四季の詩

今年もあと一年…頑張るか。

追憶

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ささやかな抵抗

                                                                                                                                                                          


 猫たちの世話は誰がする…

 毎日欠かさず俺がするから…

 庭の手入れは出来るのか…

 春になったら必ずやる…

 無精者に出来るかなぁ…

 やるって言ったら必ずやる…

 どうしても行かねばならぬのか…

 何で一緒に暮らせない…



   押し問答は限りなく

   心を鬼にするしかない



 頑なに耐えた 住み慣れし家

 もはや限界 ここが潮時

 意を決しての ささやかな抵抗

 その決別に 心が痛む

 その半生に 頭が下がる

 超えられなかった 母の生き様

 最後まで…

 何も説けない おのれを恥じる



   野良猫に愚痴る 母がいた家

   紫陽花と語る 母がいた家

   わび切れない 母がいた家











                                  

最後の後始末

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 他界してから一年が過ぎた
 
 今でも手つかずのまま残る書斎
 
 読み耽るお方が…まだ居るようで
 
 

 観念論とは何…

 唯物論とは何…


 問いかける私に


 どう解するかは…見つめ方だ
 
 どう生きるかの見つめ方を間違うな…
 
 

 激しき時代に生きた方
 
 己に素直に生きた方
 
 

 型どおりの一周忌が過ぎました。
 
 そろそろ片づけても宜しいでしょうか?
 
 この書の始末はどうします?
 
 捨てますか? それとも…どなたかへ差し上げますか?
 
 それが私の後始末なんです。
 
 

 
 
 
 

我に愛でる資格なし

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 いく歳月を眠っていたのか
 
 「六角堂」が戻ってきた
 


 現実とは不公平なものよ
 
 天心の庵(いおり)は津波にさらわれ
 
 五浦の海底へと その姿を没した
 
 だが…時を同じうして

 押入れの中から飛び出してきた
 
 わが家の「六角堂」
 


 あの震災が招いた滑稽な出会い
 
 この絵の作者に

 我は長き忘却の詫びを述べつつ
 
 天心の不幸に同情する
 
 
 
 さて…
 
 我にこの絵を愛でる資格はあるのだろうか…?
 
 
 
 
 
 
 
 
 震災により家屋の取り壊し、建て替えを決意したのが八ヶ月前。
 
 棄てられる物はすべて思い切りよく処分することにした。
 
 思い出深い品々も、すべて「老人整理」の名の下に、我は心を鬼にした。
 
 

 この絵画は押入れの中を整理中に発見した。
 
 記憶をたどれば…とある人からの無理強いに応じて所有したものである。
 
 絵を愛でる資格など元来持ち得ない我の性格。
 
 それにしても…何十年も押入れの中とは…あまりにもの己の無粋に失望している。
 
 

 岡倉天心が四季折々に眺めたであろう五浦の海景色。
 
 あの六角堂「観瀾亭」も津波被害によって消失した。



 うがった見方をすれば…現実とはあまりにも滑稽で不平等である。

 同じ震災をきっかけに、わが家には六角堂「観瀾亭」が戻ってきた。
 
 解しかたはいろいろあるだろうが…。

 果たしてこの絵を愛でる資格が我にあるのだろうか?
 
 今でも私は、その絵の所有に躊躇している。
 
 
 
  
 
 注…亀井秀行「晨・五浦」
 
   タイトル「晨」とは、この絵を幻想するとき「よあけ」「あした」と私は解している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

中也と遊ぶ…「骨」

 
 
 
 
  遠い昔と あそぶ歌
 
  自己満足に… つぶやくように…
 
  中也の心 推し量る
 
 
 
    ♪ ホラホラ、これが僕の骨だ

      生きてゐた時の苦労にみちた

      あのけがらはしい肉を破つて
   
      しらじらと雨に洗はれ

      ヌックと出た、骨の尖(さき)

 
 
  意味もわからず 口ずさむ 
 
  暗い酒場で… 酔いにまどろみ…
 
  ちょうど人の世 けなすよう

  
 
    ♪ ホラホラ、これが僕の骨

      見てゐるのは僕? 可笑しなことだ

      霊魂はあとに残つて

      また骨の処にやつて来て

      見てゐるのかしら?   
 
 
 
  明日のわが身は 風まかせ 
 
  今宵ひととき… 中也と遊ぶ…
 
  裕ちゃん気取って 落ちてゆく
 
 
 
    ♪ 故郷(ふるさと)の小川のへりに

      半ばは枯れた草に立つて

      見てゐるのは、――僕?

      恰度(ちやうど)立札ほどの高さに

      骨はしらじらととんがつてゐる
 
 
 
 

 すすめられてマイクを握るとき、私は裕次郎を歌うことが多い。
 
 若い頃の感傷が鮮明によみがえって来る。
 
 中でも…この中原中也の描いた「骨」と云う歌が、最近の私の定番になっている。
 
 中也がこの詩の中で、何を語っているのか…何を叫んでいるのか…私には推し量れない。
 
 それでも、何か共有できるものが隠れているような気がするのだ。
 
 とても正気の沙汰では歌えない難解な歌である。
 
 何かに向かってほざくように…けなすように…捨て鉢な気分になって私は歌っている。
 
 まるで自分自身につぶやくよう…私なりの「骨」と遊んでいる。
 
 酔客とは可笑しなものよ(笑)。
 

 

 

 
 
 
 
 おい…ミツ。 ちょっと後の席を見てみろ。
 
 あの野郎…どっかで見たことねぇか?
 
