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柴又より愛をこめて

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  私は、『男はつらいよ』シリーズが大好きです。また、私は俳優としては、今も俳優座栗原小巻さんが好きです。その栗原さんが出ている、『男はつらいよ』シリーズが二つありますが、(新男はつらいよ1970, 柴又より愛をこめて1985)です。栗原さんは、今も独身ですが、この『柴又より愛をこめて』という映画を撮った時は、40歳でした。そして、その映画は、式根島という伊豆の沖にある小島の学校のアキコ先生役でした。アキコ先生は、「二十四の瞳」に感動して、島の先生になりました。ただアキコ先生には、大学時代に美人で頭がよい女性の友人がいました。その友人が結婚したのが、誠実ですが地味で、決してハンサムとは言い難い人でした。彼らには一人の女の子がありましたが、その子が学校に上がる頃、その友人であるお母さんが病気で亡くなります。それから、友人の子であるその女の子に親切にするうちに、突然そのお父さんに求婚されます。その時の悩みを、寅さんが聞くわけです。場所は、調布の飛行場・・・

(アキコ先生)彼は誠実な人だし、女の子は私になついているし・・・何も問題はないのよ。
でもね、でも・・・もしそうなったとしたら、身をこがすような恋の苦しみとか・・大声で叫びたいような喜びとか・・・胸がちぎれそうな悲しみとか、そんな・・・そんな感情は胸にしまってカギをしたまま・・一生あけることはなくなってしまう。・・・そんな悩み・・・寅さんなら・・・どう答えてくれる・・?。

(寅さん)・・・いやぁー、俺のような渡世人風情の男には、そんな難しいことは分からねぇ。

(飛行場の係員)新島行きのお客さま、お待たせしました。
(寅さん)ただ、
(アキコ先生)えっ?
(寅さん)お話の様子じゃ、その男の人は、きっといい人ですよ。
(アキコ先生)そう?
(寅さん)ハイ。 ・・・・さあ、先生、早くお行きなせぇ。



  このアキコ先生のセリフは、栗原さん自身のセリフのようにも感じました。ここのセリフが大好きです。私自身も、この場面に来ると、息を殺しながら観ます。胸が、キューンとなります。

  栗原さんがこの映画に出てから、また25年が経過しましたが、栗原さんは、どうも今もお一人のようですし、映画やテレビではなく、主として彼女の俳優人生の根本である、舞台に精を出しておられるようです。

  このアキコ先生の言われるような恋愛に、年齢という壁はあるでしょうか? 私は思うのですが、家庭の中に入っておられない栗原さんは、64歳である今でも十分に、そういう恋愛が出来るだろうと思います。現に第48作の『男はつらいよ・紅の花』では、もう映画の中では寅さんも、リリーさんも、現在の栗原さんの年齢より上ですが、先の、アキコ先生の願っているような、熱烈な恋愛をしています。ただ、私にとっての、栗原さんは、今でも、彼女の20代の時の栗原さんです。

  最近の若い人たちの恋愛の多くは、どうもすぐに体の関係に移行しがちで、軽薄な感じがします。本当に熱烈な恋愛は、おかしさ、愚かさ、不器用さがあっても、寅さんたちのように、つつしみがあります。是非とも、そういう素晴らしい恋愛をしていただきたいものです。

  日本に行ったら、是非、彼女の舞台を観たいものです。

  


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abeishihara
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