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「マルチタスク」での仕事が極めて非効率な理由

アスリート並みに集中するための4つの方法

あなたはマルチタスク派ですか?シングルタスク派ですか?(写真:Elnur/PIXTA)
「今日はもう集中力が切れてしまった……」「どうしても仕事に集中できない……」誰にでもそんな日があると思います。とはいえ、仕事は減ってくれないし、集中できないままダラダラとやり続けているうちに残業してしまう……。身に覚えのある方も多いことでしょう。
どうすれば集中力を保ったまま、仕事に取り組めるのでしょうか? この記事では、記憶術・勉強法の専門家である宇都出雅巳さんの新著『図解 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』の内容を抜粋・再構成して、この疑問にお答えします。

マルチタスク派? シングルタスク派?

仕事の進め方は大別すると、複数の仕事をこなす「マルチタスク」と、1つの仕事に集中する「シングルタスク」に分けられます。
このうちどちらがより効率的なのか、議論になることも多いようですが、筆者としては、シングルタスクをおすすめします。それは、「マルチタスクは集中力のロスが多すぎる」からです。
複数のタスクを素早く切り替えながら進めていると、なんだか「デキる人」になった気がするかもしれません。しかし、その裏では貴重な集中力がムダづかいされています。というのも、タスクを切り替えるときには、それぞれの仕事に必要な情報をいちいち記憶から呼び出し直さないといけないため、集中力のロスが生じてしまうからです。
例えば、同僚に話しかけられたり、電話が入ってきたり、メールをチェックしたりして仕事が中断された後、元の仕事にすぐには戻れない、といった経験をしたことはないでしょうか? これが集中力のロスです。
わずかなことなのであまり意識しないかもしれませんが、1日に何度もタスクを切り替えれば、そのロスはかなりの量になります。
このロスを考えると、一見「デキる人」のように見えるマルチタスクは実は非効率だとおわかりいただけるでしょう。
とくに現代はニュースやメール、SNS、各種アプリのプッシュ通知などによって仕事が細切れに中断される機会が増えています。つまり、自然とマルチタスクになりやすい環境なのです。
まずは自分でコントロールできる範囲のことはできるだけシングルタスク化を徹底しましょう。そのうえでスマホやネットを意識的に遮断し、マルチタスク化を防ぐことが重要です。
1つのことに集中するシングルタスク。その究極の形が「ゾーン」や「フロー」と呼ばれている状態です。スポーツの話題などで聞いたことのある方も多いことでしょう。
ゾーンに入った状態では、一切の雑念がなくなり、対象に意識が集中しています。とはいえ、一所懸命に対象に注意を向けようとしているのではありません。自然と注意が向いている、言わば、自分と対象とが一体化した状態になっています。
このため、情報処理の精度も高く、頭の回転が速くなったように感じられます。視野は狭くならず、自分自身も含めて状況を広く捉えられています。仕事がはかどるのも当然です。

ポイント1:ルーチン

いつでもこの状態に入れれば理想的ですが、「ゾーンに入れ」と言われたり、自分に言い聞かせたところで入れるものでもありません。ただ、ゾーンに入りやすい条件や方法はあります。
ここからは、その具体的な方法について4つのポイントに分けて詳しく解説していきます。
先ほどお伝えしたように、ゾーン・フローが注目されだしたのはスポーツの分野からです。さまざまな研究により、多くの一流選手がこの状態を活用していることがわかっています。
そして、ゾーン・フローに入るためにアスリートが行っていることとして注目されているのが「ルーチン」と呼ばれる、一連の決まった行動です。
これは、その行動をする中で自分が集中できる世界に入っていく、いわば「脳のプログラミング」です。先日、現役を引退したイチロー元選手のバッティング前の一連の動作も、ルーチンの1つです。
ルーチンはちょっとした動作で十分です。図の例を参考に、ぜひ自分に合ったルーチンを見つけてみてください。
ルーチンからゾーンに入るのは鍛錬が必要ですが、環境を整えることは、訓練不要で、だれでもできます。そのポイントを時間と空間(視覚&聴覚)という観点から整理しました。
・時間…おすすめは早朝
脳は寝ている間に記憶を整理します。このため起きたばかりの脳はスッキリした状態です。また、早朝は活動している人も少なく、注意を削がれる要因が少ないので、仕事は間違いなくはかどります。
・空間(視覚)…注意を引くものから逃れる
漫画『スラムダンク』の作者・井上雄彦氏が、ネームを書くときの場所はお気に入りのカフェ。その理由は「家や事務所だと誘惑が多すぎるため」。あえて情報を遮断できる空間に身を置くのです。なお、要注意はスマホ。あえて持っていかない、もしくはカバン奥深くにしまいましょう。
・空間(聴覚)…静寂よりも適度な雑音
静かな空間がゾーンに入りやすいと思うかもしれませんが、静かだと小さな音でも気になり、実は逆効果です。むしろ、カフェなど適度にざわざわした空間が、音が背景となり気になりにくいもの。もしくは、おなじみの1曲もしくは数曲をリピートして聞くと、リピートするなかで音楽が背景となり効果的です。

