よみうりランドが描く「スーパー遊園地」の夢老舗遊園地はテーマパークに追いつけるか
よみうりランドのメリーゴーランドは馬だけでなく、マスコットキャラクター「グッド」に乗ることもできる(写真:よみうりランド) スギちゃんやゴー☆ジャス、キンタロー、安田大サーカス、メイプル超合金…。この大型10連休中、老舗の遊園地・よみうりランドが、日替わりで人気芸人を迎える「超お笑いLIVE 10連発」で集客を図っている。
よみうりランドは読売グループ傘下で遊園地や競馬場、ゴルフ場などのレジャー施設を運営するが、業績は好調だ。
4月22日に公表した2019年3月期の業績は売上高219億円(前期比4.9%増)、営業利益は32億円(同40.9%増)だった。夏のプールと冬場のイルミネーションが好調だったことで、1992年3月期以来、約30年ぶりとなる水準の営業利益をたたき出した。
ブチ上げた「スーパー遊園地」構想よみうりランドは2月6日、2029年3月期までの10カ年計画「飛躍」を公表。遊園地の集客を増やし、「スーパー遊園地」へ変貌させるというスローガンを掲げている。
手始めに、今秋〜冬に小動物のパフォーマンスが見られる「エンタメ植物園」を園内の日本庭園を候補地に開業するほか、スケジュールは未定だが、AR(拡張現実)を軸に映像技術を生かした「アート水族館」の開設や2016年3月に開業したモノづくり体験アトラクションエリア「グッジョバ!!」の拡大リニューアル、世界一を標榜する大型ジェットコースターの新設、プールの拡張などを計画している。
設備投資額は船橋競馬場の観覧スタンドの建て替え費用約100億円を含め、10年間で550億円を見込む。遊園地の入園者数は2019年3月期の191万人から2024年3月期に260万人、2029年3月期に433万人と10年で約2.3倍まで増やす計画だ。
よみうりランドは1964年に開園し、50年以上の歴史を持つ。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のように、空間全体を演出する「テーマパーク」ではない。
ジェットコースターや観覧車、垂直に昇降する絶叫アトラクション・フリーフォールなど個別のアトラクション体験が売りの典型的な遊園地だ。客層はファミリーや若者である。
高度経済成長期が過ぎた後もループコースターや大観覧車、ゴーカートのロングコースを相次ぎ投入。1988年には当時、世界最速とされた看板ジェットコースター「バンデット」もオープンし、頻繁にアトラクションを入れ替えて右肩上がりの成長を続けてきた。
ただ、バブル崩壊によるレジャー市場の縮小や、娯楽の多様化でアトラクション導入効果が持続するサイクルが短くなり、1990年代以降、年間の入園者数が60万人台に低迷したこともあった。
よみうりランドの杉山美邦社長は、トレンドに敏感になる必要がある遊園地経営の難しさを語った(撮影:今井康一) そこで近年は、600万球もの電球を用いた大規模なイルミネーションイベント「ジュエルミネーション」を中心に、各種イベントを積極的に展開。見事に再成長を遂げ、入園者数は2016年の193万人まで過去最高を立て続けに更新した。
だが読売新聞の記者出身で、2017年6月に社長に就任した杉山美邦氏は、「入園者数は足踏み状態。この業界は(新施設を開業しても)2〜3年も経てば飽きられてしまう」と危機感を募らせる。ここ数年は台風や酷暑といった天候要因もあり、200万人の大台を前に入園者数は伸び悩んでいるからだ。
ディズニー、USJを目指す理由杉山社長は「われわれは(相撲でいう)幕内だが、社員にはディズニーリゾート、USJという東西の横綱を目指せと言っている」と言う。だが、ディズニーリゾートやUSJに並ぶために「今までの遊園地の枠を超えていかないと発展できない」(同)ことは明白だった。
そこで2018年夏、全社員に対し「企業を飛躍的に成長させるアイデアを出してくださいと『夏休みの宿題』を出した」(同)。面白いアイデアを出した社員には、杉山社長自ら詳しく話を聞いた。
エンタメ植物園やアート水族館も、この時に飛び出したアイデアだという。例えば植物園は全国でシニア層を中心に人気を博しており、高齢化に対応して客層の拡大を狙うコンテンツだ。「全国の植物園を見てきたが、公立が多い。われわれはエンタメ性を加える」(杉山社長)。
遊園地の集客に、エンタメ植物園の年間30万人、アート水族館で130万人が加わることを想定する。現在はこの2つが公表されているが、「(典型的なタイプのコンテンツでは)全くないものもある」(杉山社長)と、同様に遊園地らしからぬ施設を検討している。具体的な方向性はまだ定まっていないようだが、伝統的なアトラクション以外のコンテンツを充実させる「スーパー遊園地」を目指している。
もちろん「スーパー遊園地」となる目的は単なる再成長ではなく、ディズニーリゾートやUSJに「集客力」で引けをとらない遊園地となるためだ。年間の入園者数で「東西の横綱」に並んで初めて「スーパー遊園地」と名乗れるといえる。
よみうりランドの約200万人という入園者数は決して少なくないが、オリエンタルランドの3000万人超、USJの約1500万人に比べると、1桁少ない。新宿駅から電車で25分という立地にもかかわらず、長崎のハウステンボスの300万人弱とは大きな差がある。
![]() アトラクションや新施設を充実させても、投資に見合った集客ができなければ、ディズニーリゾートやUSJに匹敵するような「スーパー遊園地」にはなれない。
カギは首都圏の認知度向上とインバウンド一般的な遊園地の場合、入園者の多くは周辺や地元の住民となる。よみうりランドの場合、現在の入園者の大部分は東京都と神奈川県の住民が占めており、拡大には近隣の北関東や甲信越での宣伝活動が不可欠となる。
もう1つ開拓の余地が大きいのは、訪日観光客(インバウンド)の取り込みだ。10カ年計画には「訪日外国人」や「海外」という単語が目立つ。現状、インバウンド客の割合はわずかで、「(インバウンドが)年間3000万人を超えてくる巨大なマーケットであることを自覚し、強化していく」と杉山社長は意気込む。
とはいえ、よみうりランドの入園者数が10年かけて計画通りに増えても、現在のUSJの半分以下にとどまる。ディズニーリゾートは大規模な拡張計画を、USJも大型のアトラクション導入を進めており、よみうりランドにとって両横綱の背中は遠くに位置している。老舗の遊園地が第3極の「スーパー遊園地」となる日は来るのか。 |

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