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教皇(ローマ法王)ベネディクト16世退位のニュースは2013年2月11日、カーニバルの熱狂に冷水を浴びせた。
前任者の教皇ヨハネ・パウロ2世(位1978-2005)は、世界中でカリスマ的な人気を誇ったが、一方で教会には多くの負の遺産を遺した(人間としては立派な方だったそうだが)。
第二バチカン公会議(1962-65)に端を発する教会の混乱は彼の下でその極に達したと言えよう。
2005年に登位したベネディクト16世は、公会議後半世紀にわたる混乱に終止符を打つべく尽力した。
ことに2007年、教皇自発教令『Summorum Pontificum』を発布して「公会議前の典礼は廃止されておらず、すべての司祭が自由に執行することができる」と宣言したことは、教会史上に残る記念碑的な業績といっても過言ではない。
学者肌のチャーミングなドイツ人がキリストの代理者を務めたこの8年間は、未来の歴史家から「教会の正常化に向け大きな一歩を踏み出したターニングポイントとなる治世」として評価されることだろう。後を継ぐ教皇がこの歩みを力強く進めてくれることを願ってやまない。
歴史に「もし」はナンセンスだが、あと10年、いやあと5年でも早くヨハネ・パウロ2世が退位しベネディクト16世が登位していれば、キリスト教世界の現状はもう少しましだったろうにと思えてならない。
ところで、今年前半にも発表されるはずだった対神徳(信望愛)についての回勅三部作の最終巻
は、聖下の退位までに執筆が間に合わないためお蔵入りするとのこと。こちらも残念である。
回勅としてではなく一般書籍として出版される可能性はないのだろうか?続報が待たれる。■
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