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 私たちを乗せたWAB鉄道の登山列車は緑の牧草地を駆け抜け、さらに下っていく。
人を寄せ付けないような広漠とした雪と岩原の世界、そして広大な緑の丘の牧草地を走っていたが、やっとこの辺りから人間の生活圏に入る。
伝統的なスイスの山小屋風の家が建ち並ぶ、ヴェンゲンの村だ。

 ここはベルナーオーバーラントの中でも最もユングフラウに近い村として人気がある。
圧倒されるほど巨大なU字谷ラウターブルンネンのちょうど頂上部に位置し、冬はスキー客でも賑わう。
この駅から列車はさらなる急勾配を、谷の上から谷底までU字谷の側壁を縫うように下っていく。
大小カーブの連続、勾配はさらにきつくなる。
そして車窓からの景色もさらにダイナミックに、さらに美しくなっていく。

 ユングフラウは間近で見るといかにも猛々しく男性的で、とても名前の“乙女”というイメージからかけ離れているが、こうして距離をおき少し遠くから眺めると、その巨大な峰は艶やかさをさらに増し、より魅力的に見える。

やはりご婦人は近づきすぎず、遠くから眺めるのが一番ということだろうか。




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