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2月頃だったかな。
息子の奥さん、カーネルさんの手相に三角の印が出ているのを見つけた。
この印が手相に出ると「3ヶ月以内に嬉しいことが起きる」という。そのことをカーネルさんに言ったら
彼女は「本当ですか?」と、半ば信じられないような、それでも「一体どんな嬉しいことが起きるのか
な?」という顔をしていた。
3月の下旬、私は先にブログにもアップしたが、突然心臓病の一種「徐脈頻脈症候群」という病気に罹
り、伊勢崎市の市民病院に何度も足を運ばねばならないことになった。
そのときの送り迎えをすべてやってくれたのが、カーネルさんだった。
その行き帰りの車の中から何気なく外を見ていたら、病院から帰途の途中に上の写真のような看板が眼に
入ったのだ。
看板には「やきそば・フライ・コーヒー」と書かれているだけだった。
「やきそば・フライ・コーヒー」って、一体どういうお店なんだろう?
私は通り過ぎるたびに不思議に思った。それで、三回目にそこを通るとき、思い切って「今回はこのお店
で昼食をとろう」と言うことになり、カーネルさんに言って車を停めてもらった。
すると、そこでは、食事のメニューは3種類しかなかった。やきそばとフライと煮ぼうとうの三つのメニ
ューだけしかない。飲み物はコーヒーだけだ。(但しフライというのは、普通のフライと違って、一見し
たところお好み焼きに似たようなたべものなのだ)
私達は二人ともやきそばを注文した。その出来上がるのを待つ間にふと気が付くと、そのお店の片隅に一
台の古いピアノが置かれてあった。すると、いきなりカーネルさんが「あのう、お客さんが来ない間、こ
のピアノを弾かせていただいていいでしょうか」と言った。私達は11時をちょっと過ぎた頃にお店に入
ったので、お客さんは私達以外に一人もいなかった。
お店のご主人は嬉しそうに「ああ、ああ、是非弾いてやってください」と言ってくれた。
カーネルさんは、ピアノの前に坐るとやおらモーツアルトの「キラキラ星変奏曲」を弾き始めたのだっ
た。
お店の人もびっくりしたが、私もカーネルさんが子供のときピアノを習っていたという話を聞いてはいた
が、彼女の生演奏を聴くのは初めてだったので驚いた。
カーネルさんがピアノを弾き終わったとき、お店の主人が言った。
「実にうまいねぇ・・・長いことやっているの」
「いえ、子供のときにやっていただけです。久しぶりに弾いたので、ところどころ間違えました」
「子供のときにやっていたと言うけれど、今はやっていないの?」
「ええ、今、家にはピアノはないんです」
「ふーーーん」と、ご主人はしばらく黙っていたが、
「あのね、家に一台古い電子ピアノがあるんですよ」
「電子ピアノですか」
「そう、古いけど、ローランドの電子ピアノなんだ」
「ローランドの電子ピアノ!凄いじゃないですか」
「ん、凄いんだけどね、今ではもう、我が家には弾く人が誰も居なくなってしまって、どこかに引き取っ
てもらおうかと思ってたんだけど、あんた、よかったら持って行ってくれてもいいよ」
「ええっ! 本当ですか!」
「じゃ、ちょっと、実物見ておくかい」
ご主人はカーネルさんを連れてお店の外に出て行った。
しばらくして、戻ってきたカーネルさんは興奮していた。
「ローランドの電子ピアノ、頂くことにしちゃった!」ですって。
後日、カーネルさんは、息子のドンと力持ちの息子の友人の手を借りて、このお店に出かけ、そのローラ
ンドの電子ピアノを頂いてきた。
カーネルさん曰く、「手相の△形、当たりましたね」
それも、偶然私が心臓状態を悪くして、家から一時間以上もかかる遠い伊勢崎の病院に行かなかったら、
このお店を見つけることもなかっただろう、と思うと、偶然なんだけど「良いこと、嬉しいこと」って、
そういうふうにして、廻りまわって人のところに舞い込んでくるのだな、と納得した。
カーネルさんの手相には、まだ△印が消えていない。この分だと8月辺りまでにまたまた嬉しいことが起
きることになるわけだ。今度はどんな”嬉しいこと”が起きるのだろう。
私まで楽しみにしている。
★三枚目の写真が、頂いた「ローランドの電子ピアノ」です。
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