ホテル、レストランコンサルタント 堀籠克明の日記

ホテル・レストラン等を始めサービス産業のコンサルタントとして現在サービスの向上、企業再生、地域活性化を行っています。

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カラルーニャのカヴァ


カヴァなる飲み物
近年、スペイン・バルがそこここに見られカヴァも随分有名になり、ユーロ高の影響で価格も随分上がって来た。我家のお気に入りのスペインの赤ワイン「ドン・ラモン」も以前より、600円も値上がりし最近は手が出しにくくなってしまった。
さて、スペインのシャンパンを表す「カヴァ」と云う単語を知ったのは30年前のスペインでの生活を終え随分たってからの事である。この地域では、みな「チャンパーニャ」と呼び「カヴァ」なる単語は聞いたことがなかった。「カヴァ」と言う名のお酒はもう一つある。南太平洋の島々には、唐辛子の根から作る白く濁ったお酒がありそれを現地の人々は「カバ」と呼んでいる。
さてスペインの「カヴァ」(CAVA)その意味はカタラン語で洞窟、その主な生産地はバルセロナを中心としたカタルーニャ地方で国内生産量の80%が生産されている、残りはワインでも有名なリオハ地方である。
スパークリング・ワインの製法は3つ、正確にはローカル方式と云うチョッと荒っぽいものを入れると4つある、

一つ目はシャンパーニュ製法(現在は古典的製法と呼ぶ様になった)で、フランス、シャンパーニュ地方で生産されるシャンパンはこの製法である。スティル・ワインに蔗糖と酵母を加え、瓶内で二次発酵させ、溜まったオリを瓶の口に集めそれを瞬間的に凍らせ口抜きと云う作業で取り除き、最後にリキュールを加える場合がある。

二つ目はキューブ・クローズ製法、スティル・ワインを密閉タンクに入れそこで二次発酵させてから瓶詰めする。
三つ目は炭酸ガス注入製法、瓶詰めしたスティル・ワインに炭酸ガスを注入する製法である。

スペインのカヴァは、伝統的製法(シャンパーニュ式)で作られており、シャンパーニュ地方でその製法を学んだ、カタルーニャのワイン生産者ホセ・ラベントスが1872年にカヴァを誕生させ、現在メーカー数は270社に及び年間2億本、フランスについで第2位の生産量を誇っている。価格はフランスのシャンパーニュに比べ手頃で、その価格故に日本では安いからと少々敬遠されがちだが、味はシャンパーニュに勝るとも劣らない良品が沢山ある。スペインの規定では二次発酵開始から口抜きまで最低9ヶ月間の貯蔵熟成が義務付けられているが、実際には、1年から2年、高級品では3年から4年貯蔵熟成が行われている。長く熟成させるほど泡が細かく、安定した物になり香りや風味も立ちやすくなる。口抜きの際に加えるリキュールの量により甘みが調整され、極辛口のブルット・ナチュレ(Brut Nature)、辛口のブルット、セコ(Brut、Seco)、やや甘口のセミ・セコ(Semi Seco)といったタイプが作られる。このタイプの好みは日本酒やワインと同様人によって違うが、個人的にはBrut Natureがお勧めである。現地では日本で買うよりもっと手頃な価格になるため、この値段で大丈夫かと思ってしまうのだが、騙されたと思って2,3本お土産にする事をお勧めする。

三十年ぶりのお客様との再会
さて、今回のレスカラ滞在イースター休暇が終わろうとしていた為、二日目から町もホテルも静かになりジョアン夫婦と毎夜バル、レストランで飲み、食べ、語り合う事となった。この地ではレストランに入ると必ずと云って良いほど、「お通し」よろしく塩漬けオリーブが出てくる。瓶詰めのオリーブの様に塩辛くなく料理が出てくるまでの間、シェリー酒(ヘレス)やワインをチビチビやりながら摘むのである。家内は大変気にいった様で帰国してからオリーブを買いスペイン・ワインを楽しんでいる。日本で売られている瓶詰めの塩漬けオリーブの食べ方であるが、瓶から出したまま食べるのではなく、オリーブの実にオリーブ油を注ぎチョット洗う様にするとマイルドになり食べ易くなる。
最初の夜は30年前にもお客であったイギリス人夫妻とジョアン夫妻そして私の家族の7人でシーフード・レストランに行き食事をした。ムール貝、タコのガーリック・ソテー、1キロを越すヒラメのムニエルを食べた。タコは地中海沿岸に住む人々以外欧米人は中々食べない、ジョアンがイギリス人夫妻にイカだと言って食べさせようとしたが、家内が足の数を数えてタコであることをバラしてしまった為、結局は失敗してしまった。翌日はイースターで、町の中は夜になると静かになり、開いているレストランも疎らであった。夜8時ジョアンから電話があり、ジョアンと家内の3人で小さなバーに行った、店主はイタリアから移民しこの町に定住したとの事、地元の多くの客に愛されている店である事が良く解る。乳母車に赤ん坊を乗せ、家族3代揃って食事にやって来る人。小さな店内はいつの間にか一杯になってしまった。食前酒を一杯づつ飲んだ後といっても既に午後10時、目的のレストランに移り生ハムをつまみに赤ワインを飲み始めた。ダリの生地フィギュエラスに映画を見に行っていたジョアンの奥さんピラーが加わり、私たち夫婦の前には大きな魚のグリルが並び、カヴァが一本開けられた。こうなるともう歯止めが利かない、ピラーに怒られながらジョアンは2本目のカヴァを開ける様に店主に話している。その夜、私たちは1本の赤ワインと2本のカヴァを飲み尽した後、31年前にジョアンと二人で通ったバーに寄り、思い出のウイスキーを飲み、「仕事の旅でもないのに1週間も居ずに帰るのはおかしい」と言われつつ、ホテルの部屋に帰りついた時には既に午前2時を回っていた。
部屋のテラスに出て暗く静かな地中海を眺めていると若い日々の夏の喧騒が思い出された。

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