北永劫回帰線

かつて我々は精神であった。ところが、今や我々は欲望である。

「パソ街!」46―50

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(四十九)

                (四十九)




 この頃同じ夢を良く見る、裸のまま宇宙空間を漂っている夢だ

。もちろん生きていられないが、夢だからそんな事は構わない。

ただ、凄く気持ちがいい。無重力宇宙では当然空気が無いので、

手足を動かしても抵抗が無く徒労に終わる、寝返りすら出来ない

、否、上も下も無いので寝返りする必要もないが、身体は全く役

に立たない。我々は地球でしか生きれないのだ。身体の機能が役

立たなくなれば意志はその意味を失う。やがて精神は死と共に消

滅するだろう。肉体は精神に先行するのだ。いや待てよ、意味を

失った肉体に宿る私の精神こそが、もしかして純粋な精神と言え

るのではないか?もはや我が精神は意志を諦め、意志は身体の支

配を放棄する。こうして自由を失った、否、自由を得た、あれど

っちだ?精神は身体性を離れて自我そのものに還る。「他に何も

要らない。」私は私で在ることに幸福を感じる。これを私は絶対

幸福と呼ぶ。

 はて、それでは身体性を高めるということは、精神性を失って

いく事なのか?きっと我々は重力に邪魔をされて精神を見失うの

だ。もし我々が精神を語るならば、重力の在るところで語っては

ならない。何故なら重力は精神に作用が及ばないが、その精神が

宿る身体は重力に委ねられているからだ。大地にへばり付けられ

た身体で精神を語っても我々はきっと間違うだろう。我々の精神

はあまりにも身体に影響されている。つまり、宗教や民族や国家

や風土や歴史や血縁や年齢や性別などに惑わされてはならない、

そんなものは我々の身体が恐怖に負けて創り出した過去の柵(し

がらみ)だ。精神とは存在を拒むのだ、それは光に似ている。光

の後を辿っても痕跡など見い出せないように、いくら過去を辿っ

ても精神を手に入れることなど出来ない無いだろう。つまり、坂

本竜馬の精神を知ったからと言っても、我々は坂本竜馬のように

は生きられないのだ。精神とは今この時に私に起こることで、記

憶に閉じ込めた途端に色褪せるのだ。

 やがて漆黒の闇を漂う私の視界に青き地球が現れて、その美し

さに魅せられていると地球への郷愁に耐えられなくなって、私は

大声を上げて叫びながら、陸に釣り上げられた魚のように手足を

バタつかせて地球への帰還を果たそうとした。するとそれが効を

奏したのか、好転する地球が見る見る近づいて来て、ついには地

球の重力圏に絡まった。私は安堵して思わず屁が出た。すると歪

な肛門から右側へ漏れた屁の為に、私の身体は左側へ何度も寝

返りを繰り返して、ベッドから転がり落ちて目が醒めた。

「ふあぁーっ。 仕事かったるぃ―。」                 

                                 (つづく)

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