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イタリアには声楽教師がごまんと居ます。
そのなかから自分にあった教師を見つけるのは本当に難しいこと。
先輩の先生だから、知人に紹介してもらった、有名だから、コンセルの先生だから、いろいろあるでしょう。
まず有名な先生。有名というのはキャリアをしてきた先生。どのくらい?舞台の主役キャリア?それとも端役キャリア?そのキャリアはどのくらい続いた?
黄金時代の歌手でも現在貧乏な人は沢山居ます。信じられないですか?
あるテナーは自分の持ち家さえありません。マリアカラスと歌っていたテナーですよ。
マリオデルモナコと歌っていたあるソプラノは社交界を保つために自分の車を売り、ポンコツに乗っています。日本にもよく来る性格の悪さで有名なあるソプラノはせめて芸能界ででも知名度を保とうとレベルの低いテレビ番組で恥さらしをしています。このソプラノの現在ののギャラはなんと1000ユーロ以下です。
こういう歌手は日本での公開講座やコンクール審査員として呼ばれるのを待っているか、イタリアでのフェステバル関係で小金を稼いでいるのが現状です。
これを悪いといっているのではありません。
しかし生活していくためにはお金が要ります。
そこで自分の知名度を利用しレッスンをするわけです。知名度があるというだけで一回150〜250ユーロものレッスン代を要求します。日本円で約20000〜30000円ですね。
しかし、東欧諸国からくる生徒にこの金額は払えるのでしょうか?
払えるわけがありません。日本人料金とイタリア人料金などが分かれていることは明らかです。
それでも何か自分の身につけばいいのですが、この金額だと一週間にせいぜい1回多くて2回がいいとこです。
自分がある程度歌えていてオーディション前に最後の仕上げとしてみてもらう、またはコンクール審査員に一声かけてもらうためにはいいでしょうが、きちんと勉強が必要な生徒にははっきり言って不向きです。
次に知名度はないがそこそこのキャリアをしてきた人。これはわりと曲者です。問題はなぜ今歌っていないか、です。いろいろな劇場に出演したというからすごいと思っていれば実は合唱団だったとか、端役だったとか。なぜかこういう先生が日本の音大に出入りしているからびっくりです。
実際オペラの世界は難しい。キャリアに入るのも難しいが、キャリアを続けるのはもっと難しい。
しかしこういう先生のレッスンをきくと先生自身の声が明らかにまずいことに気がつく。
胸声と中音、高音ではっきり3種類の違った声を披露してくれてびっくりしました。
知名度を信じてはいけません。ガズディアはなぜ今こんなになってしまったのでしょう?
まだ若い彼女がもうすでにリタイアをやむなくなっているのは彼女のテクニックに問題があるからです。もしくはレパートリーの選択ミスです。現在イタリアでは日本の披露宴合唱団と同じくらいの値段で歌っています。
そして個人的に一番追放したいのは声楽オタク教師です。(日本にも沢山居ますがイタリアにも居ます。基本的にはドイツ、スイスなどの国の先生が多い)
自分は一度も舞台経験がなく、耳だけは超えている(と本人は自負している)オタクで、さまざまな不思議な発声や道具を用いてマジシャン風レッスンをするのです。
こうやってごらん、といわれ実際やってみると一瞬はうまくいく。でも長続きしない。
やたらに響きにうるさい。もっと響きをたかく、とか・・・
先輩の紹介などで知り合う先生。レッスンにいってみたら日本人だらけだったとか。
やけに日本人慣れしている先生もお勧めしません。日本人は値下げを要求しないのを知っているからはじめから高額なレッスン代を要求します。(100,150ユーロなど。もちろん伴奏なし)
考えてみてください。確かにユーロ導入後の物価が上がったため、レッスン代も全般的にあがりました。でも100ユーロは200ミラリレです。
しかもこの手の先生は社交界とのつながりもなく、本当にレッスンだけで食いつないでいる場合が多いのでレッスンの数を減らそうとすると機嫌が悪くなります。
要するに生徒のことなどどうでもよく自分の一定した収入のほうが大切なわけです。
だから間違ってもほかの先生なんて紹介しないし、できればできるだけ長く自分のところにきてくれるほうがよいわけです。だらだらレッスンの典型です。こういう先生と2年以上も勉強している人ははやく見切りをつけるべきでしょう。コンサートを企画したり、自分の生徒をオーデションなんかに斡旋してくれるなんていうのは夢のまた夢。
そこでわりかし穴場なのが、現在活躍中の歌手に劇場オフシーズンを狙ってお願いする。劇場シ−ズン中でもひとつのオペラから次のオペラまで休みがある。短いと5日間、長いと1ヶ月くらい。
歌のレッスンは言葉で説明されるより実際に歌って見せてくれたりすると体が反応して理解しやすい。
現在活躍中の歌手は舞台上の発声テクニック、支えなどを自分の声を聞かせながら教えてくれる。
私の知り合いの歌手でイタリア中の劇場はもちろんのこと、メトロポリタン、シュターツオーパーなどでも歌っているのが居ますが、夏、シーズンオフは自宅でレッスン、マスターなどに時間を割いています。
彼らは活躍中なのでギャラがある。イタリアの一番安い劇場のギャラでも最低60万。もちろんここから税金とか引かれるわけだけど、最低3回以上は公演があるわけだから金には困っていない。
教えるのが好きだから、次の世代への引渡しの使命みたいな感じでレッスンしている。
彼らのレッスン代の相場は60、70ユーロ。(伴奏なし)探せば居るもんです。
そして劇場コレペティ。下手な声楽の先生につくより相対的なレッスンをしてくれてよい場合がある。
発声やアリアの練習ばかりでオペラ全体の練習をしないといつまでも見えてこないことがある。
コレペテイについて目からうろこ、なんてことも。
つまりは、レッスン代は、先生探しのひとつの目安になるってもんです。
先生や歌手が口をそろえて言うことは「可能性が本当にあると思う生徒には自分自身もリスクを負う覚悟をもてる」
まあ今の時代、可能性があるから「タダ」なんていう人は居ないでしょうが、少し前まではそうでした。デビューしたら返してくれ、とか。ようは「後払い」ですね。本当に生徒の将来に可能性を見るからレッスンする。そういう真摯な考えを持っている音楽家も少なくありませんでした。
そこまでいかなくても、もし自分がレッスンをお願いしてあまり高額なレッスン代を要求されるようなら、この先生は自分に見込んでくれていないと思ってよいでしょう。
先生と生徒は信頼関係が大切です。自分に見込んでくれている先生でなければよいレッスンができるわけがありません。
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