ポイント3:仕事を分解・具体化する

なかなか取り組み始められない、集中できない仕事は、だいたいが以下のようなものです。
・何から手をつけていいかよくわからないくらい壮大な仕事
・とにかく手間がかかる面倒な仕事
・締め切りが曖昧な仕事
これらに共通するのは「今、何をするか」が明確になっていないこと。いくらやる気があっても、やることが明確でないと行動できません。まずは仕事を細かく分解して、具体的にしていきましょう。
例えば、本のタイトルを決めないといけないとします。期限はまだ先ですが、早いにこしたことはありません。タイトルの考え方や決め方については自由にやっていいと言われています。さて、このような仕事でゾーンに入ることができるでしょうか?
まず、タイトルを決めるということは、さまざまな案を出して、その中から絞り込むということです。この時点で仕事が2つに分解されました。また、案出しでは方向性を3つ考え、それぞれの方向性で10案ずつアイデアを出すなど、プロセスを分けることができるはずです。
また、それぞれにかける時間を割り振っておけば、少なくとも「今日、会社を出るまでに自分がすべきこと」は明確になるでしょう。
マラソンに例えれば、42.195kmを完走することが最終ゴールであったとしても、まずは目の前の5kmに意識を向けることです。
仕事の速い人は仕事を具体的に明確にすることをすぐにやっています。
これによって、自分がいま何をすべきなのかが明確なので、迷いなく仕事に取り掛かり、ゾーンに入りやすくなります。結果的に人より早く仕事を終わらせているだけなのです。
あまりに簡単なゲームは刺激が少なすぎてハマる人はいません。逆に極端に難しすぎても、やる気が失せてしまいますよね。これは仕事でも同じです。仕事の適難易度がゾーンに入れるかどうかを左右するのです。
こう言うと「仕事は上司から与えられるものだから難易度は変えられない」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、はたしてそうでしょうか。

仕事のレベルを自分で上げる

例えば、データ入力の仕事を与えられたとします。「こんなの簡単でつまらない」というレベルの仕事です。そのままのテンションで作業をはじめてもゾーンに入れないことは目に見えています。
そんなときは、仕事のレベルを上げましょう。
例えば「普段なら30分かかるけど、今回は15分で終わらせる」といったように、あえて難易度を上げるのです。コツは達成できるかどうかギリギリのラインに設定することです。
逆に極端に難しい仕事を与えられたら、少しレベルを下げてみましょう。例えば、上司から分厚い専門書を渡されて「明日までに勉強しろ」と言われたとします。パラパラとめくってみても知らない用語だらけで、すべてを理解することはまず不可能です。
そんなときは、とりあえず目次と各見出しだけは見て、細かいところは読まずに大枠だけ捉えたり、自分にとって少しでもなじみがある、興味の持てるところから読みはじめたりしましょう。それだけで難易度は現実的なレベルに落ち着きます。
『図解 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)
このように、与えられた仕事であっても難易度の調整はできます。あとは自分がゾーンに入りやすい「適度な難易度」とはどれくらいのものなのかを知っておくだけです。
まとめると、以下のようになります。
1、自分のルーチンを確立する
2、集中しやすい環境に身を置く
3、いまやるべき仕事を具体的にする
4、簡単すぎる仕事は難易度を上げる、難しすぎる仕事は難易度を下げる
以上のことを実践すれば、あなたも仕事中にアスリート並みの集中力を手に入れることができるでしょう。

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(* ̄- ̄)ふ〜ん

敵を友人に変える「ニューロハックス」の威力

UCLA医学部教授が教える「脳をだます」技術

「行動を続けるには、まずそのことを頭で考えなければならない」と思われているが、それは逆なのだという。簡単に「なし遂げる力」を高める「ニューロハックス」とは?(写真:LeoPatrizi/iStock)
世間一般では、“心を変えれば行動も変わる”と考えられている。自己啓発書やビジネス心理学書も、「不安を克服する」「できる営業担当者になる」「幸せになる」といった目標を実現するには、まず考え方を変えろと説いている。
しかし、どれだけ自己啓発書を読んでも、心をコントロールするのは簡単ではない。何年かけても、“心を変えることで行動につなげる方法”は学べない。なぜなら、前提となる考えが間違っているからだ。
だが安心してほしい。簡単に「なし遂げる力」を高める、科学的に裏付けられた「ニューロハックス」と呼ぶ方法がある。脳をだますトリックを使う方法で、敵を友人にすることもできてしまうほどだ(決して悪用しないで欲しい)。
今回、「ニューロハックス」について、『UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」』から抜粋し、一部編集のうえ掲載する。

ニューロハックス=「脳をだますトリック」

世間一般では、「行動を続けるには、まずそのことを頭で考えなければならない」と思われている。だが、それは発想が逆なのだ。つまり、まず小さな行動を起こし、それを頭で認識することによって、行動を続けられるようになる。
『『UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
このときにカギを握るのが自己認識だ。人は、自分自身をどう捉えているかに基づいて行動をとることが多い。
ブログを書き終えるか、カクテルを飲むか? あと10分走り続けるか、残りは歩くか? もう一日禁酒を続けるか、誘惑に屈してアルコールを解禁するか?
こうしたときに影響するのが、過去に似たような状況でとってきた行動と、その経験を通して自分自身に抱いているイメージだ。ブログ記事を書き終えることを習慣化している人は、途中でやめて酒を飲んだりはしない。過去の経験によって“すべきことを終えてから休憩をとる”という自己イメージが培われているので、それに合わせた行動をとるべきだという心理が働く。
ランニングをあと10分間続けるかどうか、禁酒をもう一日続けるかどうかも、過去の行動を通して自分をどう認識しているかに左右される。“あと一踏ん張り”を繰り返してきた人は、その自己イメージを保つために、苦しい状況でも、それまでと同じような行動をとろうとする。
「これまでのビジネスは全部失敗してきた。次もダメだろう。自分はどんな商売をしても失敗する」という自己認識を抱いていると、本当に将来的に失敗しやすくなる。自己啓発書を読み、“自分は失敗しない”と言い聞かせるだけでは、このネガティブな思考パターンからは抜け出しにくい。新しいビジネスを始めても、経営が厳しくなった途端、自動的に過去の失敗を思い出してしまうからだ。
ニューロハックスでは、心を変えようとするのではなく、まず行動から始める。行動によって心をリセットし、“私はいつも失敗してばかりだ”という自己イメージを変えていくのだ。
例えば、“親切な人になりたい”と頭で考えるのではなく、困っている人を実際に助けてみる。そうすることで、親切な人になれる。そこでつくられた自己認識によって、親切な人であり続けることは簡単になる。
これがニューロハックスの基本的な考えだ。これは心をリセットするための簡単な心理的トリックだ。それまではできなかった方法で自分自身を捉えられるようになり、それまではできなかったことを続けられるようになる。これは自分にも他人にも使える。

