弁護士阪口徳雄の自由発言

裁判・社会活動の中で感じたことを発言します

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戦時個人補償―扉を閉ざした最高裁(朝日社説)

 1972年の日中国交正常化に伴う共同声明には、中国が日本に対する戦争賠償の請求を放棄することが盛り込まれていた。これによって、中国は政府だけでなく、国民も個人として裁判で請求する権利を失った。

 最高裁はこのような初めての判断を示した。そのうえで、日本に無理やり連れてこられて働かされたり、日本軍の慰安婦にさせられたりした中国人が、日本の企業や国を相手に起こした裁判で請求を退けた。
  強制連行訴訟の原告らは、日本軍の捕虜だったり、日本軍の施設で働いていたりしていて拉致され、日本の建設現場や炭鉱に送られた。劣悪な労働条件下で働かされ、亡くなった人もいた。

 元慰安婦の原告のなかには、13歳と15歳のときに日本軍に拉致された女性がいる。監禁されて強姦(ごうかん)された。解放されたあとも心身に大きな傷が残った。
 こうした最高裁も認めた事実は、目を覆いたくなるものだ。

 強制連行で企業に賠償を命じた広島高裁は「外国人から被害を受けた国民が個人として賠償を求めるのは、固有の権利であり、国家間の条約で放棄させることはできない」と述べた。被害のひどさを見れば、この判決の方がうなずける。

 請求を退けた最高裁も、さすがに気が引けたのだろう。「被害者らの被った精神的、肉体的苦痛が極めて大きかったこと、被告企業は相応の利益を受けていることなどの事情にかんがみると、被告企業を含む関係者においてその被害の救済に努力をすることが期待される」と付け加えた。
 企業の自発的な行動に期待するくらいなら、最高裁は自ら救済を命じるべきだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
弁護団は「政府に要求はできるが、裁判はダメというのは司法の自殺行為」(「慰安婦」訴訟・小野寺利孝弁護士)、「後は(企業と)補償交渉をしてくださいという、司法の役割を放棄した判決」(西松訴訟・足立修一弁護士)と批判した。

このような無慈悲な判決をする最高裁の裁判官の横顔がきになった。
これらの裁判官の横顔に、「裁判官としての心構え」を書いている
何と上記判決と矛盾することか。

≪具体的妥当性のある判断を得るために冷静に謙虚に≫

≪当事者の訴えに虚心に耳を傾け,これに真正面から立ち向かう≫

≪虚心に関係者の話を聞き,事実を踏まえて法律に則り公正,妥当な判断をする≫

≪国民の喜びや悲しみ,心の痛み,物の道理が分かっている≫

≪当事者双方の主張に良く耳を傾けつつ,真実を見る目≫

≪裁判所に来る事件は,一つ一つが個性を持っております。「事件を法で裁かず,事件を事件で裁け」という先輩の教訓に従い,法律を形式的に適用しただけの判断ではなく,その事件に最もふさわしい解決策を見つける≫

≪真に公正・公平な立場に立って≫

何と立派なこころ構えか。
この上記「裁判官としての心構え」なら、無慈悲な判決が出来ないはず。

最高裁は、消費者事件などには比較的に公正だが、国家と国民、日本国家と外国人となるとトタンに国家よりになる。これでは最高裁は国民の最後の砦でなく、国家のための最後の砦になる。

最高裁の裁判官は内閣が選ぶのだから、仕方がないにしても、今回の判決はひどすぎる。
弁護士出身の裁判官も同じ見解である点で、同じ弁護士として恥ずかしい限り。
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最高裁の第2小法廷の裁判官の横顔と「裁判官としての心構え」を紹介する

中川了滋和裁判長(昭和14年12月23日生)元弁護士
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/nakagawa.html

『憲法と法律に従いつつ,具体的妥当性のある判断を得るために,謙虚に且つ冷静に職務に取り組む姿勢を保つ』

今井功裁判官(昭和14年12月26日生)元裁判官
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/imai.html

