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アムステルダムの町を歩いてみる。 この町は駅を中心に、通りと運河がクモの巣のように放射状に広がっている。 やはり運河が張り巡らされている町というのはいい。水は景色に彩を添えてくれる。 町並み自体は、切妻タイプの6階建てくらいの建物が、運河沿いにびっしりと隙間なく建てられている。 レンガつくりで色もデザインも風格がある。ライデンの町並みはおとぎの国のようでかわいらしかったが、アムステルダムのそれはもっと渋くしたような感じだろうか。
その家である建物をよく見てみると、ほとんどが運河や道路側に少し傾いて建っている。
ピサの斜塔のように地盤が悪いから傾いてしまったのか、はたまた欠陥住宅か?いや、そうではない。この傾きは意図的に造られているのだ。 こうすることにより家具を壁に当てて傷つけることなく、窓から部屋に入れられる。 実はオランダ人は世界でも有数の家具好きな民族である。 フランス人が人生の時間と金を美食とワインにつぎ込むように、オランダ人は家具にその情熱を注ぎ込むと言われる。 実際、オランダ製の家具を見てみると、ガッチリとしていて、実用本位で実に使いやすそうだ。 ただ問題は、オランダの町の建物は玄関や階段が非常に狭く、大きな家具を運び入れることが大変に難しい。 そこで建物を少し傾けて建てておき、軒下に梁を飛び出させてそこにウインチやロープを引っ掛けて、船で運んできた家具を吊るして窓から部屋に入れるのである。 オランダ人にとっては、まず家具ありき、その上での家なのだろう。
この町の別の特徴は、その自転車の多さである。
とにかく多い。道や運河沿いは駐輪している自転車で埋め尽くされている。路地が多いので自転車のほうが便利ということもあるだろうが、なによりこの国は世界最先端のエコ大国だ。 車を極力使わないことで二酸化炭素の排出量を抑えたいのである。 オランダはネーデルランド、つまり“低地の国”である、実に国土の1/4が海抜より低い。 地球温暖化による海抜の上昇にもっとも危機感を抱いているのは当然であろう。 そのためオランダでは自転車の使用が奨励されており。国中にサイクリングロードが整備され、電車にも自転車を持ち込むことができる。そのための自転車専用車両が列車にはたいてい付いている。 町の中心であるダム広場に行ってみた。
ヨーロッパの他の名だたる広場に比べると華やかさはないが、石畳でやはり広い。 ここはその昔、アムステルダム川をせき止めるためにダムが造られた場所。“アムステルダム”の語源となった場所である。この干拓事業からこの町の歴史が始まっている。紛れもないこの町の中心地だ。 特に広場の東側には、白い『第二次世界大戦戦没者記念碑』があり、その周りは若者でごった返している。 階段でのんびりと本を読む学生、記念写真を撮るアジア系の若者たち、カップル…。 みな思い思いの時間をゆっくりと過ごしていた。 |
オランダ
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ボロイとはいえ、なんとか今夜の宿も決まったことなので、荷物を置いて軽装になってホテルを出た。 時間はまだ午後3時。夏のヨーロッパはまだまだ日が長いので、アムステルダム郊外へ風車を見に行くことにした。 観光客でごった返している大通りを経て、再びアムステルダム中央駅に戻ってきた。 今から行くのはザーンセスカンスというところ。 アムステルダムから15キロほど外れたところにある水郷地帯(この辺りはみんなそうだが)だ。 イメージでは、オランダには国中のあちらこちらに風車が回っていそうだが、実はそうではない。 確かに昔は、あちこちで羽を回して水を海や運河にかき出す姿を見ることができたようだが、現代ではその役目は電動ポンプに取って代わられている。 そのため存在価値がなく、風車守もなく、維持費もかかるオランダの風車は次々と姿を消していった。 現在ではその観光価値が認められ保存運動が進められているが、今、群体としての風車の景色が見えられるのは、世界遺産に登録されたロッテルダム郊外にあるキンデルダイクと、今向かっているアムステルダム郊外のザーンセ・スカンスぐらいらしい。 我々が乗った普通電車は、オランダの空の玄関スキポール国際空港の真横を走って約20分ほどで最寄り駅のコーフザーンダイク駅に到着した。 しかし降りてみると、まったく普通の駅。観光地らしい看板もインフォメーションもない。 ガイドブックにも地図すら載っていないので、車窓から見た景色を元に、勘でそれらしき方向に歩いてみた。 しかしどう見ても辺りはただの住宅地。本当にここでよかったのか不安になったころ、家と家の間から運河が見えた。行ってみると景色は一変。 ただの住宅地の向こうには湖のような広大な運河と風車群の風景が広がっていた。 これこそまさに求めていたオランダの風景! 風車はこちらの町側に2基、緑が茂る対岸側に6基ほどがあった。 向こう側に渡る車道も跳ね橋で、もう使われていないんだろうな、と思っていたら突然ベルが鳴り出し、信号が赤に変わり、ゆっくりと巨大な橋が跳ね上がっていった。そこに中型船がゆうゆうと通過していった。 まったくの現役だった。 この風車たち、中はお土産屋さんや風車の博物館になっている。
