道草agenda

本とか映画とか昼寝とか。

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2009年に入って9日目。
箱根駅伝のことを思うと早く来年の正月にならないかな〜と思っていますが(気が早っっ)
まあ、そうも言ってられないし、残り11ヶ月と20日をいかにやり過ごすか・・・
って、このトシになれば、本当にあっという間に来年になっていることでしょう。

さて、今年に入ってようやく本を1冊読了。
ポール・オースター「幻影の書」。

学生の時に初めてオースターを読んで以来、15年あまり・・・
内心「これって惰性では」と思いつつ出る本出る本、読んできたわけですが。
この本に対する第一印象は、実のところ
「これで2415円は高すぎるんでは・・・???」
厚さから言ってもせいぜい1600円までだよな〜〜〜って感じ。
ま、私の場合は図書館で借りてきたので、これ以上は言うまい。

以下、ネタバレというほどでもないが、雰囲気は伝わると思うので
まっさらな状態で読みたい方はご注意下さい。

オースター節、健在です。
「ある日突然姿を消した男、その足跡を追う者、その中で見えてくる真実」

どうしようもなく感じる既視感・・・
とりわけ「リヴァイアサン」とかなり似ている感じがしました。
ここ数年の本では「Mr.ヴァーティゴ」「ティンブクトゥ」ときていたのに
また元に戻ったのか???という感じ。

とはいえ、ぐいぐい読ませるし、胸が苦しくなる。
なんだかんだ言いながらも「読んでよかった」と思いますので、悪しからず。

オースターと映画の結びつきはとても強いですが
(「スモーク」「ルル・オンザ・ブリッジ」でわかるように)
この物語はまさに、映画が重要な役割を果たしています。
ここで語られる映画はみなオースターの創作による架空の映画だけれど、
読みながら頭の中で実際に映像をみているようでした。
この中の一つが、実写化されたらしい。うわぁぁぁぁぁーーー、観たい!

しかし、なんといっても私が一番に反応したのは、主人公。
彼の名は、デイヴィッド・ジンマー。
ジンマー???

そう、「ムーン・パレス」をお読みの方ならすぐわかるでしょう。
主人公マーコ・フォッグの一番の友人の名前と一緒なのだ。

冒頭でその名を見て、
「えっ?これって、あのジンマー?それともオースターの遊び心で名前だけ同じな別人?」と戸惑いましたが
彼の息子の名前が「マーコ」と知り、さらにびっくり。

読んでいくと、ジンマーの経歴、家族構成などが「ムーン・パレス」のそれとかなり合致。
「ムーン・パレス」の中で、最後にマーコがジンマーと会った時のことに軽く触れているが、
それが、この「幻影の書」で語られる出来事が起きる2、3年前。
つじつまは合う。
「幻影の書」にマーコ・フォッグは全く出てこないし、あとがきでもこの合致について
一切、触れられていないので、何とも言えないけれど
(最後まで読んでみて、まあ、触れないのもわかるというか・・・
 「ムーン・パレス」を読んでいない人に「同一人物」という刷り込みがあったら、
その後の「ムーン・パレス」のジンマー像に影響が出るだろうと思う)、
私は勝手に同一人物だと判断しました。

で、そのように判断して読み・・・
ふと「マーコ・フォッグはこの時、何をしていたんだろう?」なんて思いました。
幸せではないんだろうな、という強い予感はあるが・・・

「ムーン・パレス」では、様々な出来事が起こるマーコに対し、
ジンマーは色々と手助けをしながらも、彼自身は実にフラットで、踏み外さない。
そのジンマー像と、今回のジンマー像には差があって、「やはり別人なのか?」とも思うが、
「幻影の書」において彼の身に起こったことを思えば、このように変わることもあるかも・・・と思ったり。
その差異が、なおのこと、やるせない気持ちにさせる。「あのジンマーが、ねぇ・・・」みたいな。

などと書いていると、あまり良い印象を与えていないようですが、
この小説自体は非常に読ませるし、読後、なんともいえない余韻が残る。

「ムーン・パレス」がとても好きで何回も読み返しているけれど、今後は
ジンマーが出てくるたびに、この小説のことを思い出すだろうし、
これまで抱いていたジンマーへの印象が、多少なりとも変化することは避けられない。
それに対する、恨めしい気持ちも少し、ある。
けれど、それだけの影響力が「幻影の書」にはあった、ということにもなろう。


というわけで、新年一発目は「幻影の書」でした。
現在、次の本に取り掛かっていますが・・・
これは読むのにかなり時間がかかりそうなので、記事にするとしても先のことになると思います。
いやぁ〜〜〜、、、これ、かなりやばい予感。
ぐいぐい引き込まれる一方、軽々と足運びが出来ない。
途中で、他の軽いものを読みたくなる。

なので、普段、併読というのはしないのですが、今回は図書館で借りていた
林真理子「もっと塩味を!―Plus de sel,s’il vous plait! 」を一気読み。
これ、フランス料理店のマダムと、その夫のシェフ(&その前の恋人)の話なんですが、
「パリで店を出し、ミシュランの星がついた」というのと
店の名前が「シリウス」・・・・・・これって「ステラマリス」のことか???

