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いつだって、物語には続きがある。
サロメ。
新しくもらった名前はマリブ。
新しくもらった幸せな一生を
今を生きている。
檻の中。
ゴミのような扱い
朦朧とした瞳
化け物のような姿
歯の揃わないヘドロの詰まった口
必死な姿
必死に助けてと言った
それをちゃんと受け取った旦那
必死だった
お互い必死だった
今、幸せだと
この子が必要だと言ってくれる人がいる
これが泣かずにいられるかい
まさか運転できるまでになるとはね♪
お前が必死に助かりたいと言ったからだよ
お前が必死に助けてと、
幸せになりたいと願ったからだよ。
すごいヤツだと思う。
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サロメとベック
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旦那がゴルフを始めた。
初めてのコースは初めてのコンペ。
可愛いポロシャツと帽子を買った。
楽しかった、と帰ってきた。
嬉しかった。
猫たちよ。
なぜ登るのはキャットタワーではなく網戸なのか。
なぜ掘るのは爪とぎよりも植木なのか。
なぜ素足に爪をひっかけ登ってくるのか。
テディオよ。
なぜドッグフードよりキャットフードを食べたがるのか。
なぜ遊ぶのはおもちゃではなくペットボトルなのか。
なぜそんなに一歩ずつついてくるのか。
ベックの里親さんからメールが届いた。
もうあれから一か月が過ぎたんだ。
ボロボロのカーテンと足の傷に時間の経過を見て笑う。
チョコ=ベックは元気そうだ。
あの子、里親さんのお嬢さんは、おねえさん風を吹かせて
よく面倒見てくれているという。
そしてこんなに、幸せな顔しちゃって。
そしてあの子に似顔絵を描いてもらったんだって。
ニヤけちゃって、笑っちゃって、
ハハ、もうなんだか
どうも涙が止まらないよね。
なんて表現したらいいのかわからないけど、
嬉しくて。
網戸の心配も、すねの爪傷も、困ったテディオも、
おねえさんが出来たアイツも、アイツを描いてくれたおねえさんも、
みんなものすごいチカラで私のなにかを溶かす。
腹の中にドロッと溜まった黒い石油に、一滴一滴薄め液を垂らすように
触れた部分だけ水になる。
そんな感覚で、もらったメールを何度も読んでは
何度も写真と絵をみて、ハハハと笑っては涙する。
有り難い。
本当に。
アイツと私たちの、運の良さを誇りに思う。
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過ぎてしまえば、なんでもあっというまで。
突然こんな塊の犬たちが家に来てからもう半年。
転がり出すように動き出し、
その後バタバタとずっと追われる日々。
正解だったのかどうかも解らない努力も
悩みと喜びを繰り返しながら、
それぞれみんなが頑張った。
そうだよね。
ドアすら探せず朦朧とした目で
骨と皮の背中、ご飯は口からこぼし
おやつは食べものとして認識できず
うまく歩けずソファにも上れなかった
そんな彼らが。
一日、一日、逞しくなり
一日、一日、出来ることが増え、
感情や個性も表れ、
走り回ってヘンテコなジャンプして
ブタミミウマイって喜んで
大好きだよーとばかりに駆け寄ってきてくれる
そんな我が家から
サロメが先に卒業し、一昨日ベックが引っ越した。
過保護でちょうどいいくらいのサロメ
雑でちょうどいいくらいのベック
なんともそれぞれの個性に本当にピッタリの、
細やかで優しいご家族と、
おおらかで優しいご家族
どちらも温かく真摯な方にご縁があった。
これが 『 ご縁 』 というチカラなんだろうか。
あまりにもそれぞれにピッタリの、
あるべき場所に帰った気がして
そこでやっと、サロメを出したときの複雑な気持ちもスッと腹に落とせた。
ベックはスーパーに行くくらいの距離のご近所。
ドタバタと引き渡し日、
サロメとのキャラの違いからか、そこまで心配でもなく、
良かったね、頑張れよ、ありがとねと笑顔で別れた。
翌日、どうなったことかと気にしていた私たちを察して、
一日経った様子をメールしてくださった。
トイレはまだ失敗。
ごはんはちゃんと食べてて、
苦手だったお散歩では楽しそうに小走りもしたって♪
足を投げ出してぐっすり寝てて
しかも、5歳の娘さんに 『 チョコ 』 という名前をもらったそうだ!
そして、今までのベックマンも残したいから、
通称チョコ、本名チョコ・ベックマンとしたと。
初めて泣いた。
サロメの時は一週間くらい泣いたけど、
ベックの件ではここで初めて泣いた。
あの子から名前をもらえたね。
そうやって、ひとつひとつ愛情をもらって
幸せに家族になって行くんだね。
お前もあの子を幸せにしてやれよ!