『 裁判所の使命は,裁判所に提起された事件を適正かつ迅速に解決することにつきるのでありますが,1件1件の事件を大切にし,当事者の訴えに虚心に耳を傾け,これに真正面から立ち向かうことを心掛けています。特に最高裁判所の判断は,事件についての最終的な判断であり,その影響も大きいので,その職責の重要性を自覚しつつ,最善の解決が図れるよう全力を尽くしたいと考えております』

古田佑紀裁判官(昭和17年4月8日生)元検事
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/huruta.html

『最高裁判事の責任の重大さを痛感しております。考え方や利害が多様になるとともに変化の激しい時代を迎えて司法的解決の重要性が高まっておりますが,虚心に関係者の話を聞き,事実を踏まえて法律に則り公正,妥当な判断をするという法律家としての基本的心構えを堅持し,一つ一つの事件の事案に即した適切な解決を通じて法の適正な実現に努めたいと考えております』
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最高裁第1小法廷の裁判官の横顔
才口千晴裁判長(昭和13年9月3日生)元弁護士
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/saiguti.html

『国民の喜びや悲しみ,心の痛み,物の道理が分かっていることが大切である。
 弁護士としての38年の実務感覚や経験を裁判に生かして誠実に裁判権を行使し,司法制度改革の実現に向けて行政事務の処理に微力を尽くしたい』

甲斐中辰夫(昭和15年1月2日生)元検事
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/kainaka.html

『最高裁判所判事の職責の重大さに深く思いを致し,普遍的な常識にかなった適正・妥当な裁判を行うよう努めたいと考えます。また,これまでの経験を生かして当事者双方の主張に良く耳を傾けつつ,真実を見る目を更に養いたいと思います』

泉 徳治(いずみ とくじ)昭和14年 1月25日生)元裁判官
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/izumi.html

『民主主義のシステムが適正に働いているかを側面から見守り,また,多数決原理の網ではすくえない個々の人々の権利を擁護するのが,裁判の役割であると考えています。民主主義社会の中で裁判が担っている役割を的確に果たしてまいりたいと思います。
 また,裁判所に来る事件は,一つ一つが個性を持っております。「事件を法で裁かず,事件を事件で裁け」という先輩の教訓に従い,法律を形式的に適用しただけの判断ではなく,その事件に最もふさわしい解決策を見つけるように心がけたいと思います』

涌井 紀夫(わくい のりお)(昭和17年2月11日生)元裁判官
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/wakui.html
『真に公正・公平な立場に立って,一件一件の事件に,全力を傾けて真剣に取り組んでいきたい』

横尾和子(昭和16年4月14日生)もと社会保険庁長官など
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/yoko.html
裁判官としてのこころ構えは書いていない。

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≪「加ト吉」不適切取引1000億円、東京支社でも循環取引≫4月24日21時57分配信 読売新聞

アイ・エックス・アイ社の架空環状取引(司法・裁判19)
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/46936475.html
において、架空・循環取引がどうして生じるのか。その背景、実務などについて、指摘した。

加ト吉もやはり、同じ取引に参加していたようだ。

6年で1000億円という報道が事実なら、「加ト吉」は、この循環架空取引に巻き込まれたというより、この取引の中心は「加ト吉」でないのかという疑いを持つ。

≫循環取引の多くに主体的に関与したとされる高須稔・元常務(68)(24日付で退任)については、≫刑事、民事両面での責任追及を検討している

このような取引が問題になると、一部の社員や、役員がこの中心であり、この関与者に対する刑事(詐欺・背任事件)が立件される。民事ではその関与者に対する損害賠償が提起され、それで一件落着となる。

≫「個々の契約書が作成されないなど異例な取引形態」と指摘した。

このような循環・架空取引は、伝表で何億の取引が出来るから、正規の契約書などが作られない。
途中で取引量が膨らむので、その伝表すら作らない。

≫その他の役員は関係がないとと言う。

直接の架空・環状取引には関与はないだろう。しかし関与役員の取引は1年、2年単位で見れば、異常に膨らむのであるから、正常な感覚で眺めればこの異常取引高には気がつくはず。