「ステラマリス」が星をとるのと前後して、日本に出店したのが「タテルヨシノ」。
私は一昨年ぐらいに芝の店に行きましたが、ぜんっっぜん良くなかった。
立地が古いホテルのフロント横なのも落ち着かないし、サービスもひどく、
コースを注文したら、同時にデザートを選ばされた。
ちょっと、ファミレスじゃないんだからさ〜。
料理の流れがあって、最後の料理を食べた時点で、何を食べたいか、ってことじゃん!!
これは先が思いやられるな〜と思っていたら、案の定、
「不味くもないが、感動するものも一つとしてない」って感じ。
エスコートしてくれた男性には悪いけど、「なんじゃこの店は」と思いながら帰った記憶がある。
私はグルメのグの字もない人間なので、その私がこれだけ怒るのは、よほどのことと言えましょう。
その後、ミシュラン日本版の第一号で「タテルヨシノ」に星がついていて、のけぞった。

ミシュランて。。。と思った瞬間。


それはさておき。読んだ感想としては、なんか食い足りないな〜〜〜という感じ。
林真理子、大好きなんですが。

閉じる コメント(16)

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おはようございます。
おっ、ついに読まれましたか〜
幻影の書は近々読む予定なので、今回のsalvajeさんの記事、
後日楽しみに拝読させていただきます!

2009/1/10(土) 午前 7:45 [ 海外の長篇小説 ]

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ポール・オースターは「幽霊」(だったっけ?)と後一冊なにか読んだ覚えがありますが、暫くご無沙汰してます。
未読の物が本棚にあったような気もする・・・探してみますね。

2009/1/10(土) 午後 4:58 [ すいす ]

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>モーラさん
やはり、パブロフ状態で読んでしまいます、オースター。

でも、モーラさん「ムーン・パレス」も読まれる予定でしたよね?
そしたら、この記事では、ちょっとそのことにも触れていて、
「幻影の書」とも関わりがあったりしちゃう・・・というか
私が勝手に因果関係を持たせてしまっているので、「ムーン・パレス」以前に記事を読まれると
いらない情報を入れてしまうことになるかもしれません。。。

2009/1/11(日) 午前 2:42 [ salvaje ]

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>まさゆきさん
私が最初に読んだオースター作品が確か「幽霊たち」でした。
オースターは好みが分かれるかもしれませんね。
私は最近↑モーラさんのところで暑苦しくコメントしたりしてたので
この新刊は結構タイムリーな感じでした。

2009/1/11(日) 午前 2:44 [ salvaje ]

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なるほど、そうですか。
ムーンパレスは来年読む予定でしたが
(本当はいつ読んでもよかったのですが)
早めにチャッチャッと読んじゃいます。
ありがとう。
助かりました!

2009/1/11(日) 午前 8:48 [ 海外の長篇小説 ]

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>モーラさん
いやいや、あの、私の無責任なコメントでモーラさんの予定を変更させるようなことは、、、
勝手に自分の中で関連づけちゃってることだったりするので。。。
なんだか、申し訳ないです。。。

でも、まあ、「ムーン・パレス」は個人的にはとても好きな小説です。
この中に出てくる、キティ・ウーという女の子が魅力的です。

2009/1/11(日) 午後 0:07 [ salvaje ]

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あ、あと別件。
先日、ジュンク堂にいったら「在庫限り文庫」(増刷予定なし)のコーナーに
「シティ・オヴ・グラス」がありました。
もしかしたら角川の版権が切れるのかもしれませんね。
そうしたら、柴田版「ガラスの街」が書籍化されるのかも???
角川版の翻訳も良かったと思いますが、まあ、たしかに
オースター=柴田先生というのが確立されちゃってるので統一感は出ますよね。

2009/1/11(日) 午後 0:14 [ salvaje ]

salvajeさん、こんばんは。
salvajeさん始め、何人かの方に「オースターデビューします!」と高らかに宣言しながら、図書館のリクエスト本が来たりでまだ殆ど読み進んでいません。キティはいつ登場するのだろうか?
最近本は借りることが多くなりましたが、こちらの記事を読みビビビっと(高慢〜もそうなんですけど)きて購入したものなので早く読みたいものです。
文庫の黒い表紙も気に入ってます。