ベックマン。
なにがなんだかわからないうちに始まり、
なんだったのかどうすべきだったのか未だにわからない半年。
ありがとね、大好きだよ、よかったね、ごめんね、
いろんな気持ちが混ざるけど、
これで〜いいのだ〜♪
これで〜いいのだ〜♪
と、こんなタイミングで偶然耳にした天才バカボンのカバーに
密かに心癒されてたりする。
『 チョコ・ベックマン。 』
幸せな名前だ。
笑っちゃう。
笑いながら、泣いちゃう。
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それどころじゃない日々。
毎日バタバタと、一難去らずにまた一難、
ああそれどころじゃない、、と
転がるように毎日を頑張っている。
頑張っている。
ガラにもなく。
ある決断をしていた。
旦那は出張が多く、私は仕事が忙しく。
どう頑張ったって留守がちな我が家。
この子たちにちゃんと向き合える時間は、
頑張っても一日2時間程度。
それも私一人のときも多く。
このままでは十分なことがしてあげられない。
もっと手を掛けてもらって、
もっと一緒に過ごせる家庭がいいのではと考えていた頃
ある温かい一家とのご縁があった。
何度も動物を保護しては大事に育てた方々。
その犬や猫も年をとって亡くなり、家族で話し合って
サロメの面倒を見させて欲しいと言ってくださった。
なんとも、なんともありがたいお言葉。
とうとうその時が来てしまった。
サロメを里子に出す。
それを決めた日から、私はバカみたいに毎日泣いている。
朝も夜も車の中でも今もさっきも、
何日もバカみたく泣いている。
仕事も家事も何もかも忙しいのに、
まったくそれどころではない日々。
これで本当によかったんだろうか。
そんな言葉は、この子たちを保護した日から今までずっと自分に言っている。
これが私たちの思いつく限りの最善だと
6か月のリハビリによって社会化もできて健康になった犬たち
そんな犬を家族に迎えたいと切に思ってくださるご家族
このまま頑張っても状況を変えることのできない我が家
これが機会だ、これがご縁だと
十分納得して出した答えなのに
相手様には本当に感謝しかないのに
胸がえぐられる。
えぐられる。
最後の日
私はごはんを作り、
旦那は泣きながら体を拭いた。
優しい目でみないでくれ
泣く私を舐めて慰めないでくれ
サロメよ
あの日から、あれよあれよと半年が経って、
毎日ほんと大変なのに愛おしくて、
でも保護して育てる日々なんかよりも、
里子に出すことがこんなに苦しいなんて知らなくて、
サロメ、
これからが本番の幸せな一生だから
くちにご飯を上手く運べなかったこの子が
骨と皮で震えてうまく歩けなかったこの子が
うつろな目でパニック起こしてばかりだったこの子が
今ではこんなに賢く優しく逞しく
そして、ずっと一緒じゃなくてごめん
6ヶ月目。
彼は素敵な一家へもらわれて行き、
ベックも他で話がある。
12月からの犬騒動、一件落着。
ブリーダー崩壊による惨状に置き去りの犬、殺処分手前、
一時ある夫婦に預かられリハビリ後、温かい家族に引き取られ解決。
短く言えばそういうハナシ。
みんな次の章へ。
解決しないものは、私の中にある。
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我が家へ遊びに来てくれた赤ちゃん。
その名も 『 小熊 』
コンニチハ・・♪
ポメラニアンの女の子なのだ♪
犬慣れさせたい大事な時期だから、とテディオにご用命。
攻撃性がなく、社交的で優しいテディオにはうってつけの役だ。
逆にやられちゃうってパターンも今まで多々あったものの、、
今回はすぐに打ち解け仲良く遊んでいる・・♪
サロメとベックも意外と大丈夫。
ベックがひたすらテディオを追い、
テディオは小熊を追い、
一番気の強いサロメは小熊に追われている・・
庭で楽しそうに遊ぶ。
それを見る。
なにか、少し溶ける。
旦那がこだわりをいっぱい詰めてオーダーした、
4号頒布のガッチガチのトートバッグ。
最初に入れてみたのはテディオ。
作り手に失礼?
いや、まず一番愛するものを入れたのです。
ずっとずっと、愛着を持って大事に使われることでしょう。
アイツら。
もうすぐ半年経つっていうのに
トイレもまだちゃんとできないんだ。
たまに家に着いた時、
玄関を開けるのをためらう。
疲れたり
イライラしたり
先を思って切なくなったり
比べたり
逃げたくなったり
そんな私にひとつも文句も言わず、旦那がこう言う。
赤ちゃんはゼロからのスタートだけど、
コイツらはマイナスからのスタートなんだ。
今やっと、ゼロに立てたところだから。
だからコイツらにはもっと、時間が必要なんだよ。
そうだ。
甘えてばかりのサロメは
甘えたことがなかったんだ。
イタズラばかりのベックは
イタズラしたことがなかったんだ。
なにもなかったんだ。
私はまだ、マイナスのところに立っている。
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