|
(けんれいもんいんのうきょうのだいふ)
夕日うつるこずえの色の
しぐるるに心もやがて
かきくらすかな
平家の没落はまた、平家の女たちの
没落の物語でもあった。
右京大夫は、平重盛の娘である
建礼門院徳子に仕えていた。
治承元年のころ、二十歳過ぎの大夫は藤原隆信という当時のプレイボーイ
に身を任せた。
当時のごく普通の恋愛であったが大夫は十七歳の平資盛からも
言い寄られた。
資盛は篳篥の名手でもあり、大夫の心は躍った。
篳篥(ひちりき)の連弾をした日の夕べ大夫は狭い網代車の中で弟のような
平家の公達と一緒だった。
資盛のことを思い始めた大夫の目にはこずえの色がしぐれによって
褪せ、暗く成りゆく時分の景色が悲しく映っただろう。
資盛はやがて壇ノ浦で大夫のおもかげを抱きながら海に散った。
後になって、歌を蒐集していた藤原定家から大夫は昔の歌を送るよう
要請され、老尼になっていた大夫は定家の熱意に触れ、歌をまとめて送り
この恋愛のエピソードが織り込まれた『建礼門院右京大夫集』が
日の目を見ることになる。
< 解説執筆 > 井坂 洋子
美貌の詩人のほまれ高い
<出典> 日本の恋歌 吉行和子 編より
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2013年10月07日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]