 ん? どれどれ…。
 
 おっ! 親父ぃ…あいつは息子のカズヒロだよ。
 
 そうだよなぁ。 カズヒロだよなぁ…。
 
 親父…モウロクしたねぇ。 もう孫の顔も思い出せねぇのかよ? 

 ん…。 しばらく会ってねぇからなぁ…。


 それにしてもカズヒロの野郎。 相変わらずデカイ声だな。
 
 ほんと…。 誰に似たのか…。
 
 何を知っ高ぶりして、あんな大声で喋ってんのかなぁ?
 
 ほんとだ…。 まったく…えらそうに…。
 
 ミツ…ああ云うところは、お前ぇの若い頃に似てるかもよ。
 
 いやいやあの声のデカさは、やっぱり爺さん…あんたゆずりだよ。
 
 そうかなぁ…。 血は争そえ無ぇって云うからなぁ…。


 それにしてもカズヒロの野郎…俺たちの悪い所ばっかり似やがったな…。
 
 いいって事よ…ミツ。 それだけ元気だってことだわなぁ。
 
 あの野郎…まったく成長して無ぇなぁ…。

 ミツ…気にすんな。 ガキはいつまで経ってもガキよ…。
 
 そうか。 それじゃ知らんぷりして放っとくか…。
 
 そうそう。 久しぶりにガキの馬鹿話でもゆっくり聞いて行くべぇ。
 

 ところで親父。 あんたは相変わらず呑むのが早いなぁ…。
 
 当たり前ぇよ。 酒なんかチビチビ呑んでたら男がスタるわな!
 
 いいから…今日ぐらいゆっくり呑めよ。 時間はくさるほど有るから…。
 
 それもそうだな。 俺たちにゃ時間は無いようで有り過ぎるか。
 
 そう…。 これからは永遠に続くから…。
 
 でもよ…。 ゆっくり呑んでたら、またトメ婆さんに「帰りが遅ぇ〜!」って怒鳴られるかも…。
 
 大丈夫だって。 今夜はカズヒロも一緒だったって言えばいい…。
 
 そうかぁ! カズヒロのせいにすればいいかぁ〜!

 そういうこと…。
 
 ミツ…。 相変わらずお前ぇの悪知恵は鋭いねぇ。

 いやいや。 あのカズヒロより…ちょっとマシくらいだよ。
 

 おっ! 親父ぃ見てみろ…。 カズヒロの野郎…マイクなんか握りやがった。
 
 何だ? まさか歌でもやんのか?
  
 そうらしい…。 親父、酒が不味くなるかも…。
 
 あっ! あの野郎やり始まった! それにしても…ひどいドラ声だねぇ…。
 
 ほんと! 気持ち悪いったら有りゃしねぇ! 誰に似たんだ…あのひどさは…?

 ミツ…それはお前ぇだよ!
 
 否! あれは絶対に親父だ!

 ふざけんな! 俺は歌なんか唄ったこと無ぇ!
 
 嘘つけ! いつも仕事帰りに一杯呑み屋で唄ってたろ!

 ミツ! お前ぇ何で知ってる?

 あの頃…親父の帰りが遅いから、おふくろに言いつけられて俺が迎えに行ってたの!
 
 …………。
 
 いつも割り箸で小皿叩いて、馬鹿みたいに調子こんで唄ってたろ!

 …………。
 
 ひどかったよなぁ…あの歌は。 今思えばあれは歌じゃ無ぇよ!
 
 

 おいミツ! そろそろ帰ぇるぞ!
 
 何でまた…? まだカズヒロが唄ってるのに…。
 
 うるせぇ聞けるか! あんな歌! 酒が不味くなる!
 
 親父ぃ…昔の自分を思い出したのか?

 違う! ガキと遊んでる暇は無ぇってことよ。

 暇…? ……仕方が無ぇ…じゃぁ帰るとするか。
 
 
 姉さん! 勘定は今唄っている奴に付けといてくれ! 
 
 何だ…。 「あなた方はどなたさんですか」だと…?
 
 野郎に聞かれたら…「あんたの親父と爺じぃ」だって言えばいい!
 
 俺たちゃ金なんか持って無ねぇから…。

 あの世じゃ金は要らねぇのよ…。
 
 それから…もう一言…。

 あいつに「歌の腕もう少し磨け!」って言っといてくれ。
 
 うるさくて「呑んでらんねぇ!」って言っといてくれ。

 出来なきゃ「こっちの世界にゃ絶対に入れてやらねぇから」って伝えてくれ。
 
 

 「おい! ミツ! もう帰ぇるぞ!」
 
 「ほいきた! それじゃぁカズヒロよ。 サイナラ…」
 
 
 
 
 

 
 
 

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