道草agenda

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旅をする女たち

旅に出てましてん。黄泉の国へ。
というのはウソで、どこにも行っちゃぁいないんですが
(せいぜい、GWに小田原に行ったぐらい。。。)

フト現世に戻って、ちょーーー久々にログインしてみたところ、
有難いことに私の存在を憶えていて下さった心あるブロガーさんが
ちょうど「おーーーーい」と呼びかけて下さっていました。
なんというタイミング!!!・・・いや、その呼び声で目を覚ましたのかも、私。
ありがとうございます。すんでのところで、逝きっぱなしになるところでした。

この数ヶ月、なにやらバタバタ(ジタバタ?)してみたり
トロトロと眠ってみたり・・・ハタと気づくと6月になってました。ありゃま。
もう梅雨ですよ。
でもねえ・・・雨が続くと、これまた眠くなるのよねぇ・・・

んでもって、そうですねえ、5月ぐらいまでは読書とは無縁でして
ようやくこの1ヶ月ほどで、またポチポチと読むようになりました。
読んだ本をメモったりしていないので、印象に残ったものなど。

まず、悪い印象

・デニス・ジョンソン「ジーザス・サン」
敬愛する柴田元幸先生の翻訳ってことで読みましたが・・・
まず思ったのは
「なんでまた、いま、コレを?柴田先生が?」
なんつーか、「古い」。「今更な感」満載。
社会の底辺でくすぶってる連中、ドラッグでヘロヘロになって今いる場所すらも踏み外す連中。
ん〜〜〜、映画でいうと、15年前のジョニー・デップやブラッド・ピットがやりたがっただろう、
という感じ。数年前でいえばヴィンセント・ギャロ的な・・・?
実際、これが書かれたのは1993年でして、その当時はさぞやセンセーショナルでかっこよかったでしょう。
「どうしようもなく堕ちて行く俺たち」ってやつね。
でも、今は(少なくとも今の私は)、なんだかな〜〜〜、としか思えない。

まあ、ある意味でですね、若者と貧困というのがこれほどキモになっている時代はないわけで、
もしかしたら、そういう層はこれを読んで心揺さぶられるのかもしれないけれど。
私に関していえば、コレ系は10年前にお腹一杯になってますので、もう結構です。
という感想。

何故、柴田先生がこの仕事をしたのか、非常に謎・・・。
(いや、わからないのは私がバカだからってだけですけど)

それと、私は図書館で借りたからいいものの、コストパフォーマンスは非常に悪い。
そもそも白水社は価格設定が高い出版社だけれど、それにしてもさ〜。
この薄さ、このフォントの大きさ&余白の多さ(ってことは、もっと薄くできるはずだ)、
それで1890円はひどすぎる。白水社は考えを改めるべき。


あとは、良くない印象のもの、「別にぃ〜」という印象のものがありますが、割愛。

で、ここからは良かったもので、記事のタイトルとも関連してきますが

・森まゆみ「女三人のシベリア鉄道」
大正から昭和にかけて、夫や恋人の後を追って、あるいは同性の恋人とともに、
シベリア鉄道でヨーロッパへ旅した三人の女流作家・与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子。
それぞれの足跡をたどりながら作者自身がシベリア鉄道で旅した記録。
いやあ、こんな昔に女だてらに(という言葉自体がアホなんだけど)鉄道でヨーロッパへ行く
というのは、つくづくすごいことだ。
与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子、それぞれに旅した時代も違うし、旅の中で何を見ているかも違う。
道中などはどうでもよく、むしろその途上においては不安しか感じておらず、
ただひたすらに愛する男に会いに行くこと、日本に残してきた子ども達のことだけを考えている晶子。
ロシアという地に新しい理想の世界を見出し、身分差や性差などない新天地をめざす
(そのくせ、お嬢さん根性が染み付いたまま抜けないし、それを自覚していない)百合子。
小田実じゃないけど「何でも見てやろう」的、好奇心と面白がり精神で旅する芙美子。
割かれているページは一番少ないけれど、林芙美子の目線が私は一番好きでした。
現代で旅をしている森まゆみ自身の視点については、時折、「市民運動のクサミ」みたいなのも
感じちゃうんだけれど(そこらへん、問題意識のない世代の私の落ち度なのでしょうが)
同行する現代ッ子のロシア女性のドライな感じが面白い。
たしかになあ、私は(私たちは)あまりにロシアのことを知らなさすぎる。

