至った。
 
株主が推薦する委員が入る外部委員会の性格の詳しい内容は上記の由良論文に記載されている。ぜひ一読されたい。
 
なお、株主推薦委員が合計9名に達した。
 
株主が推薦したメンバーは元公取委の審判官、日弁連の事務総長経験者(2名)日弁連の消費者委員会委員長経験者、元裁判官、独禁法の権威である学者、市民オンブズマンの代表、RCCの側で銀行の役員の責任問題を検討してきた弁護士など・・・・・など。
 
企業法務に従事していた弁護士、学者より「真の外部の目線」で企業の将来のコンプライアンスのあり方を検討する。
 
このような弁護士・学者から、自社のコンプライアンスを第3者的な立場で意見を言ってくれる企業にとっても絶好の良い機会と思い、ぜひ将来のコンプライアンスのあり方に活用すべきであろう。
 
イメージ 1
≪M&A・企業の再編法制見直しで火花・経済省の巻き返し“第1弾”≫
 
経済産業省が今年の6月に法制審会社法部会に『スクイーズアウト』(完全子会社化のための小数株主の締め出し)に関してピントハズレの提案をしている。
 
経済産業省のHP参照
 
これを金融ジャナリストの伊藤歩氏が『金融ビジネス・2010・SAMMER号』の『追撃』欄できびしく批判している。http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/kinbi/detail/BI/9816b3dd0671e91525e4c512c2a72ef5/#mokuji
 
伊藤氏から取材を受けた.
経済産業省の提言なるものを「株主の権利弁護団」 (http://kabunushinokenri.com/)の若い弁護士に調べて貰った。
以下が調べた結果の一部である。あまりにひどい内容には驚いた。
 
 
法制審会社法部会が「会社法制について,会社が社会的,経済的に重要な役割を果たしていることに照らして会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保する観点から,企業統治の在り方や親子会社に関する規律等を見直す必要があると思われるので,その要綱を示されたい。」を調査審議する。
 
HPを見ると今まで3回開催され、その6月23日開催の部会で経済産業省が提案した内容についてである。
 
  経済産業省の提案のうち提案2 スクイーズアウト・セルアウト制度の創設≫を提案している。
 
私達のような一般の株主の権利を擁護する立場から見ると、経済産業省の提案はハゲタカファンドを擁護する提案。
 
現在、少数株主の締め出しには、全部取得条項付種類株式が利用されている。 そして、全部取得条項株式を利用する場合、条文上は何らの制限も設けられなかったことから、正当事由がないにも関わらず、全部取得条項による少数株主の締め出しが許されるとの理解がされている。 
 
しかし、かかる理解は、少数株主保護の観点から不当であるばかりではなく、改正時における法制審議会での議論も無視したものである。すなわち、法制審議会においては、当初、「債務超過」あるいは「正当な理由のある場合」という文言を盛り込むことが検討されていた。結局、文言上、正当事由は明記されなかったものの、正当事由が必要であるという解釈が確認されている(第31回法制審議会会社法(現代化関係)部会)。現行の制度では、締め出しに不満な株主は、株式買取請求の手続きで事後的に争うことになるが、締め出しの効力そのものを争うことは困難であり、株主の権利保護は不十分である。
 
そこで、事前の規制として、株主による差止請求権を明文で認め、少数株主保護の強化をはかるべきである。 
 
ところが、今回の提言は、これらの少数株主保護の欠如については、何ら方策を講じることをせず、むしろ、スクイーズアウトを容易にするなど、少数株主を閉め出すという買付者側の利益を重視している。金商法の制定など、投資家保護の流れからすれば、経済産業省の立場はハゲタカファンドを擁護する立場そのもの。
 
  スクイーズアウト制度に対しても今回の提言では、TOBの結果、買付者が一定の株式を取得した場合には、一定期間に限りTOBに応募せず、セルアウトをしなかった残余株主に対し、その保有する株式をTOB価格を下回らない公正な価格で売り渡すことを請求できる制度の導入が提案されている。しかし、株主の財産権である株主権を、株主の意思に反して強制的に取得することは極めて不当である。株主は、当該企業を愛して長期保有を願う者も多い。また、保有継続により、今後の値上がりを期待することもできる。株主として、株主代表訴訟などの共益権を行使し、会社をより良くする利益も有している。これらの株主の利益・権利は、法的にも保護されるべきである。ところが、今回の「スクイーズアウト」制度によれば、一定の株式数を取得してしまえば、何の制限もなく、少数株主を強制的に排除することが可能になってしまう。たまたま少数株主の立場に置かれただけで、ある日突然、会社側の言う「公正な価格」(しかも、この価格が正当なものか少数株主が検証することは極めて困難である)と引き替えに、株主の立場を奪われてしまうのである。 今回の「スクイーズアウト」制度は、巨額の資本さえ積めば、何の理由もなく(たとえ不当な目的であっても)、既存の株主を一方的に排斥できるという誤った風潮を作りかねない制度である。近年、法律に抵触しなければ、どのような行為も許されるという風潮もあることから、かかる懸念が杞憂であるとはいえないだろう。
  提案6株式買取請求権制度の見直し≫も不当そのもの 
現行の株式買取請求制度そのものも、少数株主保護の観点からして、以下のような問題点がある。 株式買取価格の妥当性に関する情報は、会社側に著しく偏在しており、株主側がこの情報にアクセスすることは困難であるから、会社側に手持ちの情報を開示させる必要性が高い。ところが、株式買取請求に関する価格決定の申立て手続は、商事非訟手続であるため、訴訟手続では認められている文書提出命令の制度が適用されず、会社が有する情報が法廷に提出されないという弊害がある。 実際、レックス・ホールディングスの案件において、株主側の再三の要請にもかかわらず、最後まで、MBO後の事業計画や、株価算定評価書が提出されないという事態が生じた。今回の提言は、現行制度に見られる少数株主保護の不十分さに対し、何ら方策を講じることをしていない。むしろ、濫用の防止という観点から、いくつかの提言をしており、株式買取請求制度を少数株主保護の制度として活用する考えはなく、組織再編制度の足かせと見ている点でハゲタカファンドの立場そのもの。
  ≪濫用の防止 請求者適格の範囲の見直し≫も不当 
株主総会の招集通知発送時などに、当事会社が当該組織再編に係る議案の内容を公告した場合、当該公告後に株式を取得した者には、株式買取請求の適格を認めないとあるが、当該議案が議決されるとも限らない段階でそのような制限を設けることは、組織再編に反対する株主に対する牽制とならないか。
  ≪濫用の防止 法定利率への対応≫も誰を擁護するのか 
買取請求手続の長期化により、年6%の商事法定利率の負担が、組織再編の当事企業に大きなプレッシャーとなるとされているが、買取価格の支払いについてのみ、商事法定利率の範囲外にする理由はない。利息の負担は、株主の立場からすれば、本来即座に支払われるべき公正な買取価格の遅滞による不利益を回復するためのものである。利率を下げれば、迅速な買取請求手続の進行に協力しようという企業側のインセンティブが失われることになり、株主に不利益が生じることになる。

開く トラックバック(1)


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

衛生対策製品クレベリンの姉妹ブランド
クレベ&アンドハンドジェルが新登場
今だけ。お試しキャンペーン実施中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
10/31まで秋の行楽キャンペーン実施中

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事