行動を振り返ることで、心をリセットする

ニューロハックスは、自分に対してだけではなく、他人にも使える。相手に過去の行動を振り返らせ、それまでとは違った視点を持たせることで、以前はできなかったことをできるよう仕向けられるのだ。
例えば、ニューロハックスによって、「自分は高級品を使う人間だ」という自己イメージを抱かされた人は、そのイメージを保つために「プレミアムサービス」のような高額な製品を買い続けるようになる。
ニューロハックスは、次の2つの心理的プロセスによって人の行動を継続させる。
①人は、誰かに強いられることなく自ら選択して何かをしているとき、それを重要な行動だとみなす。
②人は、過去の行動を振り返ることで自らのアイデンティティを形成する(自己イメージの一部となった行動を続けようとする)。
ベンジャミン・フランクリンが2期目の議員を務めていたとき、ある議員から、評判を貶めるような長い演説をされた。同じように相手を侮辱する発言をすれば短期的には効果があるかもしれないが、長い目で見ればキャリアを傷つけるものになるだろう。
とはいえ、このまま相手に批判されっぱなしにしておくわけにもいかない。どうにか敵を味方に取り込む方法はないものかと思案したフランクリンは、敵の心を変えて仲間にするために、あるテクニックを用いた。それはまさに、ニューロハックスだった。

敵を友人に変えた心理的トリック

その議員が希少本を所有しているのを自慢にしていることを知ったフランクリンは、手紙を書いてその本を借りたいと伝えた。気をよくした議員からすぐに本が送られてきたので、丁寧な礼状を書いた。
この小さな行為が、2人の関係を劇的に変えた。フランクリンのキャリアにも傷がつかずに済み、ライバルの心にも大きな変化が生じた。敵同士は本を貸し借りしたり、丁寧な手紙のやり取りをしたりはしない――そう認識した心が、リセットされたのだ。次の議会で顔を合わせたとき、議員の方からフランクリンに近づいてきた。
以来、2人は友人になった。友情は生涯にわたって持続した。フランクリンはこの体験から、ライバルに心理的なトリック(ニューロハックス)を仕掛けることの重要性を学んだと認めている――「一度親切に振る舞ってくれた人は、その後も進んで親切にしてくれるようになる。誰かと敵対的な関係を続けて嫌な思いをするよりも、細やかな心配りをして敵意を取り除こうとする方が、よほど有益だ」
フランクリンは議員に、自分との関係についての考えを改めるように仕向けた。フランクリンのことを敵でなく友人だと考える、新たな自己イメージを抱かせたのだ。ライバルはこの自己イメージと一致した行動をとるために、友人のフランクリンに対して親切に振る舞うようになった。
フランクリンは相手によい行動(友達になる)をとらせるためにニューロハックスを用いたが、相手に行動をとらせ、その行動を振り返らせることで心をリセットするというニューロハックスのトリックは、あらゆる行動に使える。
たとえばテロリスト集団は、人々を組織に引き込むためにニューロハックスを使っている。組織のウェブサイトを見たり、詳しい情報を見るためにサイトに登録したりした人に、それまでとは違った考えを持つように仕向けるのだ。
その結果、「自分はテロ組織に興味があり、もっと知りたいと思っている人間だ」という新たな自己イメージを抱くようになった人は、(自らをテロリストと見なしたり、危険な行為をする意志を持っていたりしなくても)テロ組織の理念にそれまでより共感を覚えるようになる。この新たに形成されたセルフ・アイデンティティーによって、その人がテロ組織に関わる可能性は高まっていく。
恐怖の対象に思い切って飛び込むのも、ニューロハックスだ。ある研究では、女性をデートに誘うこともできず、不安やぎこちなさ、男性としての自信のなさを感じている男性被験者を、女性とペアになって12分間会話をさせたところ、「不安やぎくしゃくした振る舞いが減ったと感じる」と感想を述べた。
この効果は翌日になっても消えなかった。半年後のフォローアップ調査でも、被験者はそれまでよりもはるかに社交的になったと感じ、女性とも頻繁にデートをするようになっていた。

心は変えなくていい、まずは動こう!

