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カトリックでは、司教に叙階されると紋章を持つ習慣がある。
紋章coat of armsとは11世紀頃に始まるヨーロッパの慣習で、数種類の原色と金属色で個人を示すものである(日本の家紋と異なるのは、家ではなく個人を示す点である)。もともと戦闘中に互いを識別するために考え出されたとされているが、その便利さから、平民、聖職者、法人などにも広まり、全ヨーロッパで広く使われるようになった。
紋章はしばしば、紋章本体と装飾部分から構成される。本体は楯であり、その中に個人を示す図像が描かれる。装飾として、楯の上部には地位を示す冠や兜、楯の左右や背後には楯を支える図像(サポーターという)、下部にはモットーを記した帯などが配される。
司教の地位を示す伝統的な装飾は、楯の上部に司教冠もしくは帽子を置き、帽子の場合は紐についた房の数で細かい位階(司教、大司教など)を示すものである。サポーターは司教杖もしくは十字架で、楯の背後に斜めに、もしくは直立して置かれる。
教皇の場合は楯の上部に三重冠、サポーターは金銀の二本の交差した鍵である。
紋章は過去の遺物ではなく、現在の私たちも個人の紋章を作ることができる。その際に気をつけねばならないのはたった二点で、ひとつは他人の紋章と同じであってはならないこと、もうひとつは紋章のルールを守ることである。
紋章の規則については紋章学入門書などを読んでいただくとして、紋章が国際ルールに則って世界中で通用している以上、そのルールを逸脱しては紋章を作る意味がないということはお分かりいただけるだろう(ルールを逸脱した紋章を違反紋章といい、その数は決して少なくないのである)。
この連載では、主に日本の司教紋章を中心に色々な聖職者紋章を見てみようと考えている。
最初は、教皇ベネディクト16世聖下の紋章を取り上げるつもりである。
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