しかし架空・環状取引の発生した企業の他の役員は「知らなかった」という弁明をする
それで、企業内部では通用する。警察・検察も告訴される以上、それで捜査し膨大な取引で大変だから
企業の告訴・告発どおりで処理する。その通り、起訴し、有罪判決で終わる、

しかし、この取引を良く知る者や、通常の経験のある役員はそれを誰も信用しない。
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≪「加ト吉」不適切取引1000億円、東京支社でも循環取引≫4月24日21時57分配信 読売新聞

 冷凍食品大手「加ト吉」(香川県観音寺市)グループが不明朗な「循環取引」を繰り返していた問題で、新たに同社の東京支社でも循環取引が行われていたことが24日、加ト吉が設置した外部調査委員会の調査報告書で分かった。

 調査委は、この取引も含め5パターンで「不適切な取引」が行われ、その総額は2007年3月期までの6年間に約1000億円、回収が困難な債権は約120億円に上ると認定。背景には、内部管理体制の軽視やワンマン経営の弊害があったと指摘した。

 加ト吉は同日付で、加藤義和会長兼社長ら取締役3人が退任し、新たに金森哲治副社長が社長に昇格する人事を発表した。

 加ト吉は近く、過去6期の決算を修正する。また、循環取引の多くに主体的に関与したとされる高須稔・元常務(68)(24日付で退任)については、刑事、民事両面での責任追及を検討している。

 調査報告書で新たに判明したのは、加ト吉の東京特販部と、愛知県内の商社、都内の冷凍食品販売会社の間で繰り返されていた循環取引で、6年間で総額248億円に上る。調査委は、東京支社の役員らが循環取引の実態を知っていたとは認められないとしたが、「個々の契約書が作成されないなど異例な取引形態」と指摘した。

 加ト吉は24日、調査報告書を東京証券取引所に提出。その後、金森新社長らが記者会見に臨んだ。

 報道陣からは、循環取引に対する上層部の関与や指示の有無などについて質問が相次いだが、島田稔専務は、「(循環取引は)みすず監査法人から報告を受けて初めて認識した」と言い、高須元常務以外の関与を否定。金森社長は、「大変深刻な事態だが、信頼回復に努めたい」と話した。

(2007年4月24日21時32分 読売新聞)

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裁判官懇話会が解散したという。
以前に「自立する葦」で書いた。http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/folder/1417076.html?m=lc&p=2
これが現実となった。

1971年3月、宮本裁判官が再任拒否された。憲法を守るという「青年法律家協会」の裁判官部会に加盟していただけだったが、当時の自民党の圧力で、最高裁が自主規制をして、まじめな裁判官を裁判所から排除した。

ドイツでは、若い裁判官が、この時代に、古い戦前・戦後の司法改革に取り組み、司法が民主化された。国家から独立した司法=裁判官集団が作られ、生まれた。この集団がドイツ、フランスなどの西欧の戦後の司法改革を担った。

当時ドイツでは、政権が交代するなど、戦後の古い政治が変わろうとしていた。これと司法が連動した。

日本では、古い体質の政党が政権を握っていた。政権交代が出来なかった。
その結果、最高裁裁判官が政府=自民党から任命され、これらの古い裁判官が、最高裁を牛耳った。

憲法を守る裁判官とは何事か!?
時の権力に忠実な裁判官でなければならない!?