私たちが現実世界で直面する問題には、目に見えないものがある。それが心の中で起きているからだ。大きな苦しみの原因である自己評価の低さや抑うつ、中毒症、痛みはすべて、脳内で生じている。
世間一般では、不安などの精神的な問題であれ、趣味を続けられないといった些細な問題であれ、それを乗り越えるには“まずは心を変えるべきだ”と考えられている。思考を変えれば、行動が伴う、と。
だが、“静止している物体はそのまま動こうとせず、動いている物体はそのまま動き続けようとする”という慣性の法則に似て、「なし遂げる力」も、心を変えることではなく、まず動くことから始まる。ランニングシューズを履くことを夢想するのではなく、実際に履くことによって変化は起こる。これがニューロハックスの原理だ。
人類は、飛行機やコンピューター、新しいワクチンを開発するために数百年前から物理学の法則を用いてきた。これと似た力を活用するニューロハックスは、私たちが行動を通じて人生や世界を変えるために使える、行動の力なのだ。

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(* ̄- ̄)ふ〜ん

AIを使えば、「農業こそ休日」が現実になる

就業人口減少の裏で進むスマート農業の本当

inahoが開発した野菜収穫ロボット。農作業に費やす時間の大幅短縮を目指す(撮影:梅谷秀司)
「働き方改革」は決してオフィスにいるホワイトカラーだけのものではない――。
横浜市青葉区で農業を営む金子栄治さん。2018年7月からミニトマトの栽培を始めた。これまで10年間ほどイチゴを作っていたが、2011年の東日本大震災を機に、さまざまな経験を積もうといったん休止。農業指導でタイへ出かけたりもした。
ミニトマトで農業を再開するにあたり、金子さんがビニールハウスに導入したのが「ゼロアグリ」だ。ゼロアグリとは、土の中に張り巡らした点滴チューブから、水や肥料を自動的に供給する土壌環境制御システム。ハウス内に設置した各種センサーの情報を基に、AI(人工知能)が最適量を判断し、供給してくれる。現状確認や設定変更はパソコンやタブレット、スマホからでも可能だ。

毎日1時間の水やりが1週間で30分に激減

「農業では水やりが重要だが、とても手間のかかる作業。イチゴのときは、水やりの後でテンシオメーターを使って、土中の水分量を確認していた。それをゼロアグリでは自動でやってくれるので助かっている」(金子さん)
ゼロアグリの導入で、水やりの作業が格段に楽になった(金子さんのビニールハウス。撮影:今祥雄)
金子さんの場合、障がい者雇用にも積極的に取り組んでいる。水やりで中断されることがないため、障がい者への指導にも集中できる。ミニトマトは初めて手がけた作物だが、収穫・出荷も順調とのことだ。
ゼロアグリはネットワーク関連機器から農業IT分野に進出したベンチャー、ルートレック・ネットワークスが開発したもの。そのキャッチコピーは「農業に休日を!」だ。
あるトマト農家に導入した結果によれば、ゼロアグリによって、今まで1日1時間かけていた水やりや施肥の作業が1週間に30分間で済むようになった。人手がかからなくなったことから、栽培面積を3倍に増やすことができたという。単位面積当たりの収穫量についても、従来の慣行的な農業に比べて27%アップした実績がある。
農業のIT化、自動化というと、植物工場やハイスペックな鉄骨ハウスが思い浮かぶ。が、「ゼロアグリのターゲットは日本の施設園芸の大半を占める一般的なパイプハウス」(佐々木伸一社長)。そこではデジタル化がまだ進んでいないため、市場開拓の余地が大きいとの判断からだ。
自然相手の仕事なので、片時も目が離せず、一年中休みがない――。そうした従来の農業のイメージを覆そうとするゼロアグリ。まさに農業の「働き方改革」への挑戦だろう。
農業にも働き方改革が求められる背景には、農業就業人口の減少がある。過去20年間でみても、2000年に389万人だった人口は、2016年に200万人を割り込み、2018年は175万人と減少が止まらない。基幹的農業従事者の平均年齢は66歳超。人手不足や高齢化は深刻であり、これまでの働き方を続けていくことが困難になっている。
「せっかく作っても人手が足りず収穫できない」。そうした農家の悩みを聞き、野菜収穫ロボットの開発に乗り出したのが、鎌倉市に本社を置く農業ITベンチャーのinahoだ。
不動産コンサルやWebサービスを手がけてきた菱木豊社長は、あるとき近隣の農家から、「雑草を取るロボットを作ってくれないか」と相談を受けた。さらに多くの農家にヒアリングする中、収穫の自動化に対するニーズが高いことを実感。農業分野に参入すべく2017年にinahoを設立した。
inahoの菱木社長(左)と共同経営者で技術を担当する大山宗哉COO。農業の新たなビジネスモデルを探る(撮影:梅谷秀司)
開発した収穫ロボットは自律走行型で、現在はアスパラガス向けが対象。地面から伸びている長さによって、収穫時期かどうかをAIで判断し、ロボットアームで刈り取っていく。日差しなどの環境が日々変化する中で、正確に収穫の是非を認識するのに苦心したという。
すでに佐賀県鹿島市に支店を設置。自動車で30分以内の農家を対象に、この5月から本格展開を始める。初年度は40台が目標だ。

