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■しばらくすると、羽根はほぼ完全に透明になり、胴体に沿うように角度がついてくる。胴体の形は、脱皮した直後はほっそりしているが、だんだん膨らんで、ズングリムックリになるようだ。ここまでくれば、ミンミンゼミであることは疑いの余地がない。この状態から、色が徐々に徐々に濃くなっていくが、完全に色が変わるまでは何時間もかかるので、寝ることにする。 明朝6時台に目覚めると、完璧な色のミンミンゼミになっていた。この時点でも、セミはまだ動きたくないらしく、ちょっとぐらい近づいても逃げない。人間と似ていて、7時か8時以降にならないと、あまり飛び回らないのかもしれない。
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セミの羽化
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■このセミは、逆立ちをやめた時点で、すでに羽根がかなり伸びており、アブラゼミのような「妖精」にはならない。尻の先を殻から出す頃には、羽根の先端が尻の先あたりまで伸びている。これは、娘が残念がるところだ。羽根は白っぽいながらも、なんとなく向こうが透けて見える予感(期待も含めて)がする。 時間が経つにつれ、羽根はぐんぐんと伸び、だんだん透明感が出てきて、すりガラスのように見える。胴体は反り返ったような形で、とても美しい。スタイルの良い女性の腰のラインに似ている気もする。羽根も水平に保たれ、格好が良い。ビジュアル的には、この状態が最も美しいと言える。このまま生きていた方が見栄えがするが、飛行と外的からの防御という点では不都合なのだろう。
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■アブラゼミを羽化させた2日後、またもや帰宅途中に同じ場所でセミの幼虫を発見し、持ち帰った。アブラゼミの幼虫は細長くて彫りが深く、とても格好良かったが、今回の幼虫は丸っこく、平面的な印象で、少し小さい。種類が違うようなので、ひょっとすると、ミンミンゼミの可能性もある。今回も、たまたま仕事用カメラを持参しており、さっそく撮影態勢に。アブラゼミは夜9時頃から羽化し始めたが、この幼虫は捕まえた時間が遅かったこともあり、夜11時半頃から羽化を始めた。 背中が割れて脱皮を始めると、肩の背面に黒っぽい模様が見え、アブラゼミと異なることが一目でわかる。体が半分ぐらい出ると、羽根も外に現れるが、縁が水色っぽくなっていて、とてもきれい。「主翼」がL字型に折れ曲がっているのも特徴的だ。この時点で一旦、羽根をプルプルっと動かすのだが、その動作がとてもかわいい。これは、アブラゼミはやらなかったような…。 体全体がほぼ出ると、アブラゼミと同じように「逆立ち」をするが、10分程度と、比較的短かった。この状態では、体の前面の構造がよく見える。くちばしの中身が透けて見え、鳴くのに必要な胸板のたくましさもわかる。
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■白い羽根がスラリと伸びると、非常に美しく、まるで白衣を着た看護婦さんみたいだ。ただし、このセミは雄だけど…(笑)。妖精みたいな姿もかわいいが、大人から見ると、こっちの方がいいかな。 実は、この幼虫を捕まえたとき、胴体が細長かったので、ミンミンゼミに違いないと勝手に思い込んでいた。私は小学生時に、羽化したばかりのアブラゼミを見たことがあるが、それは胴体も羽根ももっと白い感じだった。だから、こいつが羽化してしばらくは、娘も私も「ミンミンゼミのはず」「ミンミンゼミであってくれ」と思って(祈って)いた。 しかし、時間が経っても羽根は透き通らず、緑っぽくなり、色が徐々に濃くなっていった。そのうち、茶色も現れ始めた。アブラゼミだとわかってくると、なぜか残念な気分になり、感動が薄れるのを感じた。まるで人種差別のようだが、セミに対しても、種類によって好き嫌いが出てしまうのが正直なところ。
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■羽化の途中、逆立ちした状態で20分くらい、ほとんど動かなくなったので、このままダメになってしまうかもしれないと、かなり心配した。無事を祈りつつ、「腹筋を使え!」(笑)と励まし、声援を送った。 我々の心配をよそに、機が熟すると、セミは何事もなかったかのように力強く起き上がり、さっきまで自分が着ていた殻につかまった。全身が白っぽくて羽根が短い状態は、まるで妖精のようにかわいい。娘曰く、「このままのセミがいたらいいのに…」。(つづく)
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