阿部仲麻呂博士の学術空間★NakamaroAbe-WEBlog★

■学問に限定した活動報告―美学・藝術学・能楽理論・演劇学・解釈学・哲学・仏教学・神学・宗教哲学・日本思想・精神医学・・・晁衡■

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6月4日の講座は無事に終了いたしました。参加してくださった数多くの方々に心より御礼申し上げます。どうもありがとうございます。

 2011年5月1日、教皇ヨハネ・パウロ二世が列福されました。今年は、教皇訪日30周年にもあたります。それで、以下のような講演が企画されたみたいです。


第10回 ロゴス文化教室 「教皇ヨハネ・パウロ二世の思想と実践から学ぶ」 講師;阿部仲麻呂

■日 時 2011年6月4日(土) 午後2時より

■会 場 幼きイエス会(ニコラ・バレ)  (JR・地下鉄 四谷駅前) 

■参加費 1,000円(資料代込み 当日受付) 

■申込方法 お電話で氏名・電話番号・資料の種類(普通字・点字・テープ)をお知らせください。
              ※定員(100名)になり次第、締切。

■申込先・問い合わせ先   社会福祉法人ぶどうの木 ロゴス点字図書館
               〒135-8585 東京都江東区潮見 2−10−10
   電話 03−5632−4428   FAX 03−5632−4454

■申込締切日  2011年5月20日(金)


*関連サイト⇒ http://www.logos-lib.or.jp/php/culture.php




「教皇ヨハネ・パウロ二世の思想と実践から学ぶ」 概要

 5月1日に列福された教皇ヨハネ・パウロ二世の思想と実践を見直す。特に、その平和観、苦しみの意義への洞察、独自の哲学と神学、他宗教との協調関係、日本への敬意などの主題に焦点を当てる。なお、教皇ヨハネ・パウロ二世は1981年に来日しており、ちょうど今年は来日30周年を記念する年にあたる。
 
 ポーランド出身の教皇の本名はカロル・ヴォイティワ(1920−2005年)であり、詩人・学問研究者・実践的社会活動家として名高い。ヴォイティワの教皇在位は1978年10月16日から2005年4月2日であり、その歴史的役割は第二バチカン公会議(1962−65年)を正しく解釈し、その決定を適切に実施し、その遺産を次世代の教会に伝えたことである。教皇は教会以外の立場の人々と積極的に対話を心がけ、同時に教会内のキリスト者たちを励ましながら、その聖性を高めるべく努めた。そして、分け隔てのない寛大な姿勢であらゆる人を連携させる家族的な共生の実践を推進した。

 教皇は、人格の尊厳の強調、共産主義との対決、自由主義諸国への警告、ラテン・アメリカ地域における民主化推進、聖座外交の活性化、福音宣教、教導職の遂行、エキュメニズムおよび諸宗教対話の推進という偉業を成し遂げた。しかし、教皇は信仰の人として謙虚に自らの病を受けとめて老衰の痛みのなかで死を迎えた。「神のいつくしみ」への揺るぎない信頼を保ちながら。年老いて、すべてを奪われる状況においてさえ、終始笑顔を絶やさずに相手に自らを開いて関わろうと努めた愛情深いふるまいの気高さは世界中の人々に強烈な印象を与え、今なお至上の輝きを放っている。

 ヴォイティワの人生の歩みは三期に分けられる。第一期は青年カロルの成熟の時期(1920―1946年)、第二期は司祭・司教ヴォイティワの闘いの時期(1946―1978年)、第三期は教皇ヨハネ・パウロ二世の指導的次期(1978―2005年)である。特に、第二期は苦悩に満ちた時期であり、共産主義政権下のポーランドにおいて言論統制が続く日々を闘い抜いた経験は、後日あらゆる痛みを身に受けて生きる数多くの人々と連帯するうえでの貴重な素地となった。1984年に教皇は『サルヴィフィチ・ドローリス――苦しみのキリスト教的意味』を発表したが、苦しみが愛につながることを強調する。――人間の悲惨な状況に心を痛めた神が独り子イエス・キリストを派遣して世界を救い出そうと意志すること、苦悩は愛を誘発する契機となること。教皇の独自の苦悩観は、自らの経験とも結びついており、しかもあらゆる人の悲惨な境遇を決して見過ごせないという親身な想いと解決策への積極的行動への駆り立てとも一体化している。
 
