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カトリック的。
信徒数13億人でも日本では知られていないカトリック。正統キリスト教会を気楽にご紹介します。

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典礼や祈りの口語化を推進している方々は、こんな風に考えてらっしゃるようです。

旧約時代のユダヤ人や中世ヨーロッパの人々は、神を遠くにおられる恐ろしい方、厳しい審判者として捉えていました。そのため、神に祈るのにもかしこまって、形式にこだわったり古めかしい言葉遣いをしたりしていました。
けれども、神は受肉して人となり、私たちのうちに住まわれました。新約の神は「インマヌエル」、私たちとともにある愛の神です。イエス様は使徒を「友」と呼ばれました。ですから、祈るときには堅苦しい言葉を使うのではなく、身近な人と話すときのような言葉遣いをするのがよいのです。

実はこれ、筆者がでっち上げたものですが、似た文章はよく目にします。実に香ばしいですね。真●会館辺りのたたずまいを彷彿させるかぐわしさです。


旧約の神は「厳しい神」、新約の神は「愛の神」?


旧約聖書や中世スコラ学に「神は愛」という理解が足りなかった、などという楽しい意見をご開陳くださる御仁が、カトリックの聖職者と称する人の中にもいらっしゃいます(『●庭の友』なんかを覗いてみると実に微笑ましい連載が続いていますね)。

しかしながら、古代ユダヤ人が愛である神を分かってなかったと決めつけるのは、ゴキゲン加減も少しばかりハイブローに過ぎる感じです。
神は「罰を与うべきものは見逃さず」、しかし同時に「情けあり、あわれみある神、恵み深く、まことの豊かなるもの、あまたの人に慈愛を示し、とがと、逆らいと、罪とをゆるすもの」と自らモーゼに語られました(出エジプト33・6)。
ダビド王も、「主は慈しみとあわれみ、怒るにおそく愛に満ちたもの」と歌い上げています(詩編102(103))。

中世ヨーロッパでは、カタリ派異端が猛威を振るいました。彼らの主張の一つが、旧約の創造主は、新約で啓示される愛の神とは別物だ、というものでした。そして、現世は神の憎むものであり、世を捨てて厳しい苦行生活を送る一部の宗教エリートだけが神に近づける、と説きました。
これに対し、ドミニコ会をはじめとする正統キリスト教会の論客たちは、旧約と新約との神は同じであり、すべての人を愛しておられる、ということを命をかけて論証したのです。
くだんの愉快な仲間たちにおかれましても、いやしくもカトリックを名乗る以上は軽々しく「中世は神の愛の側面を軽視していた」などと発言すべきではありませんね。

それでは結局のところ、愛である神に対してどう接すべきなのか。
前述の詩編102(103)にあるとおり、「主を恐れる者にはその慈しみがまさり、…主の愛は恐れかしこむ者の上に代々につきず」というのが正解、といったところではないでしょうか。


キリスト者とはどのような言葉遣いの人か


とはいえ論拠はどうあれ、「人間イエス」(笑)と語り合うのに文語は不適切だという御高説には、そう熱心にお説きになる御仁のやんごとなき御身分も加味されたりなんかして、疑うことなく受け入れてしまっている方も少なくないようですね。
しかし、ここは冷静に考えてみることにいたしましょうよ。

私たちカトリックは、主イエズス・キリストの弟子であります。
今から2000年前、主の弟子たちというのはどんな人たちだったでしょうか。使徒の頭聖ペトロの発言を聞きましょう。
「あなたは生ける神の子、メシアです」
(マテオ16・16)

それでは、キリストの弟子にならなかった人とはどんな人だったでしょうか。
彼らは、キリストを神だとは認めませんでした。彼らによれば、
「(イエズスは)死に値します。自分を神の子としたからです」
(ヨハネ19・7)
(イエズスを平手打ちし)「大司祭に向かってそんな答えをするのか」(ヨハネ18・22)

つまりキリストの弟子というのは、キリストが受肉した神であると認め、礼拝する人のことですね。
となると、キリストの神性を認め、神に対するのにふさわしい言葉遣いをする人はキリスト者、ナザレトのイエズスをただの人間として扱い、人間同士の会話と同じような話し方をする人は不信者の系譜に連なる者、と言うこともできてしまうのではないでしょうか?


