|
最終日、僕たちは何事もなかったかのように接点を避けて東京見物をした。
羽田空港見学の自由時間にKのところに行って、
「昨日は、気を使うてもろうてありがとうやで。」と礼を言うと
「何のことや?」と、意外な返事が返ってきた。
僕が9組の部屋に行くいきさつを話すと
「僕は、呼んでへんで。陸上部の女子がそれぞれ男子に声かけて、9組に集まる約束しとったらしい。
発展家の誰かの発案みたいやで。
奥手の彼女は誰も連れて来んで、一人やったんやけど、途中おらんようになったなぁ、と思うたら、
二人で現れたから僕の方こそびっくりしたんや。
まぁ、ほんでも良かったやんか。」と、彼の知っていることを教えてくれた。
ものすごい速さで頭の中をいろいろな考えが回転していった。
Tさんが僕の言葉をかき消したわけや、彼女が嘘をついて僕を9組の部屋に連れて行った理由や、
陸上部のM君でなく僕に声をかけてきた理由などを・・・。
10月の「おつきあいは高校生になってから。」と言う言葉の存在感が僕の中で膨らんでいった。
東京駅から乗った帰りの夜行列車の中では、旅の終わりと言うことで、
男子も女子もみんな少しの寂しさを感じていたような気がする。
僕の中にも、寂しさはあった。
しかし、抑えきれない充実感とともに、修学旅行は終わっていった。
|