 ヴォイティワの生涯と思想は全人類的な価値をもつ実践的な哲学として評価できる。キリスト者はキリスト教の伝統や思想的枠組みのなかだけでヴォイティワを評価しがちだが、単に一信仰者としての立場だけでヴォイティワを理解するだけでは足りない。ヴォイティワの『行為と人格』という名著は、人間が愛の実践を続けることによって真のペルソナ(人格)にまで成熟していく力を秘めていることを万人に通用する哲学的文法を用いて描きつつも、実は極めて具体的な現実問題の背景に立脚して考え抜かれたものだった。共産主義政権下の言論統制や人間の尊厳の忘却の日常化の支配する空虚な世界のなかで闘い続け、独自の思想を築いたヴォイティワの実践は、今なお見直すべき価値のあるメッセージを発している。人間のいのちの尊さを確認し、それを守るためには、その歩みを身を以て貫いた先人の生き方から学ぶしかない。

 ローマ・カトリック教会の哲学・神学の立場に立ちながらも、全人類の協働を重んじたヴォイティワの思想は二つの意味をもつ。――第一に、信仰者としての愛の実践の堅固な理論化である。第二に、万人に共通する建設的な行動原理を明確に理念化することである。二つの動きは「相手を活かすことを主眼にして即座に行動する姿勢」に支えられていた。ヴォイティワは行動の人だった。しかし、常に冷静に自らの行動を反省して、最善の行動基準を考え抜いた。もっとよりよい動き方があったのではないか、と自問自答するヴォイティワ。絶えざる向上心を抱き続けて前進したヴォイティワの信念から私達も学ぶことが多い。ヴォイティワの思想を忘却することは、私達の可能性を閉ざすことに等しいことなのだから……。




講師略歴

阿部仲麻呂(あべ・なかまろ) 1968年、東京都出身。神学博士、日本カトリック神学会評議員(2004年−)、上智大学大学院および日本カトリック神学院兼任講師、国際日本文化研究センター客員研究員。
 著書;『信仰の美学』(春風社、2005年)、『近代日本のキリスト者たち』(パピルスあい、2006年)、『諸宗教対話』(カトリック中央協議会、2006年)、『時の流れを超えて』(教友社、2006年)、『神さまにつつまれて』(オリエンス宗教研究所、2007年)、『フランシスコ会学派〈下〉』(聖母の騎士社、2007年)、『講座哲学』第13巻(岩波書店、2008年)、『賛美に生きる人間』(教友社、2008年)、『キリスト教信仰と現代社会』(サンパウロ、2008年)、『死と再生』(日本キリスト教団出版局、2010年)、『韓日哲学対話(모색 -씨알철학과 공공철학의 대화)』(シアル研究所、2010年)、『公共する人間5 新井奥邃』(東京大学出版会、2010年)、『危機と霊性』(日本キリスト教団出版局、2011年)他。
 専攻;基礎神学、教義神学、哲学、教父思想、美学。

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閉じる コメント(8)

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過日のフォーラムでは大変,お世話になりました。Nです。旧アドレスではメールが届かなくなってしまったようなので,こちらに取り急ぎ,書き込ませて頂きます。

取り急ぎ,新聞上の,先生やK先生の玉稿を拝見して,漸くフォーラムがどのように進行していたのか,が見えてたので,そのお礼をどうしてもお伝えしたかったこと。

また座談会の件,やはりお断りさせて頂いたため,その点のお詫びをお伝えしたかったこと,が書き込みを決意した理由です。

座談会,私はお役に立てませんが,心より成功を祈念致しております。

それから蛇足なのですが,例の新聞を拝見して,ちょっと驚きまして……,金先生の内容と私の発表原稿内容がひっくり返っていませんか?