機器は売らず、売上高の15%を徴収するモデル

当初は機器販売を考えていたが、初期投資の金額が大きくなると、農家の抵抗感も高まる。そこでロボットの収穫量に市場価格をかけた売上高の15%を徴収するビジネスモデルを採用した。ロボットには収穫した作物の重量を測定する機能が組み込まれている。
「売り切りではないので、バージョンアップも当社の判断で、機動的に行うことができる。性能が向上して収穫効率が高まれば、農家にもプラスになるし、当社の売上高もアップする」(菱木社長)。年間を通して稼働率を高めるため、今後は対象作物をキュウリやトマトなどにも拡大する。
ITやロボットを駆使した新たな農業は、「スマート農業」と呼ばれる。農業の産業構造を大きく変えるものとして、クボタヤンマー井関農機といった大手農機具メーカーから、上述した2社のようなベンチャーまで、多種多様なプレーヤーが開発競争を繰り広げている。
就業人口の減少に歯止めをかけ、産業として活性化させていくためには、新規就農者を増やしていかなければならない。いかにして、熟練農家のノウハウを新規就農者に伝えていくかは、農業にとって重要な課題だ。省力化に加え、熟練農家が持つ暗黙知の「見える化」という観点からも、ビッグデータ活用をはじめ、農業のIT化への期待が高まっている。
政府も政策面から後押しする。農林水産省では2013年に「スマート農業の実現に向けた研究会」を設置。内閣官房のIT総合戦略本部では2014年に「農業情報創成・流通促進戦略」を策定した。
そして、今年4月に本格稼働したのが、「農業データ連携基盤」(WAGRI)だ。
スマート農業を発展させていくためには、農地や土壌、気象、生育予測などの情報や、実際の農作業から得られる栽培履歴や収穫量などのデータを連携させ、有効活用することが必須になる。異なるメーカーの農機具を使って得られたデータの相互利用が可能になり、どのITベンダーが提供する栽培管理システムでも自由に使えるようになれば、農家は自分の農地に合った最適なサービスを選択できるようになるだろう。
そうした農業データの連携、共有、提供を可能にするプラットフォームとして構築されたのが、WAGRIである。WAGRI協議会の会長を務め、農業IT化を推進してきた神成淳司・慶應義塾大学教授は、「今後は生産だけでなく、流通や小売りの情報もWAGRIで連携させ、スマートフードチェーンを構築していく」と語る。
農業の分野はIT化が出遅れていた分だけ、伸びしろは大きく、それだけ改善余地の度合いが大きい。

農業でもスマホやタブレットが当たり前に

「スマート農業を契機に農業のデジタル化が進むことによって、農村生活全体にも大きな構造変化が起こる」と日本総合研究所の三輪泰史氏は指摘する。
日本総研の農業ロボット「MY DONKEY」(写真:日本総研)
三輪氏は農業のエクスパートとして、調査研究や事業開発を担当、各種の政府委員も務めている。日本総研でも自律多機能型農業ロボット「MY DONKEY」の事業化を進めている最中だ。
日本総研が提唱するのが「農村デジタルトランスフォーメーション(農村DX)」。スマート農業が普及すれば、農村でITインフラが整備され、農業従事者もパソコンやタブレット、スマホを持つのが当たり前になる。そうなれば、農業と連携した新たな生活サービスが農村で生まれてくる。それは、農村生活の質を向上させることにもつながる。
例えばスマート農業とシニア向けサービスの連携。農業ロボットの作業履歴は、そのまま農業者自身の活動履歴でもある。データは高齢者見守りや健康管理などのシニア向けサービスにも利用できる。あるいは、ドローンによる農地・農作物のモニタリングを、道路などの公共インフラの維持管理に活用。警察や警備会社と連携すれば、農村の安心安全にも役立つだろう。
IT化がもたらす農業の「働き方改革」。それは農村生活そのものを一変させる可能性すら秘めている。

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へぇー。

浮かれた株式相場が払うことになる巨額のツケ

ますます行きすぎる楽観、現実は一段と悪化

日経平均も一見堅調だが、実は経済はかなり悪化している。筆者はいずれ株は大きく下落すると読む(撮影:尾形文繁)
アメリカでは、引き続き「楽観に過ぎる相場」が続いている。アナリストの平均値では、2019年1〜3月期の主要企業の1株当たり利益は、前年比で減益との予想が有力だ。

当初の決算発表の勢いだけで膨らんだ楽観論は「脆い」

ところが、たまたま決算内容がよい企業の発表が先行した(これは偶然先行したに過ぎない)。そのため、市場では「アナリストの見通し数値は慎重すぎるのではないか」といった「勝手な楽観のレッテル貼り」が優勢となり、株価指数は堅調な推移をたどった。S&P500やナスダック総合指数は史上最高値を更新し、NYダウ平均も最高値に肉薄している。
しかし、そうした当初の決算発表の勢いだけで膨らんだ楽観論は、それだけに脆い。キャタピラー、3M、インテルなど、期待を裏切る実績(キャタピラーは全体の利益ではなく、中国向けビジネスの想定以上の不振)や自社の収益見通し(インテル)の公表が、当該銘柄の株価だけではなく、株価指数全体を大きく下振れさせるような局面も、先週はしばしばみられた。
とは言っても、そうしたアメリカの企業の収益に対する「正しい」警戒による「正しい」株価指数の下振れは、今のところは長続きせず、株価指数はそのたびごとにザラ場(日中値)安値から切り返してきた。
この株価の堅調推移の背景として、いくつか誤った解説がみられる。たとえば4月26日(金)の株価持ち直しの理由として、当日発表された1〜3月期の実質経済成長率(実質GDPの前期比年率)が3.2%増と、2018年10〜12月期の2.2%から伸びを高め、事前予想の2.0%増を上回ったことを好感したからだ、という報道が目に付く。
ところが、同日は午前8時半(現地時間)にGDPが発表されたが、寄付きからしばらくは、前述の「インテルショック」で株価指数は下振れした。GDPについても、「在庫投資がGDPを押し上げた度合い(寄与度)が前期から拡大している」、つまり「それなりに生産高は膨らんだが、売れずに在庫に積み上がった度合いが大きくなっている、これはそれほど景気が良いと言える内容ではない」、との慎重な評価が優勢だった。株価指数が上振れを強めたのは、午後に入ってからなので、GDPの数値が株価を押し上げたとは理解しがたい。
つまり、先週末のアメリカの株価指数の動きは、インテルの収益見通しが、楽観に過ぎる投資家の見解をいったんは腰折れさせた。だが、これまで株価指数が上値追いをしてきたため、その株価の勢いに釣られた心理的な楽観が解消されず、「何となく大丈夫だろう」という投資家が午後から押し目買いを強めた、ということに過ぎなかったのではないだろうか。
すなわち「楽観論の勢いの尻尾」あるいは余勢が残っているだけで、実態面の裏付けを欠いていると考える。いずれ企業収益の減益という事実が、楽観の尻尾をつぶしにくるのではないかと懸念する。

