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「カーター・ピーナッツ・ラーメン」
(2)
カーター元大統領から贈られたピーナッツの種は、春に播種して秋
に収穫を迎えます。そして乾燥して煎られて晩秋にはジミー・カータ
ー・シビックセンターに隣接するドーム広場で毎年恒例の収穫祭が催
されます。それも今年で14回目を数え、その日は大勢の人がやって
来て、地元の若者が演じるステージのパフォーマンスを楽しみながら
、カーターピーナッツを使った様々なアイデア料理の味を競い合うグ
ランプリ大会が行われます。私は、去年そこで都会の生活を諦めてこ
の地で就農したひとりの青年と出会い言葉を交わしました。彼は都会
生れで、もちろん農業経験などまったくなく、今はひたすら経験を積
むためにハウス農家の下で軟弱野菜の栽培に勤しんでいました。私は、
「農業をする前は何をしていたの?」
と、年上特有の上から目線で不躾な質問をすると、彼は、
「飲食です」と言ったあと、すぐに私の質問を先回りして「ラーメン
屋です」と答えた。私は別に彼の身の上にまったく関心はなかったが
、それでも、
「何で辞めちゃったの?」
と訊いた。すると、
「なんか、狭い厨房の中で気ばかり使うのが鬱陶しくなって」
「つまり人間関係ってことだろ?だけどそれは雇われていれば農業だ
って同じだろ」
「ええ、だから早く自立したいんです」
「自営するにしたって生産性が求められる仕事は効率主義からは遁れ
られないさ」
「でもね、効率化は経営者サイドの案件でしょ。仮に、機械化できて
効率化すれば、人件費コストの削減はそのまんま経営者の利益に
なるけど、それとは反対に従業員は職を失う。つまり、効率化は従
業員にとって何も得ることがない。そんなことも分らないで従業員に
効率化を求めるのは経営者が無能だからでしょ」
「んんー」
詳しいことは分らなかったが、どうも上司とうまく行かなかったよう
だ。間もなくステージのスピーカーから耳を塞ぎたくなるほどの大音
量の曲が流れてきて、会話は途切れた。
(つづく)
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カーター・ピーナッツ・ラーメン
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