2009/1/12(月) 午前 0:16 [ reona678 ]

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鋭い嗅覚!
もしそうなったらうれしいです。
今のところ柴田翻訳の良さを理解できていませんが
そのうちわかってくるんでしょうねぇ。

2009/1/12(月) 午前 6:52 [ 海外の長篇小説 ]

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>レオナさん
マーコがお腹を空かせてくると、そろそろキティ登場かと。

私も、昨年、近所の図書館が改装して素晴らしくなったので、
図書館をヘヴィユースしてます。
だから、たまに本を買っても、「やばい、返却期限が・・・」と読む順を変えているうちに、買った本への情熱が、、、みたいなことに。アホだー。
私は堪え性がないので、予約が多い本は断念しちゃいます。
ほとぼりが冷めた頃に、まだ読みたかったら借りる感じです。

2009/1/13(火) 午前 9:44 [ salvaje ]

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>モーラさん

柴田翻訳の良さ・・・、私は訳文とか文体に疎いので何ともいえないのですが、
何となく感じているのは「誠実さ」。
原作のテイストを損なわず(多分。原文を読んだことはないので)、といってムキになって直訳をして読みづらい文にすることも避け、
けれど翻訳者自身の気配はきちんと消している・・・という印象です。
柔軟だけれど、真摯な感じがします。

それと、私の場合は「柴田元幸という人が選ぶ本」というものへの
信頼が大きいかな。
海外文学なんて、すでに知っている作家でもない限りそれがどういうものか
面白いかどうかなんて読んでみないとわからないじゃないですか?
2000円ぐらいする本を買って面白くなかった日には、、、
でも、それが柴田先生の選んだ本なら、という安心感はありますし
実際、そうでもなかったらこの本を読む機会がなかったのかと思うと柴田先生に感謝感謝!という体験が数多くあるので。
スチュアート・ダイベック、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、リチャード・パワーズ、etc.・・・

って暑苦しく語ってしまった…

2009/1/13(火) 午前 10:01 [ salvaje ]

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なるほど〜
確かに柴田翻訳作品を読んでいると
読者ができるだけ読みやすいようにと切磋琢磨しているな
なんてなんとなく感じていました。
それが誠実さなんでしょうね、きっと。

今ミルハウザー本を少しずつ読んでいますが
読みやすいしとてもおもしろいですね!

2009/1/13(火) 午後 4:06 [ 海外の長篇小説 ]

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>モーラさん
あとがきを読んでいても、誠実な感じが伝わってくる気がします。

おっ、ミルハウザー!
あの機械仕掛けの遊園地の世界には引き込まれますね。
最新刊の「ナイフ投げ師」は、まだ読んでいませんが・・・かなり評判良いみたいですね。

私が特に好きなのは
「イン・ザ・ペニー・アーケード」(その中の「アウグスト・エッシェンブルグ」!)、
「三つの小さな王国」などでしょうか。
「マーティン・ドレスラーの夢」はそれらに比べて、リアルな感じで、これもまた読み応えがありました。

2009/1/13(火) 午後 4:38 [ salvaje ]

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「ナイフ投げ師」、チェックしてみたら「夜の姉妹団」が入ってた!!!
これはだいぶ前に、柴田先生が色んな作家の短編を集めたアンソロジーに入ってて(そのタイトルも「夜の姉妹団」)、
めちゃめちゃ好きな短編なんですよ。ちょっとぞわっとする感じ。

うわー、こりゃー早く読まないと・・・しかし図書館の返却期限が迫った本が・・・

2009/1/13(火) 午後 4:58 [ salvaje ]

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こんばんは。
たびたびお邪魔してすいません。

一応ですね、短篇集はナイフ投げ師とペニーアーケードの2冊、
長篇はマーティンドレスラーの夢を読む予定にしていました。
いろいろ読む本があるもので今年の初夏くらいまでに
この3冊読めたらいいなと。
ちなみにナイフ投げ師は三太夫さんに教えてもらったんです。

それから今はですね、中国の古典小説を数冊だらりと読んでいます。
どいつもこいつも大長編、少し腹が立っています(笑)

2009/1/13(火) 午後 8:47 [ 海外の長篇小説 ]

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>モーラさん
どれだけ真面目なんだ(笑)!!!
私なんて鼻ほじりながら(いや、ほじってないけど)「格付けしあう女たち」みてましたよ。

系統だてて読むとか、次はこれを読むとかって決めて、
それをきちんと実行する・・・その能力が決定的に欠落している私です。尊敬・・・

中国の古典小説・・・すごいですね。ハマると面白そう。
モーラさん世界全土を制覇しそうな勢いですね!!!

2009/1/14(水) 午前 9:40 [ salvaje ]


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