このような自民党、最高裁が一体となって、憲法を守る若い裁判官の追放に動いた。
この結果が上記宮本裁判官の再任拒否だった。

このような最高裁の動きに対して、抗議した裁判官が全国で600名以上が賛同して、裁判官懇話会が結成された。若い裁判官や弁護士には無縁の裁判官の団体だが、中高年の裁判官や弁護士には、当時の司法への期待の星だった。

その後に裁判官懇話会が、実務的な問題で、ジックリ研究集団として活動した。
ところが、当時の最高裁事務局は、世間が狭いというか、自民党にゴマスリと言うか、これらの日本の司法を担うべき良心的裁判官を差別し始めた。僻地へ飛ばす。給料を上げない。裁判長に指名しない
などの嫌がらせを行なった。

物言えば唇寒しという裁判所の冬の時代を迎えた。
この結果、懇話会の裁判官の集まりに参加する裁判官が少なくなった。

それでもこれらの裁判官達が、少数だったが、日本の司法の良心を支えた。
この冬の時代が25年以上続いた。これらの不公平人事や、差別の結果、懇話会に参加する人達が減ってきた。

憲法を守る判決が出なくなった。政府=自民党=行政に迎合判決が続いた。

このような、元気のない司法では、司法の役割を果たしていないという批判がでて、司法改革が行なわれた。

その結果、裁判官が比較的に自由に発言し、自由に政府の政策を批判する判決をする時代にやっとなりつつある時代にはいった。(未だドイツなどに比べ極めて少ないが)

他方でこの改革の中で、裁判官懇話会の存立基盤がなくなりつつあった。

このような時代背景の中で、懇話会が解散するという。

懇話会で活躍された裁判官達は今は大半は定年、中途退官している。
しかし、この苦しい司法の中で、懇話会を守り育てた裁判官達には頭が下がる。
貴方方が日本の司法を支え、良心だったと。

若い裁判官達、弁護士達も、この先人達の苦労と努力を少しでも学び、今後の日本の司法に生かして欲しい。

それにしても、ドイツと比べ政権交代がない国家の司法は、結局国民が被害者だということを証明している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

司法改革の先駆け、全国裁判官懇話会が35年の歴史に幕
2007年04月07日19時07分

 裁判官有志が集まり、あるべき司法の姿を議論してきた全国裁判官懇話会が、35年間の歴史にひっそりと幕を下ろした。裁判所の人事制度の透明化を訴え、訴訟運営をめぐる先進的な研究にも取り組んだが、世話人を務めていた石塚章夫・前新潟家裁所長(63)が3月に退官し、運営を引き継ぐ若手がいなくなった。


全国裁判官懇話会の活動を記録した本「自立する葦(あし)」を手に、歩みを振り返る石塚章夫・前新潟家裁所長。
 懇話会は71年、「護憲」を掲げる青年法律家協会(青法協)所属の宮本康昭裁判官が最高裁に再任拒否されたことに抗議し、全国210人余の有志が東京に集まって裁判官の身分保障と独立について議論したのが始まりだ。

 司法修習生時代、判決内容についてとことん議論し、自由にものを言い合う空気に感銘して裁判官になった20代後半の石塚氏にも、懇話会は進歩的な取り組みと映り、「迷わず参加した」。

 懇話会はその後、2年に1度開かれてきた。歴代の世話人が全国2千数百人のすべての裁判官に案内状を送り、参加を呼び掛けた。取り調べの可視化や民事裁判の審理の適正・迅速を目指す「集中審理」の提唱など、司法の流れをつくる足跡を残してきた。

 「民事裁判での裁判官と弁護士の協働」「少年法改正」などを議論した。議論の成果が法律専門誌に載り、専門家の間で活動が評価される一方で、最高裁への抗議をきっかけに集まった懇話会に対する組織の風当たりは常に大きかった。石塚氏自ら、上司に「人事上の不利益」を示唆され、長く地方勤務が続いた。

 それでも活動を続けてきたのは「憲法でうたわれた『良心に従い独立してその職権を行う』という裁判官としての原点を確認できる場だ」との思いがあったからだ。

 司法改革の中、裁判所は今、自ら「開かれた裁判所」をアピールする。懇話会が主張してきた人事・再任制度の透明化も実現した。「以前より風通しが良くなったが、個々の裁判官が本当に独立し、法と良心のみに従って判断できているかどうか……」。組織の意向を自然にくみ取る裁判官が増えていないかと石塚氏は心配する。

