あらかん青春日記

癌闘病後、体力回復に向けて、マラソンを始めました。平成23年3月12日より1km走るごとに10円貯金をして東北に送る事にしました

初恋1暑中見舞い

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一通の暑中お見舞いがもたらせた昭和43年の出来事回想録です。
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 忘れもしない8月27日。台風が近づいていて、強い雨が降りつける午後だった。一人で留守番をして

いたら、玄関の引き違い戸がカタカタと鳴った。郵便屋さんだった。玄関に行くと、封筒が戸の隙間に刺

さっていた。その封筒を見たとたんに、なにやらピ〜ンと来るものがあって、急に喉が渇いた。ピンクの

封筒だった。裏書きの部分がこちらを向いていた。そばに行くと間違いなく彼女の名前が青インクで書か

れていた。今日という日に一人で留守番をしていた運の良さに、心から神に感謝しながらその封筒を手に

した。少しの厚みが、少しの喜びといくらかの緊張感をもたらせた。便せん3枚と少しの文だった。何て

こと無い文面にすぎなかった。しかし、女の子から初めて封書をもらった僕は、大きな錯覚をしてしまっ

た。「彼女は、僕に好意を抱いてくれているかも知れない。」と。

 かくして、誰にも言えない秘密に、心地よい良い窮屈感を持ちながらの日々が始まった。このあと、僕

の中では、中学卒業までに「運動会のクラスリレー」「フォークダンス」「修学旅行」「マラソン大会」

等、今でもタイトルがつきそうな懐かしい出来事が展開されていった。(明日は、このまま手紙の内容と

運動会に向かっての流れを書こうかなとも思いましたが、マラソンの練習との関連を先に書くことにしま

す。)

 文を書くのが恥ずかしかったので、絵だけの暑中お見舞いを出すことにした。絵の具を使って朝顔の絵

の練習を何回も行った。(おかげで、今でも朝顔の絵にはちょっとだけ自信がある。)そして数枚のはが

きに朝顔の絵を描いてみた。できの悪いのを担任や親戚に出し、一番できの良いのを彼女に出すことにし

た。そのはがきを手に、何度も円筒形の赤いポストまで行っては、投函する勇気が持てず、引き返して来

ると言う行為を繰り返した。夜だったと記憶する。ついに意を決して、「ええいっ、ままよっ!」と、投

げ入れてしまった。何かをやり遂げたような気持ちと、とんでもないことをやらかしてしまったような気

持ちに襲われた。救いは、学校が休みだったことだ。
 
 担任や親戚からはすぐに返事が来た。しかし、彼女からは返事が来なかった。「あ〜あ、彼女への気持

ちを見透かされたんだ。そして迷惑に思われたんだ。」「いや、不良に思われたのかも知れない。」

「出さなけりゃよかった。」と、後悔した。「出校日にどんな顔していくかいな。」「さりげなく『やあ

っ。』と言ってみようか。」消えて無くなりたいような気持ちをこらえながら、あれこれ考えるが良い知

恵は浮かばなかった。

 時間は容赦なく流れ、出校日が来てしまった。3年生は模擬テスト。僕たちはお互いに全く口を利かな

かった。いや、僕の方からは口が利けなかったのだ。そのことは、僕の気持ちを余計に重くしていった。

帰りの会が始まる前のざわついた中で、彼女が近づいて来た。そして小声で、「おはがきありがとう。」

と言った。どっきり。そんなことを言われたことにも驚いたが、周りの誰かに聞こえなかったかとも思

い、ヒヤッともした。そして頭の中が混乱した。彼女の言葉の意味を一所懸命考えたが、なかなか答えが

出てこなかった。「少なくとも、怒ったり不愉快に思ったりしているのではないようだが、違うだろう

か?」「いやいや、礼儀としてお礼を言っただけかも知れない。」「それとも『返事は書かないわよ。お

礼は言ったからね。』という意味かも知れない。」いろんな考えが浮かんでは消え、消えては浮かんだ。

しかし、帰りの会前の騒然とした中、小声でお礼を言われたことに大きな意味を感じた。「ナイショよ」

という気持ちが込められているような気がしたのだ。真実は今でも謎だ。

 返事が来るような気がした。しかし、事態は甘くはなかった。返事が来るどころか、彼女は次の出校日

も、その次の出校日も学校に来なかったのだ。あとから聞けば、陸上部の全国大会の関係で公欠だったの

だが、当時の僕には、鬱陶しい(うっとうしい)日々が続いた。(続きは27日に書きます。)

