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「パクリ」が許される作品と許されない作品の差

インスパイアやオマージュもパクリなのか

パクリとはいったい何でしょうか(写真:CORA/PIXTA)
SNS時代の今日、あらゆる場面で「パクリ問題」が後を絶たない。アリアナ・グランデやBTS(防弾少年団)のような世界的有名歌手から有名作家、大学教授、政治家に至るまで、あらゆる業種・分野において発表したコンテンツに対してパクリが指摘される事例は少なくない。
「パクリ」と一言で言っても、そのあり方はさまざまだ。明らかに違法なパクリから、道義的な判断が求められるもの、なかには言いがかりやこじつけのようなケースもある。しかし、それがどのようなものであれ、パクリ指摘やパクリ疑惑はつねにネットニュースにあふれている。「パクリ」という言葉を目にしない日はないほどだ。そこで、本稿では『パクリの技法』から一部抜粋し、パクリとはいったい何か、なぜ起きるのかについて解説する。

4段階の「パクリ」

近年「パクリ」がキーワードになった大きな社会問題や事件が急増していることは誰もが知るところでしょう。
今日「パクリ」として一元的に表現されているものの、本来はそれぞれ微妙に異なる意味を持っている用語を、使われる際の「わかりやすさ、使いやすさ(利用する際の難易度)」に基づいて4つのレベルにまとめました。
レベル1:一般用語・感覚としてのパクリ
レベル2:無条件に違法なパクリ
レベル3:許可や手続きが必要なパクリ
レベル4:相互理解/業界内ルールの遵守が必要なパクリ
「レベル1」は、良しあしはさておき、「似ている」という一般的な感覚の下でも用いられます。特に理解に難はありません。レベル2は明らかな違法性が感じられる場合に用いられます。違法コピーのソフトや海賊版サイトなどが該当します。違法性が明確であるだけに、その理解も容易です。
レベル3は正当な許可や手続きを経ていれば合法ですが、意図的であれ不注意であれ、手続きに不備があった場合は、違法になるケースです。その判断には慣れが必要です。
最後にレベル4は用法と意味の理解が最も難しいかもしれません。なぜなら「このくらいなら許される」「過去に敗訴した事例はない」「慣例的に許諾されている」「暗黙の了解」などといった認識で、仮にそれが違法であったとしても、公然とパクリが横行しているケースだからです。
もちろん、法的には明確な結論が出ている場合も少なくありませんが、文化や表現手法として定着していて、違法あるいは違法性があったとしても権利者が強く主張できないこともあります。
例えば、同人誌における二次創作は、明らかな著作権侵害に該当するものばかりですが、同人活動は日本の漫画・アニメ文化の下支えとなっているという認識が権利者の側にもあります。さらには、オリジナル作品が同人活動の二次創作によって知名度を上げたり、商業的成功をしたりしている場合も少なくないため、権利侵害によって権利者が経済的利益を得ているという逆転現象を生み出しているケースも珍しくありません。

有名作品の中にもあるパクリ

有名作品の中には、先行作品や過去作品をパクることで、成功している事例は数々存在しています。むしろ、インスパイアを与え、参考元になった先行作品が存在しているようなケースのほうが多いかもしれません。
日本の作品でも、例えばスタジオジブリの作品には、多くのインスパイア源、参考元、原作が存在していることでもよく知られています。もちろん、違法な剽窃や模倣や盗用を繰り返している、その作品にオリジナリティーがない、という意味ではありません。
インスパイアやオマージュの範囲内で、あるいはしかるべき手続きやルールの枠内で、参考にしたり、インスパイアされたり、あるいはリメイクや原作の再解釈をしたりしているというわけです。
むしろ多くの先行事例、先行コンテンツを参考にする宮崎駿監督の調査能力には驚かされます。例えば、スタジオジブリの前身会社であるトップクラフト制作の宮崎監督初期の代表作でもある『風の谷のナウシカ』(1984年)を見ていきましょう。
作品タイトルにもなっている主人公「ナウシカ」という名前は、古代ギリシアの叙事詩『オデッセイア』に登場する王女ナウシカア(Nausicaa)からとっています。『風の谷のナウシカ』の英文タイトルも「Nausicaa of the Valley of the Wind」ですから「ナウシカ」がオデッセイの「ナウシカア」からとっていることがわかります。
また造形や世界観の点でいえば、宮崎氏本人も認めていますが、メビウス(ジャン・ジロー)の漫画『アルザック(Arzach)』(1974年頃)から多大な影響を受けています。特に、白い飛行物体(メーヴェ)に乗って荒廃した世界を飛び回るナウシカを象徴する造形と、白い飛行生物を駆る造形の持つイメージには、類似の枠を越えた一致を感じます。
実際、宮崎氏自身がジブリアニメ『ハウルの動く城』(2004年)のDVDの付録映像として収められたメビウスとの対談で、影響を受けた事実を語っていますので、『風の谷のナウシカ』が『アルザック』から影響を受けたことは明らかです。

自分が知らないことは想像できない

しかし、宮崎氏は過去作品や資料を効果的に使い、先行作品のよいところを吸収し、まったく新しい名作『風の谷のナウシカ』を生み出しているわけですから、『アルザック』に似ているからといって、そのオリジナリティーを疑ったり、作品の評価を下げたりするような人はいないはずです。
『パクリの技法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
宮崎氏の作品を事例に紹介しましたが、筆者が言いたいことは実にシンプルです。「パクリ」と聞くと、すぐに盗作とか盗用をイメージしてしまうかもしれませんが、実際の「パクリとは何か」について考えてみてほしいのです。
「人間は自分が知らないことを想像できない」という当たり前のメカニズムのことを考えれば、むしろ、多くの知識、多くの情報から学び、そこからさまざまにパクっていくことが、真に魅力的で、オリジナリティーあふれるコンテンツをつくり出していく源泉であるはずです。
一方で、単にまねただけ、単に模倣しただけ、あるいは手続きや手法に不備があった場合の「パクリ」には、大きなリスクと問題が伴います。「パクリ」や「パクる」ことは決して悪い概念や考え方ではありません。悪いのは、「正しい知識と技術を持たない」ことなのです。

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