 だが、希望も持っている。世話人の引き受け手は結局現れなかったが、最後となった昨年11月の懇話会には約70人が参加し、中には判事になりたての30代の若手もいた。

 「懇話会が訴えた『自主・自立・独立』の精神は、組織の中に根を下ろしている」と信じる。

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≫IXIや日本IBMなど捜索 架空循環取引事件。朝日新聞2007年02月28日10時56分≪

いつもながら、これらの架空環状取引事件には、商社や、リース会社が必ず登場する。
しかも、これらの商社やリース会社は「どうやら架空取引に巻き込まれた」とか「わが社は被害者」と
あたかも第3者的で、被害者的に振舞う。

しかし、小さい金額ならともかく、何十億円とか何百億円の被害とかなると、実際はこれらの商社やリース会社の介在が、この損害を巨額にしている最大の「主犯」の可能性がある。

架空、環状商品とは知らなかったとかいう「常套句」はいつも白々しい。
これらの会社は十分に調査すれば、商品の架空の発見は容易。

≪架空循環取引の元祖は、歴史的に見ると、商社の在庫融資、や商社金融が始まり≫

普通の金融であるなら、メーカーが銀行から金を借りて返すという取引。この間には商品が介在しない。

そのメーカー会社に信用がない場合に、銀行は金を融資をしてくれない。
そこで商社が、そこの会社の商品を使って実質金融を行なう。これが、在庫融資という。

B商社が、Aメーカーの会社の商品を1億円で買ってあげて、金を払う。
その後=例えば6ヶ月後に、B商社から、Aメーカーは、その商品を1億5百万円で、買い戻す。

この場合のAメーカーの利益は、銀行から1億円の金を借りる信用がないが、B商社から、1億円の実質的に融資を受け、6ヶ月後に「利息500万円」を付けて返すというやり方でB商社から融資を受けたようなもの。B商社はこの6ヶ月の間に1億円を活用して、500万円の手数料が稼げる。

双方にとってプラス。
商品は、当初から買い戻す約束だから、Aメーカーの倉庫にある。
以上が原則形。

ところが、このような取引が繰り返されると、商品がなくとも、AB間の信用により、このような商品の売買形式をとって、金融が行なわれる。この場合は商品があるかのごとく伝票操作でいわゆる「架空」売買が行なわれる。

この場合の取引は売買という形式を利用した、金融であり、無名契約で有効だという判例が多い。
売買である以上、目的物が不存在だから、無効という判例もある。

≪B商社やリース会社の通常の取引はAとC間の「介入取引」にある≫

B商社がAメーカーとC客先の間に入り、Aメーカーの商品を買い、早期に代金を支払って資金繰りを助け、その商品を次にC客先に対して売り、希望通りの長期で、売ってあげて、その期間の差のリスクと金利を負担し、その代償としてマージンを得る取引が介入取引である。
これが正常取引。

ところが、この3社間の取引が繰り返されると、商品がないのに、伝票だけで、「商品」の売買が行なわれた形で「介入取引」の形が行なわれる。これはB商社が、Aへのを実質融資を行なう取引である
これも、3社間に商品がないという認識がある場合は、3社間の取引は、実質は金融契約で有効だという判例も多い。

契約の形式の売買に注目すれば、無効になる。実態の金融に注目すれば、無名契約で有効
となる。

以上の商社、リース会社の商品がなくとも「金融取引」や「介入取引」が大規模に行なわれると
ドンドン多数の当事者が登場する。商社、リース会社が、ある1社ばかりでは与信限度があるので
新たな取引者を探す。リース、商社が介在しているので、多くの誘われた会社が参加する。

A−B(商社)−CーDーEーFーG−A
A−B(商社)−H−I−J−K−A
AーL(リース会社)−M−NーO(A子会社)−A
A−P(リース会社)−Q−R−S(A関連会社)ーA
というように、多数の複雑な環状の組み合わせが作られる。