私の発表がこのように受け止められる物になっていたのか…,とバックグラウンドの異なる方に対して精確なところをお伝えすることの難しさを改めて感じました。
反省材料を受け止めて,以後,さらに精進したいと思います。気づかせて下さり,有難うございました。

お身体,どうぞおいとい下さい。


またご縁がありましたら,どうぞ宜しくお願い申しあげます。

2011/5/9(月) 午前 9:47 [ N ]

感謝します。メールは届きました。どう返事をしてよいか考えあぐねています。新聞の記事は編集部による改変ありで。皆さん、立場が異なるので、わたしゃ、疲れた!のです。真摯に協力できればよいのに、と痛感させられます。

2011/5/9(月) 午前 11:35 [ 阿部仲麻呂 ]

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N先生、ともかく、感謝しています。フォーラム事務局の方針や各先生の御立場など、さまざまな多様な状況が響き合うなかで、調整がなかなか難しく、ほんとうは建設的な前向きな対話を重ねていくことを今後も継続することが急務だと考えております。

2011/5/9(月) 午後 9:25 [ 阿部仲麻呂 ]

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調整に向けて多大に尽力下さったこと,本当に感謝の言葉もありません。

私としては,ポーランドを十分に代弁できなかった自分に対する悔しさのようなものがありまして…
というのは,過去に欧米でヴォイティワの思想が取りあげられる度に,第三の道の実践論のような読み方がなされ,ポーランド側から異議申し立てされた,そんな歴史があるのです。

そのためWojtyla1969は第三の道実践論として読むことを戒めないといけないのだ,という点だけは,ポーランド側代表として,きちんと伝えいと思いながら,原稿を書き下ろしました。

それだけに自分の実力不足が反省された次第で……

対話といえば,M研究員に神戸からの帰路,フォーラムを「公共する」の実験場と位置づけて,それこそもっと実践的に様々な試みを導入,その都度,結果を検証し,フォーラムの考える「公共する」の具体的輪郭を形作っていかれてはいかがだろう,等といった提案をさせて頂いていましたが…,何事も言うだけは易し,ですよね。本当にお疲れ様でした!また機会ありましたら,ぜひご一緒させて下さい。有難うございました。

2011/5/10(火) 午前 5:31 [ N ]

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いま、仕事先から戻りました。6時間しゃべりっぱなしでした。返事をいただき、ありがとうございます。フォーラムもさまざまな研究の場も、そうですが、やはり年配の方々が御発言権を有しています。私は、これまで、ひたすら支え役を務めてきました。補佐役です。年配者の御苦労をねぎらい、尊敬しています。儒教的な気質があるのかもしれません。ということは、逆に言えば、若手の場は形成されていないわけで。協調の歩みを、年配者を立てながら、当分はつづけていきます。同時に新たな動きも結成しています。同年代の中堅研究者の動き。そして、後輩を支える動。やはり、「支え役」が多いですが。本音を言うと、私自身が「支えてほしい!」から、相手を先に支えてしまうわけで。自分がやってほしいことを、やっているだけです。

2011/5/10(火) 午後 10:09 [ 阿部仲麻呂 ]

訪問者の皆さんに感謝します!京都府にて。

2011/5/13(金) 午後 11:32 [ 阿部仲麻呂 ]

キリスト新聞の最新号にも、記事が掲載されています。5月21日号の第2面だと思います。ヨハネ・パウロ二世の若い頃の哲学について、です。シンポジウムの報告書をキリスト新聞社編集部から頼まれたので書いたのです。

2011/5/16(月) 午後 5:51 [ 阿部仲麻呂 ]

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キリスト新聞の新たな号が刊行されました。5月28日号の第2面に、第二回目の連載の記事が掲載されました。やはり、ヨハネ・パウロ二世教皇の若い頃の哲学についてのシンポジウムの報告書です。これも、キリスト新聞社編集部から依頼を受けて書きました。専門的なシンポジウムの内容を紹介してくださったキリスト新聞社に感謝しています。私自身、シンポジウム後、すっかり忘却のかなたで生活していたので、突然、執筆の依頼を受けたときは、ほんとうに驚きました。――言わば、うれしい驚きという感覚です。『カトリック新聞』などをはじめとする日本のカトリック・メディアより先に、いちはやく様々な動向に公平に目配せしているキリスト新聞の編集努力には敬意の念をいだきます。どうもありがとうございます。

2011/5/21(土) 午後 11:13 [ 阿部仲麻呂 ]


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