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ほうほう。

「平成のJ-POP」が令和時代に迎える変化の大波

音楽P・亀田誠治「ヒットの基準も変わる」

平成の音楽史と令和という新しい時代の音楽について語った音楽プロデューサーの亀田誠治(撮影:尾形文繁)
平成という時代に音楽業界の第一線でヒット曲を生み出し続けたのが、音楽プロデューサーの亀田誠治だった。前編では『「日比谷音楽祭」に懸ける音楽P・亀田誠治の真髄』として2019年6月1日・2日に開催される日比谷音楽祭の実行委員長としての思いを聞いた。後編では、平成の音楽史の振り返りとともに新元号・令和の時代に続く音楽業界の未来像をお届けする。(以下、文中敬称略)
「CDセールスがミリオンヒットを連発していた1990年代の黄金期、僕は街で鳴り響く流行歌やテレビの音楽番組を眺めては小林武史さんや小室哲哉さんすごいな、自分もいつかたくさんの人に聞いてもらえる音楽を作りたいな、と思いながら過ごしていました。
でも、今ではこれをラッキーだったと思っていて、アーティストの花が咲いては散っていく百花繚乱の様子を客観的に見ることができました。自分が音楽業界でどうなりたいかをじっくり考えられた時代でもありますね」
平成という時代の音楽史を振り返ると、1990年代〜2000年代前半はレコードからCDへの変革、通信カラオケの登場、ダウンロード配信など、音楽業界は激変した。ミリオンセラーが続出し、絶頂期とも言われた時代だが、亀田誠治には飽和してしまったJ-POP界に新しい風が必要だと感じていたという。
歩んだ道のりを平成の音楽史とともに振り返りながら、令和という新しい時代に続く音楽業界の未来像を語った。

全盛期が過ぎ、時代は新しい風を求めた

「お祭り騒ぎのようにCDが売れ、カラオケでみんながそろって同じ曲を歌うことに、僕はどこか息苦しさを感じていて、このままこの形が続くはずがないと思っていました。これほどエネルギーがあふれた時代が続くと揺り戻しがきて、それまでにない新しい風を人々は求めるものです。そんな時代に登場したのが、椎名林檎さんや宇多田ヒカルさんだったのではないでしょうか」
音楽業界の新しい風として宇多田ヒカル、椎名林檎というアーティストの名前を挙げた(撮影:尾形文繁)
CDの売り上げピークを記録した1998年に東芝EMI(当時)からデビューした“同期”である、椎名林檎と宇多田ヒカルに共通するアーティストとしての魅力とは何か?
「“陰りや湿り気”でしょうね」
音楽業界を黄金期を謳歌したアーティストが陽のエネルギーにあふれていたJ-POP界において、2人のカウンターカルチャーが新時代到来の風穴を開けた功績は、現在の音楽シーンに脈々と培われているといっても過言ではない。
亀田誠治が椎名林檎のプロデューサーとして、またミリオンヒットを連発するプロデューサーとして、音楽業界のメインステージへ駆け上がっていく過程で、宇多田ヒカルという存在の大きさが数多くの挑戦のきっかけを生んでくれた。
亀田誠治(かめだ・せいじ)/音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツなど数多くのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成し、2012年閏日に解散。 第49回、第57回の日本レコード大賞では編曲賞を受賞。『亀田音楽専門学校(Eテレ)』などを通じて次世代へ音楽を伝えている(撮影:尾形文繁)
「宇多田さんがものすごい数字を連発しながらナンバーワンとして業界を引っ張ってくれていたので、僕らはライブや作品を通してオンリーワンとして奔放で革新的なトライアルができ、(CDを売るという)ビジネス以上にクリエーティブな作品作りに没頭できました。椎名林檎さんの作品ってロングテールなんですよ。
ナンバーワンにならないことで、逆に幅広く浸透し長続きをして、リリースから何年か経ってからもタイアップで楽曲が使われています。それは芯を食った音楽リスナーが大人になりクリエーターになったからでもあるんですよ。
愛されているヒットという意味では、オンリーワンを目指したことで長続きするといった新しい風を感じました」
“ロングテール”は、インターネットが当たり前になった現代の音楽定額サービス(ストリーミングによるサブスクリプションモデル)においても、重要な意味がある。