環状取引といわれるのはAから始まり、A、又はA関連会社、Åに終わるからであるが
上記のような取引が極めて多数、複雑に作られる。

この間の環状取引に商品があれば、問題がないが、実際は商品の有無ははあまり関心がなく、伝票操作で、環状取引が行なわれる。商品がないから、途中で終わらないで、最後はAに戻る。
伝票で売買が出来るから、この取引は膨大に膨らむ。

これらの会社が健在な間は商品の有無も問題とならず、A以外は、手数料が稼げる。Aは金融を受けるのだから利益にもなる。お互いに紛争が生じない。

とろろが、この中の例えばDが倒産すると一挙にこの取引の矛盾が生じる。
CはDに商品を売った形だが、Dが倒産した為にDから代金が入らない。とろがCはBから商品代金の請求を受ける。そこでCはBに対して商品がない架空取引だから、この取引は無効という主張をして、代金の支払を拒否する。

他方Dの破産管財人は、代金をCに払っておれば、Cに商品がないのに金を払ったから、不当利得の返還請求をしたり、又はEに、商品を売ったので、売買金の請求をする。Eは商品がないから、その支払
を拒絶する。こうなると、EはFに、FはGに、GはAにと順次係争が広がる。

本件の場合はIXI社に環状架空取引をする事情があったようだ。
すなわちA社に異常な売り上げや、資金の異常な必要性があった。
このA社に対して、Bリース会社がこの取引を拡大した。

この間のAが、商品を架空で売り、Bは知らなかったとかなると、AのBに対する詐欺罪で立件される
リース会社への詐欺事件として今までAの担当部長らは、起訴され、有罪になっている事件も多い。

私は、今までC社であったり、E社であったりG社の代理人であったりして民事事件に関与した。
しかしBの商社や、リース会社の担当者は知らないはずは普通はないと思うが、「不思議」に知らなかったという弁明をする。

「わが社の取引規定には、キチント商品の有無を確認し、そして現地に行って物を確認するという大原則がある。そして担当者もキチンと確認した。てっきり騙された」という。

普通はA社だけではこれほど大規模な架空環状取引にはならない。

A社の取引を膨らませたのは、これらのB商社やPリース会社が介入した結果だと思うが、裁判官は、大会社である商社、リース会社の法廷での弁明を信用する傾向に陥りがちだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
IXIや日本IBMなど捜索 架空循環取引事件2007年02月28日10時56分

 東証2部に上場していたソフトウエア開発会社「アイ・エックス・アイ」(IXI)をめぐる架空循環取引事件で、大阪地検特捜部は28日、元常務らに対する特別背任容疑で、IXI本社(大阪市淀川区)や取引先の日本IBM大阪事業所(同市西区)、リース大手の東京リース本社(東京都新宿区)などの家宅捜索を始めた。特捜部は捜索で押収した資料を分析し、元常務らが関与したとされる不正取引や、数百億円に上るとみられるIXIの粉飾決算疑惑の全容解明を急ぐ。

 証券取引等監視委員会も同日、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、特捜部と合同で強制調査に乗り出した。

 調べでは、元常務らは昨年、日本IBMが東京リースに発注した業務用ソフトウエア開発取引に絡み、本来なら日本IBMが東京リースに支払うべき代金をIXIが支払うとする契約を締結。IXIに約103億円の必要のない債務を負わせ、損害を与えた疑い。

 元常務らは、IXIが東京リースから製品を仕入れて日本IBMに転売したように装った発注書などを偽造。05年ごろから、実在しない商品を帳簿の上だけで十数社を介在させて動かし、売り上げを計上する「架空循環取引」を繰り返していたとみられる。

 民間信用調査会社などによると、IXIは89年設立。04年に東証2部上場したが、今年に入って大阪地裁に民事再生法適用を申請し、上場廃止となった。日本IBMは世界最大のコンピューターメーカー「米IBM」の日本法人として37年に設立。05年12月期の売上高は1兆3027億円。

