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詩の部屋・エロス

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〜詩〜エゴイスト

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シャネルをふりかけてみたい
「エゴイスト」な男どもに

瓶の一本ぐらいなら
どにに逃げたか わかるでしょう
 
森深く野生のたましいが
うろついている
 
きみは灰色で やせ細っている
 
ひと晩一緒にすごそうか?
 
もしも骨のかけらも残らないなら
女は自由になれるわね
 
「プラチナム」から
フゼアな香りが 立ち昇る
 
むせたまま気絶するほど
恋の強烈さを 物語ればいいわ
 
匂いもしない男どもには
ちょうどよい罰ね
 
女はあれやこれや 調香している
 
大事なひとなんて 
愚かな文句を ささやかれないために
 
                        by咲耶子
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ねえあなた
わたくしが生きているのは
混沌の巣 黄昏の季節

わたくしは
未明という 薄衣(うすぎぬ)をまとい
夕暮れという 微笑みを浮かべる
 
わたくしが 白い吐息をつきながら 
ビロードの夜を 覗き見ると
 
男たちは
素足が大地に触れる
――枯葉が擦れるほども満たない――

幽かな音を聞きつけ
わたくしの足首を 掴もうとする
 
咆哮する狼のたてがみは
月の青銅に照り映え
わたくしは危険な獣を抱き寄せる
 
ありとあらゆる愛が 
蒼い森を交錯している
 
純粋な精霊は 新たな愛を差し出し
自由な精霊は 喜々として受け入れる
 
恋人らは男たちを罠にかけ 
その毛皮をまとい
誘惑者の足音に 戦々恐々と身構える
 
ねえあなた わたくしは 
もう何千年も
 
因習に憑かれた老婆のように
運命の愛を探し歩いている
 
奔放で無垢な愛人は
 ときに聖女と呼ばれ讃えられ
ときに悪女と呼ばれて蔑まれた
 
わたくしの裸体は あなたのために
ネパールの少女のように幼く
夢ばかりを乞うようになった
 
男たちは
女の運命でありたいと願う
 
わたくしを さらっておくれ
わたくしの 運命になっておくれ
 
季節が永劫の黄昏を帯びたまま
風は繰り返し 
森を揺らしている
 
それは誰?

それはあなた? それともあなた?
 
わたくしを 

ファムファタールの女と呼ぶのは!
 
 
 
                          ※フォト及び詩は咲耶子
ガニュメデスよ 
   おまえの葡萄酒で
すっかり酔いがまわった
 
トロイアの王子よ
   おまえの薔薇の香りで
すっかり夢見心地になった
 
だがおまえを寵愛する時は

草をころがる朝露のような 
   人間の寿命よりも
 
さらに言えば
 
少年期のような 刹那の美にも
  満たぬほど短い
 
ヘラがおまえを 殺す前に
 
天空の星ぼしのなかに おまえを飾ろう
神の愛の証しとして
  そしてゼウスの名のもとに

偉大なる鷲の翼が 
  永遠の羽ばたきとともに 
おまえに寄り添うだろう
 
            by 咲耶子
 
「ガニュメデスとゼウス」ギリシャ神話より
 
ギリシャ神話の「ガニュメデス」は、水がめ座という星座になった美少年の名です。
水がめ座は私にとってはなじみ深い星座なので、十代の頃から「ガニュメデス」の名だけは知っておりました。
だからこそ、もっとも近しいギリシャ神話の中の登場人物と言えます。
 

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※シグさんのご好意によって縦書きになっています。

女は無垢という名ではない 
むしろ その存在は 罪と呼ぶにふさわしい 
あらゆる賛美を 寝衣の裾に 縫い付けている

女は残酷な夢を産み落とし 逃げ去る前に耽溺する
また唇をよせるフリをして サッとあなたの腕を すり抜ける
遊びのように 戯れのように

 あなたの唇が触れるのは 
この世における 最上の柔らかさであり なめらかさであり 純白である  
彼女は あなたをひざまずかせる
目にするものは あれほどの 赤い花びら 女に染まる花びら 
はかりごとのように 不穏な殺戮のように
 
一輪の花は もっとも暗い葉陰で香る 
燃える薔薇 女の香りのする薔薇
あなたはそれを 手折ることを熱望する
 
あなたは 盲目的な征服者であろうか? 
女の内側へと 忍び込もうとする 突き進もうとする 
女は夜のしじま 
安息と恐れと 快楽をもたらす
 
あなたは愚かにも 花園へ迷い込み 喜びと同時に 後悔の呻きをもらす 
女はなんども鍵束を確認し その門を開く  
 

〜詩〜ゼラニウム

立ち去る人がいた
 
夕立がわたしの身体を
  ぐっしょりと濡らす
 
ぬるい空気に密(ひそむ)憤りを
  季節は感じていたのだろうか
 
すっかり 整えられた夏の庭には
  美しく並べられた
鉢植えの赤いゼラニウム
 
この頭痛は 目覚めぬひとの重い予兆
嵐の破れ目に怯えた子猫
 
たしかに夏は来た 激流の跡を残し
  やがて艶(あで)やかな色を成し
 
再びあの日と そっくり同じ赤でめぐる季節
(ああ遠雷さえも 同じように呼びかけるのだ)
 
呼び戻す人はいない
   庭を振り返るのはわたし
ゼラニウムはもう 色あせた
 
 

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