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「峠」
真壁 仁 昭和の農民詩人で山形人
峠は決定をしいるところだ。
峠には訣別のためのあかるい憂愁がながれている。
峠路をのぼりつめたものは
のしかかってくる天碧に身をさらし
やがてそれを背にする
風景はそこで綴じあっているが
ひとつうしなうことなしに
別個の風景にはいってゆけない。
大きな喪失にたえてのみ
あたらしい世界がひらける。
峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい。
みちはこたえない。
みちはかぎりなくさそうばかりだ。
峠のうえの空はあこがれのようにあまい。
たとえ行手がきまっていても
ひとはそこで
ひとつの世界にわかれねばなちなぬ。
そのおもいをうずめるため
たびびとはゆっくり小便をしたり
摘みくさをしたり
たばこをくゆらしたりして
見えるかぎりの風景を眼におさめる。
この詩には、峠に立つ人の心模様が、そのまま描かれていると思います
一人峠(人生)に佇むと、いろんな思考が脳裏をよぎります。 |
詩
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「虫篭窓から」 ふと見上げると「虫籠窓」が
あの隙間から少年達には何が見えるのだろうか
辻を曲がり 黒板塀の古い家を通りすぎると 手摺欄干に 優しい笑顔の女性が肩肘を付いて座っている
やけに手が白い この世のものとは思えないくらいに怪しさが漂う
空を見上げると「いわし雲」が流れ 少し涙目になる 人は恋する生き物である 細い指 小さな胸 透き通るような髪
小さな微笑に心安らぎ 酒を交わす
何もない時間だけど 全てがこの場所にある気がする
この小さな空間に
白壁土蔵の脇を通り過ぎると、再び虫篭窓の家が 私には あの窓からは何が見えるのだろうか
道端の地蔵様が「つながってるよ きっと」と語りかけた気がした |
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