|
マッターホルンが望めるゴルナーグラートも十分堪能したことだし、列車で下山することにした。 まだ明るいが、これで午後4時ごろである。 ツェルマットまで降りるのに45分ほどかかるから、それなりの時間なのだ。 まったく、ヨーロッパの夏の昼の長さには最後まで惑わされっぱなしだった。 乗り込んだ下りの列車はマッターホルンを横目にどんどん下ってゆく。 実は、この辺りにはハイキングコースがたくさんあって、徒歩でも下山できる。 特に途中駅のロ−テンボーデンからリュッフェルアルプまでの2駅分は氷河を横目に下る、絶好の登山道らしい。 日もまだ高いことだし、ユングフラウヨッホからの帰りの時みたいに小一時間ぐらいハイキングしたくなってきた。 しかし、窓から見える景色はひたすらに雪原が広がっている。 ちょうど車掌さんが来たので、雪があるけどハイキングできるか聞いてみたら、「絶対やめとけ!」と言われてしまった。 しょうがない、この辺りはユングフラウのコースより雪融けが遅いようだ。あきらめることにした。 ツェルマットまで降りてきたら、雪は完全に融けていた。 この辺りだったらハイキングできたかもしれないが、ちゃんとしたハイキングマップを持ち合わせていなかった。 こんなことなら、最初に駅前のインフォメーションでハイキングマップもらっておけばよかった。 ヨーロッパ個人旅行の要であるインフォメーションセンターを、この時はまだ十分活用できないでいた。 |
スイス・ツェルマット
-
詳細
コメント(10)
|
マッターホルンを望むゴラナーグラートで出会ったもう一つの動物。 皆がランチを終えて、ポカポカ陽気に誘われてテラスでうとうとしだしたころ、なにやら黒い鳥がやって来た。 キバシガラス[Pyrrhocorax garculus]だ。 この鳥はカラス科に属するカラスの一種だが、アルプスからヒマラヤにかけての高地に生息し、名前の通りくちばしが黄色いためカラスのくせに人気があるらしい。 緑も生えないこの標高3000mの高地で何を食べて生きているのだろうと思うが、少なくともここの連中はここのレスランのおこぼれにあずかっているらしい。 その証拠に、一羽、また一羽と数がどんどん増えていく。 誰もパンのかけらひとつ与えないのに、柵の上でじーっとしていた。 マッターホルンをバックに面白い画なので撮ってみた。 |
|
快晴のマッターホルンを見渡せるグルナーグラート。 標高3000mでの食事の後、さすがに高度が高いだけあってウトウトと眠気が襲ってきた。 風は冷たいが、同時に最高のポカポカ陽気。 20分ほどレストランで寝入ってしまった。 目が覚めて柵からゴルナー氷河に目を下ろすと、なんとシュタインボックがいた。 シュタインボックはアルプスに住む野生の山羊。 アルプスの少女ハイジでは「大角のダンナ」と呼ばれていた。 季節によってはぐるりとアンモナイトのような巨大な角をもっているが、目の前の彼はまだ生えかわったばかりの若い角を持っていた。もしくはメスか、はたまたまだ若いのか。 レストランにいた何人かも彼の存在に気づいて、皆で見ていたが人馴れしているのか、逃げる様子もない。 丸太をくり貫いた水飲み場で優雅に水を飲んでいた。 |
|
さて、そろそろランチにすることにした。 このグルナーグラート展望台には天文台とホテルとレストランが併設されている。 好きな人はこのホテルに泊まって夕暮れ、そして朝日を浴びたマッターホルンを眺めることが出来る。 レストランはテイクアウト方式で好きな皿を取って清算する。 この日、私はソーセージ、妻はミネストローネを食べた。 スイスはドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏が混ざっているのでそれぞれの料理を楽しむことが出来る。もちろんアルプス地方の料理も。 ここツェルマット付近はドイツ語圏なのでソーセージ大きくては当然おいしい。 フライドポテトも山盛りなのがうれしい。 ビールもおいしかったが、標高3000mの高地だけに酔いがすぐにまわる。 水はツェルマットの駅前にあった生協で買ったミネラルウォーター。 屋内でも食べられるが、当然外で食べた。 マッターホルンとゴルナー氷河の絶景を見ながらのランチ。最高の贅沢だった。 食事が終ると、眠気が急に襲ってきた。 なにせ日本を出てから、パリ、ベルギー、オランダ、スイスと馬車馬のように駆け回ってきた。 風は冷たいが、ポカポカ陽気に空気が薄いのも手伝って眠りに落ちてしまった。 今までにしたくても出来ないような、とても贅沢な昼寝だった。 |
|
ゴルナーグラート展望台(3089m)付近を散策している。 ユングフラウヨッホ(3454m)より標高が360mほど低いとはいえ、やはり酸素が薄いことにはかわりない。 雪原を歩いたり岩場に登ってみたりするとすぐに息が切れる。 空気も肌に刺すように冷たい。と同時にあまりの晴天の上に太陽が近いせいかポカポカもしている。 暑いんだか寒いんだかわけがわからない。ただ汗ばむほどでもない。
ちょうど12時になったが、レストランを覗いてみると軽い行列ができている。
昼食は少し時間をずらすことにして、再び下に下りてゴルナー氷河を覗きこんでみた。やはり何度みても身震いするぐらい壮大で美しい。 地球温暖化のせいで、この氷河も将来縮小したり消えてしまうのだろうか、もうすでにかなり融け始めているのだろうか。 クレバスに溜まった蒼い水を見てぼんやりそんなことを考えていた。 次にくる時には、もうこの景色は失われているかもしれない。 そう思って、この壮大なパノラマをしっかり脳裏に焼き付けることにした。 |