アメリカの株式市場では、物色の広がりが弱い

またアメリカの株式市場で、物色の動きをみると、前述のように、 NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数といった株価指数は強い。だが、より多くの銘柄から算出されているラッセル2000は、最高値から9%ほど下に位置する。つまり、幅広く多くの銘柄が買い上げられているわけではなく、特定の銘柄に買いが集中している状況だ。
さらに、好調に推移しているS&P500指数の中身を見ると、S&P500指数のなかに、バリュー指数(割安株指数)とグロース指数(成長株指数)というものがある。「バリュー÷グロース」の比率を計算してみると、2000年のITバブル期にならぶ低水準だ。
つまり、ITバブル期は、その名の通りIT株(当時の代表的なグロース株)ばかりが買われ、その行き過ぎが崩壊して全体相場が下落したという動きになった。今回もグロース株(いわゆるGAFA株などを含む)ばかりが買われている、という状況だ。GAFAなどの「花形銘柄」を、実態の裏付けを欠きながら、株価の勢いを頼みに買い上げよう、といった足元の物色の柱がそのうち力尽きて、ITバブル期と同様の結末に進めば、株価全般の大きな調整が生じかねない。
こうした「浮かれ相場」は、アメリカの株式市場だけではなく、社債市場でも目に付く。昨年末は企業収益に対する警戒から、社債が全般に売られていたが、株式市況の楽観と並行的に、目先の高利回りにも誘われて、企業の財務リスクを軽視した社債の買いが再発している。株式市場でも債券市場でも、「懲りない面々」による危険な物色動向が強まるばかりだ。
日本でも、アメリカの株価ほどの上値追いは見せていないが、日経平均株価は2万2000円台で底固い推移を続けている。しかし実体経済をみると、前回のコラムで指摘したように、国内経済の動向を示す3月の消費者信頼感指数や景気ウォッチャー指数は不振であった。
その後公表された日本の経済統計をみても、特に4月17日に発表された3月の輸出額については、総額が前年比2.4%減だったが、特に中国向けは9.4%もの落ち込みを示している。日本以外で3月の貿易統計を既に発表した国は少ないが、シンガポールからの輸出統計でも、3月の中国向けの輸出額は8.7%減だ。内外株式市場では、3月の中国の経済統計が持ち直したため、中国経済は景気対策の効果が表れて回復に向かっているとの楽観が広がったが、そうした見解は怪しいのではないだろうか。
さらに、4月26日に公表された3月の鉱工業生産は、2月の前月比0.7%増から反落し、0.1%ほどの減少になる、という事前予想だったが、実際にはより大幅な0.9%減となった(前年比では4.6%減)。この鉱工業生産は、景気全般の動向を示す、景気一致指数の計算に用いられる。同指数は昨年10月から悪化の様相が強まっているため、慎重なエコノミストの間では、既に日本経済は昨年秋から景気後退期に突入しているとの説が囁かれている。3月の鉱工業生産の悪化により、景気一致指数はさらに下振れをする可能性が強まったと言える。
こうした経済環境の悪化もあり、アナリストは企業収益見通しの下方修正を続けており、どこまで予想値が下がっていくのか、メドが立ちにくい。このため、予想PER(株価収益率)で株価水準の割安さを議論することができない(予想PERが役に立たない)。足元では3月本決算企業の決算発表が始まっているが、内容が悪いものが既に多く目に付くようになっている。
筆者は、当初は日本経済について、10月からの消費増税以外に特に悪材料はなく、年後半にアメリカ経済が後退期入りすることで、足を引っ張られて悪化するだけだろう、と予想していた。ところが筆者のそうした見通しは、余りにも楽観的過ぎたようだ。アメリカの経済が(これから悪くなるが)まだ悪くなっていないにもかかわらず、日本経済が独立独歩でどんどん悪化している。日本の株価見通しについては、年央辺りに日経平均が1万6000円に下落する、という予想値を下方修正する必要はない、と考えているが、そのような見通しで大丈夫かどうかは、今後も景気実態を点検しながら考えていきたい。

連休中に「海外勢の仕掛け売り」はあるか

さて、日本は長い連休に突入した。読者の方々は、多くが楽しく長期連休をお過ごしになっていることと思う。筆者は365日営業の零細自営業者なので、連休滑り出しの週末も、セミナー講演のため、大阪に出張していた。交通機関は、やはり家族連れなどで大変混雑しており、連休中の支出拡大が期待される。
しかし、昨年もそうだったが、連休中に財布の中身が軽くなってしまい、その反動の節約ムードが、連休明けにかなり強まるのではないだろうか。消費者心理の悪化を踏まえると、昨年以上に5月中旬以降の個人消費が落ち込むと懸念される。
さらに連休中に海外の株価や為替相場がぶれるのではないか、との声も聞かれる。ただ、向こう1週間程度は、とりわけ海外で悪材料が控えているわけでもないし、よく唱えられる「海外投機筋の仕掛け」説についても、別に仕掛け的な売買が膨らむと決まっているわけでもない。したがって、連休明けの日本の株式市況が、ギャップアップやギャップダウン(前営業日の終値からかけ離れた水準から次の市況が始まること)するとは限らない。
ただし為替については、先週の日米財務相会談では、アメリカ側が何らかの為替に関する協定を盛り込みたい一方、日本側はそれを避けたい、という温度差が目立つ結果となった。日米首脳会談では特に強硬な要請はなかった模様だが、ドナルド・トランプ大統領は何らかの成果を急ぐような姿勢を示したとの報道もあり、米ドル安・円高の思惑が(連休中とは限らないが)広がる恐れはある。
では、読者の皆様、引き続きよいお休みを。筆者は当コラムの執筆も含め多くの仕事があるが、本当にありがたいことだ。皆様のご愛読に、心より感謝申し上げたい。

