東北語版

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東北語の助詞【さ】は、日本語の「に、へ」に該当します。

東北6県の地域語資料に目を通した中で、
助詞【さ】の説明について、もっとも具体的に書かれているのが、
『津軽のことば』です。

『津軽のことば』は1958年発行、
著者・鳴海氏は、明治39年 青森県南津軽郡生まれ、
青森県の黒石高校の教諭をされていた方です。

今回は『津軽のことば』から、東北語の助詞【さ】の箇所を引用します。
学校の先生の視点で書かれただけあり、文法・例文・語源など勉強になります。

『津軽のことば』より引用
さ 〔助詞〕

≪解説≫
アクセントは、上高の場合と中高の場合とあり。
これは関東地方以北の全地方に用いられようだ。

有名な、いわゆる「坂東さ」は、この「さ」のこと。
即ち、標準語の助詞の「へ」と「に」との両方の役目を
この「サ」が一手に引受けたかたちである。

いうまでもなく「へ」は、方向を示す助詞で、
例えば「西へ行く」「東京へ向かって出発する」「左へまがる」など。

「に」は、普通、場所の「に」といわれ、
また、動作の帰着する「に」ともいわれているもので、
例えば「机の上におく」「左側に並ぶ」「庭の隅に捨てる」「箱の中に入れる」など。

ただし、標準語の用法でも、この「へ」と「に」は、近世からすでに混用された。
「机の上へのせる」は、「に」が正しい。
「東に向かう」は「へ」が正しい。
それがゴッチャになってしまった。
そして、現今では、大して誤りとも感じなくなったのである。

わが津軽の「サ」は、一足お先きに、このどちらにも用いられてきた、というわけ。

≪例≫
※ コンヤユコさハル。マナグさゴミハタァ。
○ 今夜お湯に(へ)はいる。眼にゴミがはいった。

※ ホッカエドさエグ。コウトウガッコさヘダ。
○ 北海道へ行く。高等学校にいれた。

※ ヒダリさマガル。ウシロさサル。サゲさミジワル。
○ 左へまがる。うしろへさる。酒に水を割る。

※ アッチャエッテ、コッチャコエ。
△ アッチさエッテ、コッチさコエ。
○ あっちへまわって、こっちへ来なさい。

※ オヤさモセンセさモ、ソンダサナェデキメデマタ。
○ 親にも先生にも、相談しないで、決めてしまった。

※ ナェさ、ホソコノカミコァキタナ。
○ あんたとこへ、種痘の通知書が来ましたかイ。

ここまでが引用です。

鳴海氏は≪解説≫のはじめに、
室町時代のことわざ「坂東さ」について触れています。

〜〜〜 大辞林より引用 〜〜〜
京(きょう)へ
筑紫(つくし)に
坂東(ばんどう)さ
室町時代の諺(ことわざ)。
方向を示す助詞として、
京都では「へ」、九州では「に」、関東では「さ」を使うことをいったもの。
「実隆公記」「四河入海(しかにつかい)」、ロドリゲスの「日本大文典」などに
記されている。

この「坂東」が関東全域を指しているのかは分かりませんが、
日本方言大辞典には、助詞【さ】の使用地域に
「茨城・栃木・千葉・長野・山梨」も載っているので、
もともと東日本の広範囲に分布していたのだと思います。

さらに鳴海氏は、【さ】の語源について、
万葉集、物類称呼(ぶつるいしょうこ、江戸時代の方言辞典)から
引用して説明しています。

ここの引用は長くなってしまうので、手短にまとめます。

)葉集
たたさにも かにもよこさも やつことぞ あれはありける ぬしのとのとに
(訓読)

歌の「たたさ・よこさ」の「さ」が現代にまで残って、
今は方言といわれている「さ」だというのである。
この「さ」は、「さま、方、様、状」の「ま」が略されたもので、
その中間には「さん」ともいったらしい。
長崎では、今も、この「さ」の意味で「さん」というそうだ。

∧類称呼
「・・・東ヘ・西ヘト云フコトヲ、肥前ニテ、東さなへ、西さなへ ト云フ。
東さまへ、西さまへ ノ転ジタルナルベシ」云々。

鳴海氏は、)葉集 ∧類称呼 を基に、
「サ」は、上代国語の助詞であったこと
語源は、サマ(其間・真間・状・様・方・方向)であること
と、まとめています。

九州の、方向を示す助詞【〜さん】【〜さい】などは、
東北の助詞【さ】に似ています。

ただし、九州の場合は方向を示す役割に限定されるようで、
東北語【さ】のように「へ、に」両方の役割を果たすわけではないようです。

また九州は【〜さん】【〜さい】のように、
九州各県によって、「さ」の下につく語尾が違いますが、
東北は全域共通で【さ】です。

これらのことを考えると、果たして、東北語【さ】の語源が
九州の【〜さん】【〜さい】などと同じ【様】からきているのか?
疑問に感じる部分もあります。

いずれにしても、語源はともかく、
助詞【さ】は東京標準語にはない東北独自の表現なので、
オラ自身、東北人として大事にしていきたいです。

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