受肉したのは御子のみ


「神は人となられたのだから、神に対して人間同士と同じ言葉遣いができる」、という主張自体が、はなはだ心許ないものです。
といいますのも、受肉したのは御子のペルソナなのですから、父なる神と聖霊、ならびに聖三位に対して祈る場合にはその論法は通用しません。

仮にそのロジックを貫徹しますと、ミサの集会祈願・奉納祈願・拝領祈願などでは、御子に向かう(比較的少ない)場合は口語でよいが、御父に向かう場合は文語で唱えなければならない、ということになってしまいませんかね?
もしも「ミサの祈願文や奉献文(典文)は御父に向けられているのだから文語にして、御子に向けられた祈願だけ口語にすべきだ」と主張される方がいらっしゃったら、私はその首尾一貫した姿勢を尊敬いたしますねぇ。


教皇庁は典礼の口語化を禁止している


以上、長々と冗談を書き連ねてしまいました。
実のところ、カトリック教会としてはこの問題はとうに決着済みです。

典礼秘跡省は2001年、指針『Liturugiam authenticam』(リトゥルジアム・アウテンティカム、副題:ローマ典礼書の発行における各国語の使用について)を出しています。そこでは、典礼で用いるのは文語か口語かという問題について、次のように述べられています。

11. In illa ratione etiam dilucide distinguatur ab hac parte inter linguas, quae universe ad communicationem pastoralem recipiantur, ab altera parte eas, quae in sacra Liturgia adhibeantur.
11. その地域で司牧上のコミュニケーションに一般的に用いられる言語と、聖なる典礼のために用いられるべき言語とは、明確に区別されなければならない。

つまり教皇庁は、典礼に口語を使用してはならないと明言しているのです。

日本のカトリック信者のほとんどは、2001年にバチカンが口語ミサを禁止したという事実をご存知ありません。
『リトゥルジアム・アウテンティカム』が発布されて10年以上が経過しましたが、日本の司教団はいまだに公式の日本語訳を出していないのです。

インターネットでこの指針の存在を知ったある信徒が司祭に問うたところ、「それは英語圏などの話であって、日本は関係ない」と説明された、という話も耳にしたことがあります。実際には、ローマ典礼のすべての国が対象なので、日本も例外ではありません。

8. […] Normas, quae hac praesenti Instructione contineantur, iudicetur ad translationem pertinere textuum usui liturgico destinatorum in Ritu romano, et, mutatis mutandis, in ceteris Ritibus Ecclesiae Latinae iure recognitis.
8. […] この指針で示される規則は、ローマ典礼様式、およびラテン教会で認可された他の典礼様式において、典礼に用いられるテクストの翻訳に対して適用される。


昔ならいざ知らず、この情報化社会でいつまで信徒に隠し続けられるとお考えなのでしょうかね。。。


日本語でミサをするなら文語でなくては。


現在の日本語ミサでも、信経は残念ながら口語が導入されてしまいましたが、「あわれみの賛歌」「栄光の賛歌」「感謝の賛歌」「平和の賛歌」は文語が残っています。それ以外のミサの式文も、文語にしてしまえばいいんですよ。朗読と説教、および共同祈願は口語のままで問題ないと思いますけれど。
口語にこだわるから、「逐語訳すると自然な会話文にならない」という無駄な悩みが発生するのです。典礼と日常会話とは違うものと分別するのが出発点です。

V.
聖父(ちち)と聖子(こ)と聖霊とのみ名によりて。
R.
アメン。
V.
われらの主イエズス・キリストの御恵(おんめぐ)みと、天主の愛、聖霊の交わりとが、汝ら皆にあらんことを。
R.
また御身の霊とともにいまさんことを。

…こんな具合にミサが始まったら、誰もが「おっ、厳かな式が始まったぞ」と感じるのではないでしょうか? 今の三文芝居じみた口語ミサより、よっぽどましだと思うのですが、いかがでしょうかね。■



参考:Liturgiam authenticam


原文(ラテン語)はこちら
http://www.vatican.va/roman_curia/congregations/ccdds/documents/rc_con_ccdds_doc_20010507_liturgiam-authenticam_lt.html

英語訳はこちら
http://www.vatican.va/roman_curia/congregations/ccdds/documents/rc_con_ccdds_doc_20010507_liturgiam-authenticam_en.html

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