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神戸で国内感染者第一号の発表があったのは、5月16日。10日前の騒ぎが別世界のように感じられる毎日です。今までと変わりない生活を過ごしている人がほとんどでしょう。しかし、気になるのは、秋から冬にかけてのことです。 先進国の多くは、ワクチンの契約をすませている・・・なぜ日本は???国内生産では、わずか1350万人分しか調達できないのに、輸入の契約もしないのでしょうか。今回でも、政府は、事態が次々に、おきてから、大慌てで、後から追いかけるという感じでした。 国内生産では、ワクチンが大幅に足りないことは、すでにわかっていることなのですから、早めに対処して、国民を安心させてほしいものです。今回でも、「冷静に対処してください」とか、「マスクで大騒ぎ」とも言われますが、せめてマスクでもないと不安・・このような心理状態の人も少なくないのかもしれません。
厚労省のワクチン鎖国 AERA 5月18日http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090518-00000002-aera-soci──新型インフルエンザで心配なのは、秋以降といわれる「第2波」到来だ。頼みは 予防ワクチンだが、日本は「鎖国」により海外に大きく水をあけられている。── 厚生労働省によると、日本のインフルエンザワクチンの製造能力は、年間2700万本程度とされている。通常のインフルエンザワクチンなら大人2700万人分になるが、日本人がこれまで経験したことがない新型ウイルスなので、2度接種することを前提にすると同1350万人分とみることもできる。 医薬食品局血液対策課は、 「まだ、新型ウイルスの性格がはっきりしないため確定的なことは言えない」 と言うが、例年の流行を想定したワクチンは3種混合なので、新型1種であれば3倍の接種が可能とみることもできるという。 ワクチンがインフルエンザの予防に万能というわけではないが、人類が未経験のウイルスだけに、より多くの人に接種することで流行を抑えるべきだと考える人も多いだろう。ところが、この製造能力のすべてを新型用に回せるわけではない。与党のワクチン予防議員連盟会長の坂口力元厚労相(公明党)は、 「すべてを新型対策に回すわけにはいかない。従来の季節性のインフルエンザでも死者が出る。鳥インフルエンザの脅威がなくなったわけでもない。それを考えると国内の生産能力で足りないことは明らかなので、ここは輸入することも考えるべきだ」 と提言する。 ■事前購入契約に否定的 ワクチン議連は、こうした提言を舛添要一厚労相、自民党の保利耕輔政調会長、河村建夫官房長官に次々行ったが、政府の動きは鈍い。 厚労省の説明はこうだ。 「少なくとも、確実に入手ができる国内メーカーのものは計算に入れて、海外のメーカーの情報はきっちり押さえています。そのうえで適切な時に適切な対応をしていく。WHO(世界保健機関)では、本当に今回の新型インフルエンザのワクチンを作る必要があるのかという議論もあります」(血液対策課) ところが、国際的には「事前購入契約」という制度があり、すでに各国は海外の大手メーカーとの間で、一定の枠を押さえているのだという。 京大大学院医学研究科の川上浩司教授が言う。 「欧州の主要国は、一定の条件を決めて、条件にあった場合には優先的にワクチンの提供を受ける契約を結んでいます。一定のお金を払いますが、それは保険料のようなものです。厚労省の担当者は契約をしても、いざとなったら口約束に終わるなどと言いますが、実際の契約はそういうものではありません」 実際に、厚労省の担当者は、 「高い金を払って契約しても、実際には供給されないかもしれない。経済大国である日本がカネでワクチンを押さえるようなことをすると、国際問題になる可能性がある」 とまで言う。 ■備蓄の3分の1未承認 厚労省はなぜ、海外メーカーのワクチンに懐疑的なのか。 鳥を想定していた新型インフルエンザの対策では、2006年度からの3年間で毎年66億円を使い、3000万人分の事前対策ワクチン(プレパンデミックワクチン)を備蓄している。ところが、その3分の1以上は、厚労省が製造承認を与えていない製品なのだ。 日本のインフルエンザワクチンを作っているのは、武田薬品工業やアステラス製薬といった大手医薬品メーカーではない。学校法人の北里研究所(東京都港区)、財団法人の阪大微生物病研究会(ビケン、大阪府吹田市)、財団法人の化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)、株式会社のデンカ生研(東京都中央区)の4法人だ。 プレパンデミックワクチンもこの4法人が04年から開発を始め、07年1月に承認申請をした北里研とビケンは同年10月に製造承認を得た。同時に申請したデンカ生研の承認はまだ。化血研の申請は1年以上遅れ、やはりまだ承認されていない。ところが、06年度から備蓄を始めた厚労省は、承認前から4法人の備蓄を始め、北里研とビケンに承認が出た後は、承認のない化血研を含めた3法人から買い上げを続けている。 これについての血液対策課の説明はこうだ。 「新型インフルエンザはいつ流行するかわからず、国内でワクチンの製造実績がある4法人に承認前から製造を頼んでいた。承認はまだ2法人だが、製造能力に限界があるため、承認が近い化血研からも買っている」 ■国に守られ立ち遅れる こうした国内メーカー偏重とも見える姿勢に、厚労省の「ワクチン鎖国政策」があると指摘する関係者は多い。 厚労省によれば、日本のワクチン市場は約600億円だが、輸入品が占めるのは1・5%にすぎない。医薬品の7割が輸入されるか海外から導入されたものであるのに比べても、非常に少ないことがわかる。 厚労省自身も07年3月の「ワクチン産業ビジョン」で、 「95年以来、新開発のワクチンは上市されていない。外国で販売されている新ワクチン、混合ワクチン及び改良ワクチンの多数が、日本国内には導入されていない」 と指摘している。 昨年12月に発売された感染症予防の小児用ワクチン「アクトヒブ」は、米国では20年前には発売されていた。比較的若い女性に多い子宮頸がんはワクチンが有効で、海外では多くの国で承認されているが、日本ではこれからだ。厚労省のワクチン鎖国によって、日本ではかからなくてもよい病気に悩む人が多いという結果を生んでいる。 前出の川上教授が指摘する。 「日本のワクチン生産は、公衆衛生なのだからもうけるべきではないという発想から、公益法人が中心に担ってきました。国に守られていては開発のインセンティブが働かない。その結果、欧米に大きく立ち遅れることになりました」 インフルエンザワクチンの製造方法でも、日本の技術は世界から立ち遅れている。いざという時に本当に役に立つのかは未知数だ。保険の意味でも海外メーカーとのルートを確保しておくべきではないか。 編集局 松浦 新 (5月25日号) |
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