Zeiss_Telementor_World

Carl Zeiss社の小型天体望遠鏡の世界を綴っています。

3DプリンタによるZeiss望遠鏡用パーツの製作[その2]

いよいよ平成最後の一日を迎えました。昭和から平成に変わるときは八ヶ岳の観測所で迎えましたが、日本全体が喪に服した中での改元でした。今回は一転、年末年始のような雰囲気での改元。譲位とはかくも違うのかと感慨深いものがあります。
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今回は前回に続き、望遠鏡用パーツを造形するための3Dソフトと3Dプリントのお話です。自由にパーツが造形できれば、製造中止から四半世紀経って修理部品が枯渇しつつあるツァイスユーザーにとって心強い味方になるはず。そう考えてのチャレンジです。

下記の3点はここ1ヶ月に造形したZeiss望遠鏡用パーツです。

1)M44/D31.8アイピースホルダー
2)Telementor T/TM型マウントの赤経・赤緯微動用軸受
3)Telementor C63/840用対物レンズキャップ

オリジナルに忠実に造形したのは、軸受だけで、あとはつい、オリジナルを逸脱して機能やデザインを追加してしまいました。
1)イメージ 4    2)イメージ 6     3)イメージ 5     

<3Dモデリングソフト>
3Dプリンタで望遠鏡パーツを造形するには3Dソフトが必要です。3Dソフトには「3D CAD」と「3D CG」の2種類があり、前者は主に寸法が正確に設計された工業製品などに、後者はキャラクターのフィギュアのような有機的な造形に適しています。これまで旋盤やフライス盤による研削加工で製作してきた望遠鏡用パーツを3Dプリンタで造形するには、したがって前者の「3D CAD」を使います。
ちなみに私は、旋盤やフライスといえば金属の加工、3Dプリンタといえば樹脂で造形するとばかり思っていましたが、今や旋盤やフライスで樹脂を研削したり、3Dプリンタを使って金属で造形したりすることも普通になっているようです。

3Dのモデリングを初めてやるとなると、まずは素人でも使いこなせるソフトが必要です。あちこちネットサーフィンをやったあげく、下記を複数のサイトを参考にあれこれ試してみました。

●3DP id.arts『無料で入手できる3Dモデリング初心者のための3Dソフトウェア10選』
https://idarts.co.jp/3dp/free-3d-modeling-software/

●Makers Love『【2019年版】フリーで使える無料3DCADやCGソフトをご紹介』

で、たどり着いたのがアメリカのオートデスク社(Auto Desk Inc.)でした。初心者からプロ用まで数多くの3Dソフトがラインナップされており、オートデスク株式会社(東京都中央区)という日本法人もあって日本語のサポートもしっかりしています。中でも無料体験版が豊富なので買ってから使いこなせないという失敗をせずに済みます。

イメージ 1

●Auto Desk Inc.『オートデスク株式会社トップページ』

●Auto Desk Inc.『オートデスク製品の無償体験版』

あちこちのサイトのアドバイスを参考に、この中からMacintoshのOSXで動き、費用もかからず初心者でも使いやすそうな"Fusion 360"とブラウザベースで動く"Tinker CAD"をいじくってみることにしました。

イメージ 2

イメージ 3

<3Dプリンターとプリントサービス>
一方、3Dプリンタも日進月歩。高性能なプリンタが数年前に比べてずいぶんと安くなりました。1万円台や2万円台のものなど、手頃な家庭用3Dプリンタを紹介するサイトもいっぱいあります。

●SAKIDORI『【2019年版】家庭用3Dプリンターのおすすめ10選。低価格モデルをご紹介』

家庭用3Dプリンタと3DCADソフト"Fusion360"で破損した部品を再現して家電を修理した下記のYou Tube動画『3Dプリンタで家電を修理する方法 Part1(計測モデリング編)』(WKWK-3Dさん)は、今回のZeiss望遠鏡パーツの製作とコンセプトが同じなのでとても参考になります。


しかし、家庭用3Dプリンタは思ったよりもコンパクトで安価なので購入を検討しましたが、どうしても気になるのは、造形の精度よりも造形に要する時間と騒音です。紙のプリンタとはこのあたりが大きく違うようです。1個の造形に数時間かかり、一晩かけて造形するにも大きな動作音は家族にも迷惑をかけます。

そこで、業務用の3Dプリンタを使って造形サービスを提供する会社がちまたにあふれているので、まずは、この3Dプリントサービスを利用してみることにしました。下記は、いろいろな3Dプリントサービスを比較したレポートで参考になります。望遠鏡用パーツはこれよりもずっとシンプルですので、造形しやすい部類に入るようです。

●世界遺産模型のばーちゃるわーるど『3Dプリントサービスの比較』

で、実際に3Dプリントサービスを利用してみました。下記はツァイスの4頭正立接眼ターレットのφ31.75mmスリーブアダプタ(アイピース・ホルダー)です。アルミ合金にアルマイトを施したものと3Dモデリング(素材はPA)したものです。

イメージ 7     イメージ 8

特に、M28にねじ込むφ31.75mmスリーブ(M28/D31.8_L35)は、円筒形と矩形、ISOねじの3つの基本図形を組み合わせるだけとシンプルなので設計も容易でした。下記は"Tenker CAD"でモデリングした様子です。(本当は動画にしようと思いましたが、うまくいかなかった ^_^; ので抜粋の画像です。)

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完成したstlファイルが下記です。我ながら上出来です。円柱の側面は64、ISOねじは32セグメントなので円周の滑らかさには欠けますがプリントアウトした実物を使ってみると実用上は問題ありません。合成樹脂の強度を補償する肉厚をはじめ、オリジナルは1箇所だけのスリ割を3ヶ所にしたり、素材の靭性を考慮して長めに設計したりなど、このスリーブ(アイピースホルダー)のZeissオリジナル品は金属製で樹脂製は存在しないため、手本がなく試行錯誤が必要でした。
イメージ 14     イメージ 15     イメージ 16  
イメージ 17     イメージ 18     イメージ 19
3Dモデリングの設計精度も3Dプリンタの再現性も十分実用に耐えます。問題はフィラメント(素材)の選択ですね。次回は3Dプリントの素材について書きたいと思います。

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