 翌日から、なぜか学校に行くのが急に楽しくなった。自分の気持ちを見透かされそうな気がしたので、

僕の方から彼女に話しかけることはしなかったのだが、彼女はお構いなしにあれこれと話しかけてきた。

彼女から話しかけられることは、嬉しくもあったが、一方で彼女の存在感が僕の中で膨らんでいき、往生

もした。しかし、何はともあれ、時間が経つにつれて、いつしか彼女と自然な形で会話が出来るようにな

っていった。
 
 7月の席替えで、僕たちの席は遠く離れ、平穏な日々が戻ってきた。そして、夏休みに突入した。ここ

で終わっていれば、今までと同じように自然消滅と言うことになるはずだった。しかし、日記の中に記さ

れる彼女の好印象は色あせることがなかった。もっとも、日記を書くと言うことで、毎日の彼女の良さを

見つめることになっていたわけだから、当然といえば当然なのだが、当時の自分はそのことに気づいてい

たように思う。「へぇ。けっこう、一途な彼女への好感は薄れんのやなぁ。」ぐらいに考えていたよう

だ。
 
 中体連が終わった。僕は剣道で個人戦と団体戦に出たが、どちらも予選であっさり敗退した。胸の中に

ぽかんと大きな穴が空いた。一方で、新聞の地方版に我が校の陸上部の活躍がどんどん報じられた。そし

て、彼女を含む数名の陸上部員が、県大会、ブロック大会、全国大会へとコマを進めていったことを知っ

た。彼女と自分の格差に複雑な思いを抱いた。
 
 僕は、何を血迷ったのか、彼女に暑中お見舞いを出す決心をしてしまった。    (続きは明後日)

 「マラソンを始めるきっかけ その2」に書いた「陸上部でもないのに、中3の時に毎晩家の周りを走

って、そのタイムを日記につけていた事情」を少し・・・

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 指などをけがしたときに、「ガーゼ付き絆創膏」のお世話になる。この品物の名前は、地域によって

「カットバン」「リバテープ」と、呼び方は様々らしい。僕は、ずっと「サビオ」という名前で呼んでい

たが、いつも周りの人から「変な言い方。」と笑われていた。何かの雑誌で、カットバンの呼び名あれこ

れという記事を読んだ時に、関西でサビオと呼ばれていることを知ったときに、妙に感動してしまった。

さてこのカットバン、僕が中学生の時に市場に出回ったと記憶する。それまでは、けがをすると「オキシ

ドールで消毒したあと、赤チン塗っておしまい」というものだった。少し丁寧に処置をするときは、その

あとガーゼを当て、上から絆創膏を貼るのであった。しかし、カットバンはただぺたっと貼れば良いの

で、僕には非常にハイカラなものに見えた。当然、その商品の値段は安くなく、我が家の救急箱にカット

バンが出現するのはずっと後のことだった。

 僕の通った中学は、1学年が12クラスもあった。中3になるときのクラス替えでは、僕はほとんど知

らない者ばかりのクラスになった。その新クラスで、僕は一人の女生徒に関心を持った。ショートヘアス

タイルで、肌は日に焼けて黒く、笑うと真っ白な歯が印象的な女の子だった。あとで知ったのだが、陸上

部の選手だった。

 その小さなカットバン事件は、新学期が始まって間もない5月の英語の時間に発生した。彼女は、昼休

みの陸上部の打ち合わせに出ていたために、5限目にほんの少し遅れて教室に入ってきた。英語の先生は

彼女を前に呼び、遅れてきた理由を尋ねた。英語の先生と彼女のやりとりは、一番前の席に座っている僕

の目の前で行われた。日本中が、まだ「恥じらい」というものを知っている時代だった。彼女の顔をよく

見てみたいくせに、ずっと視線を下に落として、英語の先生と彼女のやりとりを聴いていた。目の前に彼

女の手があった。何と左手中指にカットバンが巻かれているではないか。「嗚呼、痛々しい・・・」と思

ったかどうかは定かではない。しかし、その光景の記憶は今も鮮明だ。その日の学校からの帰り道、薬局

でなけなしの小遣いをはたいてカットバンを買った。家に着くと、傷もないのに早速カットバンを指に巻

いてみた。次の日、何とかカットバンを巻いている手を彼女に見せようと、やたら授業中に手を挙げたよ

うな気がする。しかし、なにも起こらなかった。

 大きな事件は6月に起きた。クジによる席替え。彼女が僕の後ろに来てしまった。ドキがムネムネ、

いや胸がどきどきした。恥ずかしくて彼女の方を見ないようにしていたら、「よろしく。」と声をかけら

れてしまった。「ヨ・ロ・シ・ク・・・」と、やっとの思いで返事をした。
         
                         (長くなりそうなのでまた続きを後ほど・・・) 

 

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