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≪裁判で国の主張PR…「訟務広報官」4月に登場≫
 『法務省は4月から、国が被告となる裁判の広報活動を一手に担う「訟務広報官」を新設する』
2007年2月12日11時38分 読売新聞
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国が被告となる裁判の広報活動を政府が行なうという。これは反対だ。

今、大阪の『NHK市民の会』が提訴するという、総務大臣の命令放送が憲法違反であるが故に無効、取消などの訴訟は国=法務大臣が被告となる。

このような訴訟では、国=法務大臣=総務大臣側=NHK側の一方的な広報を政府の広報官が、提訴段階で国の主張を予めすると、マスコミはこの広報官らの報道を大きく報道する。

NHK市民の会の報道力が国の報道力に負ける以上、マスコミでの扱いは国の報道官より、小さい報道になることは明白だ。

この問題だけでなく、国家賠償請求、官官接待の違法情報開示請求、政務調査費の開示請求・・・・
政府、国会議員、官僚のデタラメを問う訴訟を起こした場合はすべて同じ問題が生じる。

このような国を被告とする訴訟の、提訴段階での、政府=国の広報が、この裁判を審理する、裁判官の心証に少なからず影響を与える。

裁判官も人の子である。時の政府=広報官の報道を相当気にすることは明らかだ。

国の主張が、準備書面という法廷でなく、広報=マスコミで報道されると致命的な影響を与えるからである。

このような国を当事者とする、訴訟問題には、最高裁で判決が確定した場合ならともかく、提訴段階、一審判決段階、高裁判決段階では、裁判官の心証に甚大な影響を与える。

≫国が提出する準備書面の要約を作成・・・事前に報道機関に対する説明会を開いり≫

これなどはもっと、重大問題。
例えば、国の重要役人を証拠調べするとか、国の施設を検証するとか、国の所持する秘密の文書の提出命令を出すなどの審理の途中段階で、報道官がそのような証拠調べは反対である旨の広報し、それがマスコミに報道されることは確実だから、裁判官の訴訟指揮にも重大な影響を与えることは明らか。

政府=国の広報は、訴訟に関しては、判決で確定しとか、控訴するとかなどの、よほどの特別事情の場合でない限り、辞めるべきだと思う。

これでは、広報という手段による、訴訟=裁判に対する事実上の『介入』になろう

権力を持つ者の広報=報道と、市民側のない者の広報=記者会見=報道とは、質的な格差がある。NHKなどは市民の動きは殆ど報道しないが、政府=広報の報道は大きく報道する。

この情報力、広報力の格差の違いをキチント見て、マスコミは、このような広報官の新設には反対する報道をして欲しい。
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≪裁判で国の主張PR…「訟務広報官」4月に登場≫
 『法務省は4月から、国が被告となる裁判の広報活動を一手に担う「訟務広報官」を新設する』
2007年2月12日11時38分 読売新聞

 国の裁判が注目を集めるケースが増えているのに、国の主張が国民に十分伝わっていない現状を改めるためだ。

 国の裁判は法務省が一元的に担当しているが、専門の広報窓口はない。報道機関の取材などには、関係省庁や法務省の担当者が談話や資料を個別に出しており、国民が直接、国の主張を知ろうとしても、方法がない状態だ。

 国の裁判について、最近では、ハンセン病訴訟の控訴断念など、政治主導で決着させる例も出てきた。法務省としては、国の裁判への注目が高まる中、「法にのっとった国の主張を理解してもらうため、国民に直接、訴える必要がある」と判断した。

 広報官は数人のスタッフを持ち、結果が社会に重大な影響を与える裁判や新たな法解釈が争点となる裁判に対応する。具体的には、国が提出する準備書面の要約を作成し、法務省のホームページに掲載する。判決など裁判の節目には、事前に報道機関に対する説明会を開いたり、事後に記者会見を行ったりする予定だ。

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