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Carl Zeiss社の小型天体望遠鏡の世界を綴っています。

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通常、ツァイスの対物レンズは「レンズ形式」「口径(mm)」/「焦点距離(mm)」で表記されます。
"AS 80/1200"ならば、口径80mm、焦点距離1200mmのAS型対物レンズ。
"APQ 100/640"ならば、口径100mm、焦点距離640mmのAPQ型対物レンズです。

こうしたルールに則れば、この 50/540 にもレンズ形式(アルファベット)が付いていても良さそうなものですが、それがありません。どのようなレンズ構成なのか表記だけではわからないのです。"Astro-Objektiv"は単に「天体用対物レンズ」という意味ですからレンズ形式を表したものではありません。そもそもなぜ付けていないのかすら明らかではありません。

推察するに、同じスペック(口径、焦点距離)でグレードの違いが無いものには、レンズ形式をわざわざ付ける意味が無いので付けていない。もしくは、グレードを問うレベルではないベーシックモデルにはそもそも付けていないのかもしれません。

そのためかどうかは別として、拙宅には設計が異なるのではないかとか考えられる 50/540が3種類あります。いずれも同じ 50/540ですが、中には明らかにレンズ構成の異なるものもあります。今回はこれらについて紹介します。

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もっとも古い 50/540 は、1950年代から60年代に生産されました。左側の個体がそれに当たります。1955年にデビューした5cm屈折赤道儀"Schulfernrohr 50/540"(下記URL)はこのタイプの対物レンズを採用していたと考えられます。

●『Schulfernrohr 50/540』

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簡易なアルミニウムセルに収められた対物レンズは、2群2枚構成のフラウンフォーファー型アクロマートレンズ(E型)で、硝材はBK7-F2と考えられます。レンズコバ沿いに見える錫箔があればこのタイプです。そのためドイツでは、あえてレンズ形式を加え"E50/540"と表記することがあります。

また、初期の 50/540には、セルにシリアル番号が刻印されています。やがてそのシリアル番号も省略されますが、"E50/540"はその後も生産が続けられました。そのためセルにシリアル番号が刻印されているものはみなE型と考えられます。

セルからシリアル番号が省略されたのは、60年代末から70年代初頭と考えられます。しかし、このE型の生産がいつ終了したのかは情報がありません。したがってセルにシリアル番号が無い場合、その外観からE型か否かを判断することは難しく、やはりレンズコバの錫箔を確認する必要があります。

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70年代から80年代になると、この 50/540は凸レンズと凹レンズを貼り合わせた1群2枚構成のアクロマート対物レンズ(C型)に変更されます。背景には当時の他のモデル同様、同社のお家事情を反映しコストダウンを意識したものと考えられます。

ドイツでは前者と区別するために、このタイプを"C50/540"と表記することがあります。硝材はBK7-SF2です。前述の通り、セルの表記に分離型(E)か貼合型(C)かの区別はなく、側面にはスペックとレンズロゴマークだけとシンプルになり、東ドイツを示す"DDR"の表記はセルの反対側に移されました。

この"C50/540"は、東西ツァイスが統合した1991年以降も販売され、アマチュア天文機器部門が閉鎖される1995年を目前に払底しました。したがって、セルの仕立てを別にすれば市場の 50/540は、E型、C型、これら2つのどちらかになります。

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最後の 50/540は、前出の2つとはまったく異なる謎の多いモデルです。セルはつや消しアルマイト処理され、側面に同社伝統のレンズロゴはありません。"50/540 CARL ZEISS JENA"の表記は東西ツァイス統一後の上位モデルに似ています。また、反対側には"Made in Germany"と英語表記されています。

このモデルがいつ生産されたものかまったく分かりません。そもそもその存在すら、多くのツァイス・エンスージアストでも知らないでしょう。レンズ構成は1群2枚の貼合型(C型)のようですから、後期型であることは間違いありません。

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驚くべきはそのクォリティです。レンズコバはしっかりと墨塗りされており、コーティングを含め全体的に上質な仕上がりとなっています。先の 50/540とは明らかに一線を画すのです。また、"Hergestellt in der DDR"ではなく、前出の通り"Made in Germany"と英語表記となっている点も気になるところです。

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雰囲気からして、東西ツァイス統合後に生産されたもののように見えます。"Schulfernrohr50/540"以来のOTAとして40年ぶりに企画された試作品だったら驚きですが、その可能性は無いでしょう。いずれにしても、イレギュラーなモデルの多いツァイスの面目躍如のような対物レンズです。

次回は、これらのレンズを鏡筒に組み込んだ様子を紹介します。


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