ともあれ、とても読み応えがあり面白い本でした。
宮本百合子や林芙美子の小説を読みたくなった
(不勉強で、前者は「伸子」後者は「浮雲」しか読んでいない。「放浪記」は映画のみ)。

そして、この中でちらりと触れられている野上弥生子。
10年ほど前、「こんなにすごいばーさまがいたのか」と心酔して何冊か読んでいたのだけれど
(「森」とか「迷路」とか)、「女三人の・・・」を読んでからムラムラと読みたくなったのが

・「欧米の旅」
夫に同行して渡欧した時の記録。ちょうど、戦争の色濃くなっていた頃で、
日本が統治下におく直前のアジアを通過していたり、その後ヨーロッパに渡り
戦局がおもわしくなくなり帰国しているのだけれど、非常〜に精緻で濃密な記録。
まったく無駄がないのに、びっしりと中身の詰まった、でいて平易な品のある文体。
本当の知性、教養っていうのはこれだ、この小さなメガネをかけたばーさま
(いや、旅の時はばーさまじゃないんだけど、見たことのある彼女の写真は晩年のものなんで・・・)
は本当に只者ではない。参るよなあ・・・と、中年に片足つっこんでるのに空っぽな私はうなだれるばかり。
とはいっても、決して権威的ではなく、やわらかい(芯は硬質であっても)のだ。すごい。

基本的に、旅の本というのがとても好きで、今までの乏しい読書歴の中でのベストは
金子光晴「どくろ杯」からはじまる三部作、武田百合子「犬が星みた」(あ、これもロシアだ)、
大竹伸郎「カスバの男」・・・といったところなんだけれど、「欧米の旅」も断然、仲間入り。
これらの本は、折に触れ、読み返すものです。
それも、気まぐれに開いたページから読んでみる・・・みたいな読み方で。
そこは旅の途中なのに、とたんに、その場所に行けてしまう。
そういうのが、素晴らしい紀行文なのだろうと思ったりして。

とまあ、旅に関する本を重点的に読んでいた感じです。
その他、面白かったのは、毎号楽しみにしている「Monkey Business」最新号。
村上春樹のインタビュー(聞き手は古川日出男)、「1Q84」には食指が動かないのですが
村上春樹の「書くこと」への取り組みとかっていうのは、いつも読んでいて興味深い。
「翻訳夜話」や「走ることについて語るときに僕の語ること」などはとても面白かった。
あと、川上弘美と小川洋子の対談も面白かった!
小川洋子は、「Monkey Business」創刊号で柴田先生と野球について対談していたのも
すごく面白く・・・野球のルールがさっぱりわからない私でも野球を観たくなったものなあ。
ともかく、この最新号も非常に内容の濃い特集でした。

あ、それから料理研究家のエッセイで
・高山なおみ「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」
「日々ごはん」は全部ではないけれどぽつぽつ読んでいて、
この人の感性はすごいなあ、と思っていて・・・
「帰ってから・・・」は、それよりもずっと前、いわば「前夜」の頃の処女エッセイ集。

「未来が決まっているような気のする心地よさを、私は寝起きの頭の中で味わっていた。
 その感触は、掛けぶとんのようにこれからも私を温めてくれるだろう。
 若い頃の私はちがっていた。
 自分に満足してしまうことは、自分に負けることだと思っていた。
 そしてその時の気分で今を塗り重ね、傷つけては、けっきょく見定めのつかない自分の
 将来がいつも霧の中にうもれているのを、さもしいような気持ちでにらみつけていた。」

高山なおみがこれを書いたのは、40歳になる前ぐらいの頃だろうか?
私とそう変わらない年齢。
今の私に、こんな感受性も、それを言葉にする力もないし、これからだって、ないだろう。
と思うと、才能のある人は素晴らしいなあ、と思う一方で、自分の凡庸さに凹む。
「何かが欠けている」のではなくて、「何もない」んだなあ・・・と。
でも、まあいい、私はクリエイターではないし、平凡な一人の主婦として人生を歩んでいく上では、
むしろ、フラットでいられることのほうが重要なんじゃないか、なんて思ったりするから。

これから読もうと思う本は、レベッカ・ブラウン「犬たち」
レベッカ・ブラウン、かなり久しぶり。
それからアラン・ベネット「やんごとなき読者」
でも図書館で予約順位5番目。借りられるのは1ヵ月後ぐらいか。
その時に無事に起きているといいのですが〜〜〜。

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お帰りなさい

2009/6/12(金) 午後 8:17 [ すいす ]

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