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(* ̄- ̄)ふ〜ん

「社員の思いつき」を否定する会社がマズイ理由

「空気を読まない一言」が組織を活性化させる

なぜ「自信を持つ」のは難しいのか?(写真:Yagi-Studio/iStock) 
臨床に携わる一方、TVやラジオ番組でのコメンテーターや映画評論、漫画分析など、さまざまな分野で活躍する精神科医・名越康文氏による連載「一生折れないビジネスメンタルのつくり方」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。
どんな仕事であっても「自信を持つ」というのは大事なことです。「一件も契約を取れないんじゃないか」と不安ばかりの人と、「自分がいけば、必ず契約を取れる気がするぞ」という自信に満ちた人であれば、営業成績には自ずと差がつくでしょう。
成果が上がればますます自信がつき、成果が上がらなければ自信は失われていく。それを繰り返していくと、自信のある人とない人では、大きな差がついてしまうことになります。
アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です
では、その自信をつけるにはどうしたらいいのか? おそらく多くの人が「仕事での成功体験を積めば、だんだんと自信がついてくる」と考えているのではないかと思います。
もちろん、それである程度の自信をつけることはできます。でも、本当に「一人前」になるとか「独り立ちする」というレベルの自信をつけるには、まだ何かが必要だというのが僕の意見です。
というのも、客観的には着実に仕事をこなし、成果を積み重ねているはずなのに、どうしても自分の仕事に心の底から自信を持つことができない、という人が少なくないからです。

経験を積んでも「自信」が持てない理由

それなりに経験を積んでいるのに、なぜか自分の仕事に自信が持てない。そういう悩みを持つ人に話を聞いてみると、ある共通点に気づきます。それは、組織の上下関係が厳しく個々人の裁量権が少ない職場で働いている、ということです。もっと簡単にいうと、「言われた仕事だけをやる職場」だということですね。
そういう職場では、上司は部下に、「達成できそうな仕事」だけを与えがちです。なぜなら、上下関係が厳しい職場では、部下の失敗はそのまま、上司の責任でもあるからです。
だから、あいまいな指示ではなく「あれとこれをやれ」「ここから先はやらなくていい」というきめ細かな指示を与えます。そして、部下も余計なことはせず、言われた範囲で仕事をこなしていきます。結果、それほど大きな失敗は起きず、成果もそれなりに上がります。
しかし、残念ながらこうした上司・部下の関係性の中では、いくら仕事をしても、いくら成果を積み上げても、部下は自信をつけることができません。
なぜなら、こうした関係性の中では、部下は「ああ、この上司は、自分でもできそうなレベルの仕事を選んで私に与えているのだ」ということを、どこかで感じ取ってしまうからです。これでは、いくら成功体験を積んだとしても、なかなか「自分はやれる!」という確信に満ちた自信を持つことはできないでしょう。
「自分はやれる!」という自信をつけたければ、「言われたこと」だけをやるのではなく、自分で考え、自分で工夫する瞬間が不可欠です。この仕事は、自分がやりきったのだ、という感覚が、自信を育んでくれるのです。

現代人は「自信を持てない環境」にいる

「自分でやりきった」という感覚が、自信を育んでくれる。かつての職人や、小規模な農業では、自然と自分で考え、自分で工夫する場面があったので、仕事の中で自然と一人ひとりが自信を育む機会がありました。
しかし現代の会社組織における仕事では、なかなか自分で考え、自分で工夫する裁量を与えられる機会がありません。そう考えると、現代のような大きな会社組織の中で、いかにして自信を育むかということは、実は意外に困難な課題だということができるでしょう。
私がよくお伝えしているのは、実際に試行錯誤や創意工夫をする機会がなくても、仕事のなかで自分なりに「思いつく」ということを大切にする、ということです。
例えば、「明日までにAという書類を仕上げておいてください」という仕事を頼まれたとします。もしもマニュアルに従って、それまでとまったく同じ手順で、ほとんど同じ書類を仕上げただけでは、いくら仕事をこなしても、なかなか自信はついてきません。
それに対して、同じ仕事を命じられたとしても、「この書類の書体はこっちのほうが読みやすいんじゃないか」「この文面は、こうしたほうが説得力があるんじゃないか」という、自分なりの改善や工夫を思いつくことができれば、その人は着実に成長していきます。
実際には、せっかく思いついた改善や工夫も、職場のルールや上司の指示のために、実行に移せないこともあるでしょう。でも、そうやって「思いつく」ということ自体が確実にその人の力となり、自信となるのです。
この場合の「思いつく」は、なにも「前代未聞の大発見」である必要はありません。日々の業務の中でのちょっとした思いつきであっても十分です。
以前、行きつけの喫茶店に行ったときのことです。僕はそのとき外食が多くて、ちょっと野菜が不足気味で、ふと「スムージーが飲みたいな」と思いました。その店のメニューにスムージーがないということは知っていたのですが、駄目でもともと、店員さんに聞いてみました。するとその店員さんはちょっと考えて、こう答えてくれました。
「すいません、スムージーはご用意できません。でも、お野菜のサラダはご用意できます。サラダのドレッシングにはレモンが入っていて、さっぱりしていますが、いかがですか?」
僕のお願いは、普通だったら「スムージーはご用意できません」と断られておしまいです。店員さんのお仕事としては、ただ断っても、何も間違いではない。
でも、この店員さんのように、お客さんが何を求めているのか、なぜスムージーを飲みたいと言っているのか、ということをひと呼吸置いて考えてみる。「スムージーを飲みたいということは、野菜を取りたいんじゃないかな? さっぱりした味で、野菜をたくさん取りたくて……」と考えることで、
「サラダをすすめる」という、まったく別の角度の答えが見つかったわけです。
もちろん、スムージーが欲しいというお客さんに、野菜サラダをすすめることが喜ばれるかはわかりません。「サラダなんかいらないよ」と言われてしまうかもしれないし、シェフや先輩に「勝手なことまで答えるな」と注意されるかもしれません。
でも、少なくとも自分なりにお客さんの要望を受け止めて、工夫して、解決策を考えることは、その人の成長や自信につながることは間違いないでしょう。
僕はこの店員さんのご提案に従って、サラダを注文しました。レモンのかかった、やや苦味のあるサラダは、そのときの僕の体調にマッチして非常においしかったです。