ヒットの基準も変わる

2019年2月に日本レコード協会が発表した音楽配信実績によれば、2018年の日本のデジタル音楽市場でストリーミングサービスの年間売り上げが初めてダウンロード売り上げを上回った。また、2018年12月からオリコンランキングがストリーミングでの再生回数を織り込んだ合算チャートをスタートしている。
ヒットの基準は「売れた枚数」だけでなく「聴かれた回数」も重要になったわけだが、1回の再生でレーベル(レコード会社)に入ってくる金額は、ごくわずか。ビジネスモデルとしては、大きな利益を短期間で一気に取りにいくというよりも、長い期間をかけて、どれだけ聴いてもらえるかを目指す方向に変わっていくのだろう。
ここでグローバルな視点から音楽業界を見てみる。ストリーミングからの収益が7割を超えたアメリカの音楽市場が、ここ数年続けて大幅なプラス成長を達成(全米レコード協会調べ)。1990年代末から右肩下がりで減少を続けてきた世界全体の音楽市場も、2018年の売上高が前年比9.7%増の約2.1兆円、2015年を境に4年連続で拡大していることを国際レコード産業連盟が発表している。
亀田誠治は、日本のストリーミングによる音楽環境(スウェーデン発のSpotifyや、国内ではAWAをはじめとした定額制音楽サービス)の浸透が、海外に比べて遅れている現状に危機感を募らせる。
「定額だとだいたい1カ月当たり1000円、1年間で1万2000円ですよね。この金額はCDアルバムでいうと約4枚分。ですが、アルバムを1年で4枚必ず買う人はよほどの音楽ファンですよね。こういった層は減少していきます。一方で、月々1000円の定額課金であれば音楽業界全体にお金が行き渡ることも可能です。定額配信サービスならば何千万曲という曲が聴き放題です。
日本国内での音楽ストリーミングサービスの浸透が課題と話した亀田誠治(撮影:尾形文繁)
モノとしてのCDの所有率は減少するけれども、いつでも今と昔の曲が手に入るという状況を日本も早くつくらないといけないと思うんです。
ここで重要になるのがロングテールということ。聴かれた回数=ヒットの指数になるのが、よい曲を長く聴いてもらうためにも本当に公平だと思うんです。本当にいいねって思うものが評価されていく。とてもすばらしい時代になると期待しています」
ストリーミングサービスの普及によって、アーティストのスタイルも変わる。最近では、米津玄師の爆発的な人気など、楽曲制作からミュージックビデオまでセルフプロデュースできる新時代のミュージシャンも次々と登場している。

スマホ全盛時代の“音楽”とは

では新しい令和時代のヒット曲はどうなるのか?
「映像と音楽が一緒になって作品の世界観を届けることがますます重要視されます。映像クリエーターにとって、これからがチャンスの時代だと僕は感じています」
スマートフォンが日常的なツールとなった現代の若者たちは、スマホ内で見られるサイズのコンテンツに熱狂し、昔のミュージックビデオを作っても彼らのスタイルとは異なってしまう。スマホの普及によりコンテンツ制作において、ものを持たない、使わないという時代に移行している。
「この間、SHOWROOM代表の前田裕二さんと共演する機会がありました。ストリーミング映像の撮影がスマホ1つで済むんですよ。前田さんと話していて面白いと思ったのが、結局、今の若者は(昔のテレビのような)いくつものカメラでアングルを確保して、スタジオで撮ったものにまったくリアリティーを感じていない。
僕と前田さんがスマホの向こうで台本無しで話していることにリアリティーを感じているんですよ。僕らの世代はいいものを撮るにはスタジオでいいカメラを用意してって思っていたんだけれど、完全に価値観は変わっていますね。
スマホの画面を通してそこでしか起きない何かが起こってほしいという若者の願望がある以上、『このコラボでしか作り出せない音楽』『この時代でしかありえない音楽性』『この人でしかできないこと』に特化して音楽を作っていきたい」
同時に、人工知能(AI)が音楽業界に大きな影響を与えることも予測される。音楽とテクノロジーのクリエーター同士がより密接なコラボをして、革新的な形で音楽が楽しめるようになるのかもしれない。
一例だが、Spotifyはすでに、機械学習によるレコメンドサービスを強化し、ユーザーを誘導しているという。AIを活用したデータ分析で、多様化する視聴者のニーズに合わせたサービスを提供し始めている。
「音楽を作る人間として危機感はもちろんあります。この先、日本国内では人口が減少して音楽を聴く若い人たちは減っていく。正直、AIができることはAIに任せたほうがいいと感じています。人間は余力を使ってなにか新しいことが見つけられたらいいですね。作品作りというクリエイティブは、人間がやることなので、労力を使うデータ分析などはAIを活用すればいいんですよね」 
もちろん何が求められているかのニーズ分析ができれば、ヒットする可能性のある新人発掘などにも活用できるだろう。AI×音楽には大きな可能性を秘めている。亀田誠治は、また違った視点でAI時代の夜明けを捉えていた。

令和時代へ音楽人としての決意

「喜びも悲しみも“life is music”の言葉そのもの。音楽プロデューサーだからって世の中の人が憧れるような豪華な生活ではない」と苦笑する。
24時間365日、音楽のことしか考えていないと話した亀田誠治。音楽以外からインスピレーションを得たときは、それが自分の音楽作りにつながるように心の中でつねに考えている、そんな日常だという。
「1つのプロジェクトが終わっても、また次のプロジェクトが始まって結局、終わりがない。でも、つねに動き回っている日常で代謝が高まっているので、仕事に煮詰まることはないですね」
誰かの役に立ちたい。そんな気持ちで亀田誠治は日々音楽プロデューサーとして活動している(撮影:尾形文繁)
音楽プロデューサーとして求められる需要に応えたい気持ちが、大きなモチベーションになっているという。
「放っておけないという感じですかね。長男を育てているときに機関車トーマスのアニメを一緒に見ていたんですけれど、トーマスがいるソドー鉄道局長トップハム・ハット卿が機関車たちに向けて言う『誰かの役に立つ存在になってほしい』っていう言葉が大好きなんです。
自分も、役に立ちたい気持ちでアーティストと向き合って音楽を作っていて、僕の理念や考えが人のためになったらうれしいです」
亀田誠治は、平成の音楽業界の中で、ヒット曲(コンテンツ)を作り、日比谷音楽祭(プラットフォーム)の実行委員長もつとめるなど時代によって多様化する音楽業界の中で挑戦を続けてきた。
時代の舵取り役として全体のバランスを客観的に見つめながら新しい音楽を生み出してきた姿は、時には大胆に振り切る自身のベースプレイにも重なってみえる。それは、音楽人として本気で時代と向き合っている証しなのかもしれない。

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