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この世で生きることに
意味があるのだろうか? わたしは
冬の空を見上げるが
鈍色(にびいろ)の空は答えない わたしは
ひたすら歩いている
その一歩一歩に 花が咲いている 花はその場を動けない
だから ただただ咲いている やがて空は
ゆっくりと厳(おごそ)かに
崩れてゆく 凍えた千もの銀が
わたしの頬でとけていく
冬のかけらは
限りなく花弁にも 落ちて来る
それでも花は 凛と揺れている わたしは
その美しさに 花の覚悟をみる
美しくあらねばなるまい
冬の花のように わたしの一歩一歩を
花としよう
この世で生きることに
意味があるのだろうか?
冬の花は
ただただ 沈黙している
打ちのめされても ただただ 揺れている
鈍色(にびいろ)の空と
歩を進めるわたしと
そこには 意味を問われた
世界がある
都環 咲耶子
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詩の部屋・心象
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―ポートレイト―
人間を撮れるように なったとき わたしは たぶん 他者に関わる 勇気を持つ 決心をした ということなのだ あなたの目に 現われる 真実と あなたの口元に 現われる 繕(つくろ)いと その両方に関わる 崇高なる 覚悟である 咲耶子 |
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たとえば
陸を侵食せんばかりの 大海原が あなたとわたしを
へだてようと わたしの想いは
金色の海流となって 深海を うねりうねり
渦を巻き 必ずや
あなたの元に たどり着く たとえば
天を貫かんばかりの 峰々が あなたとわたしを
へだてようと わたしの想いは
銀色の入道雲となって 天空を 湧きに湧き
生まれ出て 必ずや
あなたの元に たどり着く あなたに知らしめる わたしの想いは 悲鳴をあげた
世界を凌駕する
そのようなとき
時は期限を切るのを
放棄するだろう そのようなとき
次元は場所を特定するのを
放棄するだろう そのようなとき
わたしとあなたを隔てる
いっさいがっさいが 崩壊し消滅する
わたしの
あなたへの想いは
すべてを原初に戻し わたしたちは再び
ひとつになるだろう 切断された死は
結合する生と何ら変わりなく 肉体を持たぬあなたは
肉体を持つわたしと なんら変わりなく ああー
わたしの
あなたへの想いこそが
この宇宙となる by咲耶子
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そらは 青々とし
みずは さらに青々としていた あたりまえのように
境はあとかたもなく 溶けていた したがって
だれもあなたを 知らないだろう
だれもがあなたを 忘れ去っただろう 畏怖と 憧憬と 帰依によって
あらゆる存在を 満ちたりたものした
あらゆる運命を 根絶やしにした いずれにせよ
あなたは あらゆるものに
溶けていた
とうめいな青は 細胞の起点にしみいる
ただひたすら 日々をとおしてしみいる あらがいようもない その青い悲しさ
そうした悲しさの ゆるぎない美しさ 気を失うほども 気が狂うほども
深く染まってしまう くちづけたあなたの そのひたいの青さ
いまにも死にそうな青さ あたりまえのように
境はあとかたもなく 溶けていた こうして青は
起点に還るための 切望となる
そらと よばれたことがある
みずと よばれたこともある そうして
忘れられた境だけが
青い青い真実と呼ばれる
by 都環咲耶子
〜2008年10月の詩を少し書き直したものです〜
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恋をしているあなたは
ときには
舞い踊る 蝶のようだったり ときには
震える 吹きだまりの枯葉だったり あなたは 少女のこころで
遠い相手に 想いを馳せている そんな あなたは
まるで水に映ったわたしのようで わたしはとっくに 湖に沈んでいる
のだけれど 波間に映る あなたという
わたしの姿が 木枯らしで 揺れているのを
わたしは 切ない想いで
見あげています 恋をしているあなたは
ときおり
湖のほとりを ぐるぐる周り ときおり
水底を のぞき込みます わたしはとっくに 底に沈んでいる
のだけれど 成就しない恋もまた
それはそれで 冬の季節のように 清らかでヒンヤリと美しくあり
涙で出来たというこの湖は
恋するあなたの中で 沈黙のまま さざ波となり
伝説となるのでしょう
by咲耶子
あなたを 想うとき
とてもとても辛い
これほども
あなたを愛しているからだ あなたを 想うとき
とてもとても喜ばしい
これほども
あなたを愛しているからだ なんという
この対極! なんという
この相違! 天国と地獄
高く高く 昇るごとに
さらにさらに 落ちる 南の地平線と
北の地平線 遠く遠く 離れるごとに
さらにさらに 近づく
そのように たどり着く
愛するという真実
究極の生まれる源泉
あなたを 愛するたましい
あなたを 愛するたましい by咲耶子
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