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●「美と哲学」
2013年8月3日(土)―8日(木)16:00−18:30(日曜日は休み)
上智大学 夏期集中講座 阿部仲麻呂
■講義概要
古代ギリシアに端を発する「美」への憧れと思索。西欧の美学において、哲学者は美の客観的な基準を問うことからはじめて、「美そのもの」への肉迫を課題とし、さらに美の理論的可能性が彫琢された。
しかしながら、キリスト教信仰の意義の理性的考察としての神学の立場においては、美は「神による被造物の全肯定」(創世記)として理解され、神の慈しみの体現としてのイエス=キリストの十字架上のいのちの捧げ尽くしという出来事(自己空化/ケノーシス)を通しての「逆説美」(ニュッサのグレゴリオス『雅歌講話』)の視座から解釈された。
日本文化においては、美は「うつくしきこと(空奇しきこと)」として体感され、得も言えぬ余情の余白の世界観を洗練させるに至った。
本講義では、ギリシア哲学・キリスト教神学・日本文化を横断する馥郁たる眺めを提供することで、それらの根底に潜む「人間の普遍的な美の価値」を再考したい。
■講義項目
1.はじめに――「美」について
2.ソクラテスとプラトン――美への憧れ
3.アリストテレス――客観的な均整美
4.プロティノス――『エンネアデス』における美の理解
5.創世記からイエス=キリストにおける受肉の秘義まで
6.ケノーシスとテオーシスの道行き――オリゲネス、アタナシオス、カッパドキア三教父
7.ニュッサのグレゴリオスとアウグスティヌス――東西の美論
8.トマス・アクィナスの神経験
9.ルネサンスの躍動
10.バウムガルテンと美学
11.カントからヘーゲルまでの感性学
12.ハルトマン、インガルデン、ハイデガー――現代の美学
13.ガダマー、ゾルガー、ベルクソン――現代の解釈学的美学
14.日本文化における美――うつくしきこと
15.あらたなるはじめに――今後の課題
■テクスト
『エイコーン――東方キリスト教研究』第43号、教友社、2013年。
当津武彦編『美の変貌』世界思想社、1998年(第五版)。
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