生活の中に「リズム」を取り入れよう

「思いつき」を気軽に口にできる自分になるのは、習慣の力も大切です。そのことで思い出すのが、作曲家の久石譲さんからお聞きしたお話です。
久石さんは、だいたい3カ月周期で、毎日同じ練習曲を弾かれるのだそうです。それはある種の「儀式」のようなものなのですが、それをやらないと、数々のあのすばらしいメロディを創作する準備が整わないということなのだと思います。
久石さんといえば、映画『千と千尋の神隠し』など、ジブリアニメのテーマソングで有名ですが、映画音楽をはじめとして数えきれないぐらい多くの作品を生み出されている、超一流のクリエイターです。そういう人がアイデアを思いつくために、ある種の「習慣的な儀式」を大切にされているということに、私は強い印象を受けました。
「儀式」というと大げさかもしれませんが、大事なことは「毎日」「一定の何か」を繰り返す、ということです。ジョギングでもいいし、水浴びでもいいし、ヨガでもいい。とにかく毎日繰り返す。そうすると、生活の中にリズムが生まれてくる。
そうやって生活のなかにある種の「リズム」ができると、自分でもあずかり知らない「どこか」からアイデアが降りてくる。「思いつき」が降りてきやすくなるのだというのが、僕の考えです。
し前に、ラグビーの日本代表の五郎丸選手がキックの前に行う儀式(ルーティン)が話題になったことがありました。習慣的な儀式によって、メンタルが揺れ動かず、集中を高め、パフォーマンスが上がるということは、スポーツの分野ではたくさんの実例があるようです。
仕事の場合も、おそらく同じです。タイミングよく「思いつき」が出る人というのは、しっかりとした習慣を持っている人なんです。
「思いつき」が歓迎される職場と、そうでない職場というのがあります。その違いは、「会議」を見るとすぐにわかります。「思いつき」を気軽に口にする人がいない職場の会議は退屈で、憂鬱です。それも当然です。過去のデータや、それまでの話の流れに沿った「意味のある発言」ばかりだと、予想外の展開がどこにもないからです。
一方で、「今、思いついたこと」や「空気を読まないひと言」を平気で口にする人がいる会議は、楽しく、議論が活性化します。そして、そういう会議に出ている社員は、どんどん成長し、自信をつけていきます。
なぜなら、人は「なぜ、こんなことを思いついたんだろう?」と自分でも不思議になってしまうような言葉を発した瞬間に、本当の意味で「自分はやれるぞ!」という自信を持てるようになるものだからです。
「思いつき」が飛び交う会議は、人の自信を育む、最良の場なのです。

成果なんて気にしなくてもいい

「思いつき」が大事にされる場所というのは、言い換えれば、何を言ってもひとまずは否定されない、安心できる場だと言い換えてもいいでしょう。人はそうした、安心できる場を持たない限り、自信を育むことができません。
仕事というのは、わかりやすい成果が上がるときばかりではありません。そもそも、現代の人間の仕事はあまりにも細かく分業化が進んでいるので、自分の仕事がどこまで役立っているのか、どう成果につながっているのかということが、非常に見えづらくなっています。
成果が見えにくいなかで仕事をしていると、私たちはどうしても、焦ります。そうすると、売上など、目に見えやすい、わかりやすい指標で一喜一憂してしまうことになります。これでは仕事のなかで安心できる時間を持つことができず、「思いつき」を口にするゆとりがなくなってしまいます。
不謹慎に聞こえるかもしれませんが、本当の自信をつけたければ、成果が上がっても、成果が上がらなくても大丈夫なんだと、心から安心できる部分を自分の中に持っておくことが必要なのです。
以前、旅先で会津磐梯山の姿を見たとき、僕はなんだか、心の底があったかくなるような、ほっとする感覚を覚えました。磐梯山の雄大な稜線を眺めていると、なんだか仕事がうまくいこうと、うまくいかなかろうと、たいしたことではない、というゆとりの感覚が生まれたのです。
故郷の景色、子供の頃に行った海水浴のときに浴びた太陽の日差し……、誰もが心のどこかに心から安心できる場所を持っているはずです。自分自身が安心できる場所を心の中に持っておくこと。それがあると、目先の成果にとらわれずに「思いつき」を口にできるようになります。実はそれこそが、「自信」を手にするいちばんの近道なのかもしれません。

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