おはようございます。うすら寒いですが活動意欲の沸くそんな朝。
さて、お馴染みとなりました渡邊恭一君の「第五トラディショナル」ですが、今週はAdrian Rollini関連の音源を2曲紹介して頂けました(^^)
一曲目は「ビックス・バイダーベック アンド ヒズギャング」から「ジャズ・ミー・ブルース」
改めて聴くとビックスのアドリブフレーズは本当に特別なものがありますね。若くして亡くなりましたが、世界中にビックスのファンがいて、今でも「ビックス・フェスティバル」など開催されていることがよく分かります。
これは、ビックスのお墓の前でのライブです。
そんな「ビックス」と同じ時間に同じ音楽を共有していたバスサックス時代のロリーニ、私は実はこの時代のロリーニの方がむしろ好きかもしれません。
小さな頃からクラッシックピアノを学び、4歳だか5歳だか、とにかくまだ小さな頃にリサイタルをしていたというロリーニ、私の想像ですが、耳もよく音楽的な勘は天才的なものがあったのでしょう。頭の中に思い描く音を、楽器は違えど自由に表現することが出来たのだと思います。
リチャード・M・サドハルターは「未知なる領域へ〜エイドリアン・ロリーニとバスサキソフォーン」という文章の中で
「ロリーニは「ウドの大木」とも揶揄された「バスサックス」という楽器を1922年にマスターしようよ心に決めたようである」
と書いています。
エイドリアン・ロリーニには、アーサー・ロリーニという弟(グッドマンオケなどで活躍)がいるのですが、初めてバスサックスに取り組んだ時のロリーニのことを後にこう言っています。
「ある日エイドリアンはそれ(バスサックス)抱えて帰宅するやいなや口もきかずそのまま練習するために自室に飛び込みそして、約3週間でマスターしてしまったんだよ」
サドハルターは「多少誇張はあるだろう」と言っていますが、私の見解としては、頭の中に表現したいイメージがあり、音に対する勘が普通の人よりずっと優れている音楽家なら、あるいは3週間である程度マスターしたってことも充分有り得るんじゃないかなと思っています。そういう人は、おそらく「出したい音を出すための方法」が分かれば吹けてしまうのかもしれません。また、ロリーニは残っている映像や画像で見る限り、体格もよく、肺活量も天性のものがあったかもしれませんから、扱いづらいとされるバスサックスも「出したい音」のイメージに従って操ったのではないでしょうか?
マスターしたと言っても、勿論、「バンドで仕事をする水準に達した」ということであり、カリフォルニア・ランブラーズに所属した初期の演奏では、ベースラインに徹していますが、徐々にバスサックスを「ソロも取る楽器」として自由に操っていくようになります。ベースラインに時々力強いソロを交えるそのスタイルは独創的で、専門家も「一体何を聴いてあのような表現をしたんだろう」と評しています。
ロリーニは、「グーファス」や「ホットファウンテンペン」というちょっと変り種の楽器を作り、「グーファス・ファイブ」というバンドで演奏したり、他のバンドでもそれらの楽器を好んで使用していますが、バスサックスの高音域は大変扱いづらく音程が定まりづらい、その高音域をマスターするために「グーファス」や「ホットファウンテンペン」というロリーニ曰く「おもちゃ」を開発して楽しみながら練習していたようです。
また、マウスピースやリードに関しても、扱いやすいバリトンサックスのようなタイプを特注して工夫したりしていたようです。
3週間である程度マスターしたかもしれませんが、その後にどんどん工夫して上手くなっちゃったんですね。
あ、ちょっと熱く書きすぎましたが、、、、。
バスサックスでのキャリアを積みつつ、ロリーニはカリフォルニアランブラーズ時代から確かザイロフォンも弾いていたと思います。
イメージした音が自由に弾けるロリーニにとって、ザイロフォンのような「ドレミ」で音盤が並んでいる楽器はバスサックスに比べもっとやすやすと弾けたはずです。ドラムもやっていたようですし。
ディーガンがビブラハープを開発し、当時のカタログの一番後ろにもビブラハープを弾くロリーニの写真が宣伝として載っています。
ロリーニは自分のオケや、エディ・ラング、ベヌーティらと組んでいた「ブルーフォー」などのバンドで好んでビブラハープを取り入れるようになり、1937年頃から、ビブラハープ、ギター、ベースのトリオでの演奏を開始、晩年までトリオ演奏を続けます。晩年と言ってもロリーニもあまり長生きしてないので、1950年くらいまでのことですが。
そんな訳で、第五トラディショナルの2曲目はトリオでの「Liza」、トランスクリプションなのではっきりとは分かりませんが、1947〜48頃の演奏かと思います。
せっかく恭一君がロリーニを紹介してくれたのでだらだらと書いてしまいました。
私が「ロリーニのビブラフォンに憧れている」とよく思われているようですが、実はそうではありません。
私はビブラフォンが前面に出る、、、つまりビブラフォンがリーダーで演奏するようなスタイルは別に好きというワケではありません。それはロリーニに限らずそうです。
ロリーニに関しても、バスサックス時代の音楽の方が断然好きです。バイブ時代になってからの技巧的なロリーニも面白いですが、それだけが好きなのではないのです。
バスサックス時代の、あの音楽、オケのサウンド、リズム、私は断然そちらのほうが「音楽だ」と思っています。
時代はどんどん変わり、スィング、バップ、、、と、1940〜50年代の音楽は変化のスピードが速いですが、トリオになってからのロリーニのスタイルは当時の音楽の変化とは違う方向性で動いていたのか、やはり1920年代30年代の音楽の匂いがするんです。その点が好きなんです。だからロリーニのビブラフォンは特別だと思うのです。
なんてね〜、、てへ。