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 実践研究からアカデミックジャパニーズを考える
 
2013622日(土)13:001730
早稲田大学22号館
参加者:77
 日本語教育における実践研究の必要性・重要性が指摘されていますが、自らの実践内容を、研究としてなぜ、どのように記述していくのか,ということはAJG内でほとんど話し合われていません。そこで、6月の研究会では、実践研究とは何かを議論し、そこから私たちの実践の場からどのような発信ができるのかを考えていきました。
 前半は門倉正美氏、細川英雄氏の講演の後、明治大学教授の横田雅弘氏を迎え、3氏のパネルディスカッションで実践研究とは何かを議論、問題を提起しました。その後グループで話し合い、広い視野を持って、AJにおける実践研究とは何か、なぜ実践研究か、AJの実践をどのように記述するのかを、会場内で意見交換していきました。
 
 
アカデミック・ジャパニーズ(AJ)における実践研究とは何か−「研究論文」および「実践報告」とどう違うか」 門倉正美 氏
 
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日本語教育のような現場をもつ教育研究において、現場での自らの実践や他者の実践への深い考察や掘り下げが必要であることは言うまでもないだろう。問題にしたいのは、日本語教育界において、そうした「実践への深い考察」が十分に評価されていない、端的に言えば、「研究論文」として評価されにくいという現状である。
例えば、学会誌『日本語教育』では、「実践への深い考察」の多くは「実践報告」とされがちであり、「実践報告」は「研究論文」よりも一段下に評価されがちである。それでは、評価者はどのような評価基準によって「研究論文」と「実践報告」とを区分しているのだろうか。こうした点は、『アカデミック・ジャパニーズ・ジャーナル』においても他人事ではない。「実践への深い考察」(それを「実践研究」と呼ぶとする)とはどのような「考察」および「記述」を指すのかが問われる必要があるが、ここではまず「実践研究」と「研究論文」および「実践報告」とはどのように違うのかという点から考えてみた。
 
 
なぜアカデミック・ジャパニーズ(AJ)に実践研究が必要なのか−「AJとは何か」という問いに関連して細川英雄 氏
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 実践研究は今世紀に入って急速に注目されるようになった。まず日振協プロジェクトの冊子発行(2001)が比較的早い例だが、これは日本語学校の実践への強い注目によるものである。その後、教育学・心理学の影響を受けつつ、次第に進展し、2005年の日本語教育の実践報告の特集は、実践研究への第一歩の感がある。
それから、かれこれ10年近く経ち、今、AJと実践研究の関係が問われようとしていることは何を意味するのだろうか。実践研究とは、私見によれば、実践=研究の思想である。つまり、実践することは研究することであり、研究することは実践であるという考え方であるといっていい。この場合、必ずしも、実践とは教室活動に限定されない。むしろ社会活動における実践も含みつつ、人が考え行動することそのものが実践であると解釈することになる。それは、実践研究の本来の起源であるアクションリサーチそれ自体の持つ社会変革の思想であるといえる。
このように考えると、なぜAJにとって実践研究が必要なのか、あるいは、今なぜAJと実践研究の関係を問わなければならないのかという疑問が生ずる。それは、「AJとは何か」という問いと関連している。AJとは、日本語教育という分野・領域の中で何を目的とし、何をめざした活動なのかという問題と不可分だからである。
今回の発表では、こうした私自身の疑問をAJ研究会に投げかける形で、AJと実践研究との関係について考えてみた。
 
「まちづくり実践と現場生成型教育・研究」 横田雅弘 氏
国立市と一橋大学のまちづくり活動の事例から、従来の教育スタイルと異なる現場生成型教育・研究について紹介していただきました。
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3名のパネルディスカッション
それぞれの立場から、「実践研究の可能性」という話題で話し合われました。
 
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グループディスカッションと共有
3名の登壇者の問題提起を受け、各グループ内で実践研究についての意見交換を行いました。
  
 後半は登壇者を含め、会場全体での活発な討論となりました。主な論点として次のような内容が話し合われました。
・「実践研究を伝え共有する場」
  実践研究を行っても他者と共有し合える場が少なく、実践研究を評価するシステムもない
  という問題が挙がりました。
・「実践研究の記述のあり方」
  …実践現場の固有性や特殊性をどのように表現するのか、他者と共有するための記述のあり
  方が話題になりました。
・「実践研究の構成要素」
 …日本語教育のフィールドにおいて実践研究に対するコンセンサスが得られていないことが
  指摘されました。
・「実践研究観」
 …すぐれた実践研究とは何か、という話題から始まり、個々の立場からそもそも実践研究と
  は何か、という内容が話し合われました。
 
 今回の議論では、参加者の実践研究観の違いによって、上記の論点の捉え方が異なっているように感じました。大きく分けると、実践研究を「成果」として捉えるのか、又は、「行為」として捉えるのかという違いです。実践研究を「成果」とした場合、構成要素や評価基準の明確化が問題となりますが、「行為」とした場合、固有の現場で起きていることを解釈し、よりよい実践にしていくための探求のプロセスとなります。まずは、AJGのような場が文脈の異なる多様な実践を伝え合い、共有する場として機能することで、実践研究の方向性が見出せるのではないでしょうか。
 
各グループ内で参加者が付箋に書いた質問事項や内容など、主なものを下記に挙げます。
・どういうものが実践研究に値するのか?
・実践研究とは医学の臨床研究に近い?
・今までにない新しい試みでないと発表できないのか?
・五感をフルに使った発表とは何か?学術的な発表でどこまで許されるのか?
・外に出して共有すべきなのか?事例報告を形にすることが研究に値するのか?
・すぐれた実践とは何か?学生の日本語力が上がった?
・学校教育(小、中、高)のようにためていくことが大切では?
・より多くの人と共有できなければいけないのか、誰のための研究か?
・実践教育学会を立ち上げ、独自で議論し、研究評価の枠組みを作る。
 
(文責:第30回研究会世話人 江森悦子)
 

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