患者さんは万両役者
とても千両では足りないよ、万両役者だよ!八十八になるおばあさんが、待合室に来て椅子にもたれかかったなり、ハーハー言って今にも死にそうな様子。
これは大変だと、他に待っている患者さんを後回しにして運び込んで診察。点滴しながら様子を見ていたところ、終わった頃には何かしら元気が出たのか、連れに来た家族にど叱られ歩いて帰っていかれた。
後から家族の人に聞くと、家では三度のご飯もしっかり食べて、しかもしっかり歩いているらしい。
僕はまた騙された、しまったと思った。でもそれは、後の祭りあった。仮面を付けた偽の患者さんだったのだ。身体の病気ではなく、こころの病の演技だったのだ。それでも、それも病気には違いないのだけれど…
そうだ、これは以前教科書で見た仮面うつ病というものではないのだろうか。たとえ内科医であっても、こころの病の知識と対応は心得ておかねばならない。
こんな荒んだ世の中では、これからもっと増えるであろうから。内科だけではなく、こころのケアも一緒にしてゆかなければ、患者さんの全容を診たことにはならないのだろう。
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