外見はそのままに、内を改装して住宅になっているものもある。 いずれにしてもこれらオランダの象徴とも言うべき風車をこれからも保存し続けてほしいものである。 |
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路地で出会ったにゃんことお別れして、再びホテル探し。 だいたいどこの首都でもホテル代をはじめとする物価は何でも高いものだが、それにしてもアムステルダムのホテル料金は高い。 ヨーロッパでも屈指の観光都市だけに数はあるのだが、なかなか私たちの予算に見合うものが見つからない。 あっても、非情にもすでに"Full"の張り紙。 そしてトラムが走ってる大通りで、やっと適当な料金のホテルを見つける。 HOTEL TAMARA、典型的なオランダの、5〜6階建ての幅の細い建物だった。 せまい階段を上がって2Fにあるフロントへ行く。 安ホテルだけにロビーはせまく、談話室も若者のたまり場らしい雰囲気が漂っていた。 どうも家族経営らしく、おじいさんがソファーに座ってのんびりしている傍ら、トレーナーを着たお母さんたちがあわただしく掃除をしていた。 細かいことは気にしないご家族らしく、部屋のレイアウトも掃除具合も、大雑把だった。 安いとはいえ、部屋はあまりきれいそうでないのでどうしようか相談していたら、かわいらしい泣き声が・・・ にゃんこだ!! しかも茶トラの白いお腹!!! うちの愛猫チョビとそっくりだったのでビックリした。そしておもいっきり顔が緩んでしまった。 おじいさんに聞くと名前はジンジャー。男の子だった。 もう、部屋のきれいどうのこうのどころではない。彼の姿を見て「泊まります!」と即決してしまった。 部屋は5階。エレベーターなどない。
鍵を渡され狭い狭い階段を荷物を担いでオッチラ、オッチラと登る。 壁や柱は全てオランダのシンボルカラーのオレンジで塗られている。 変に小奇麗なホテルよりもよりオランダ的かな、と妙な納得をして部屋へ。 扉を開けて、「ふぅ〜ん・・・」 屋根裏部屋で、いかにもなにかの映画か物語りに出てきそうな部屋なのだが、やはり予想にたがわず汚かった。 床のタイルカーペットは貼ってあらず、ただ不規則に並べられている。 シーツも少し黄ばんでいる。部屋もなんかタバコ臭い。 紛れもなくこの旅、いや今までに国内外を問わず泊まったホテルで最悪のものとなった。 でも最悪を経験するのも思い出か、と思い、最悪を経験すればこの先は何でも我慢できるか、とも思い、変な納得をする。 とりあえず荷物を置きベッドに横になってみる。 ギシギシギシ・・・ すごい音がした。 それでも、夜にジンジャー君が遊びに来てくれたらいいなぁ、なんて幸せなことを考えていた。 |
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キュケンホフ公園で美しい花々を十分楽しんで、再びライデン駅に戻ってきた。 ちょうどお昼だったのでランチにすることにした。 オランダはフランスのようにグルメな国ではないので、地元料理レストランはあまり期待できない。 反面、こういう国はアメリカやイギリスもそうだが,屋台や軽食堂で食べられるような、いわゆるB級グルメがうまい。 案の定、駅前はランチを売る屋台でいっぱいだった。 オランダといえば、以外に思われるかも知れないが、ハーリング、つまり「ニシン」なのである。 なにせ、オランダ、ベルギー、フランス、スカンジナビア諸国の北海沿岸部地方の人々はこのニシンを生で食べるほどのニシン好きだ。 オランダの名画などでも描かれているが、3枚におろした生ニシンの尻尾をつかんで、そのまま口を大きく開けてほおばるのが現地流の食べ方らしい。 当然のことながら、ライデン駅前の屋台でもこのニシンは売っている。 オランダの食べ物でだいたいポピュラーなのは、フィシュ&チップス、生ニシン、生ニシンのサンドイッチ、ムール貝のフライ、ヒラメのフライ、フレンチポテト、といったところだろうか。 あと、コロッケは自動販売機で買う。オランダでは普通のことらしい。 みなビールのつまみみたいなので、ハイネケンと幾つかたのんで食べてみた。 生ニシンはレモン汁がかけてあり、生臭くはなく、おいしかった。 ただパンにサンドしてあったので、パンとの相性は…、どうだろう? いくら刺身好きの日本人の私でも、刺身をパンにはさんで食べたことがなかったので、不思議な感じがした。 食べなれるともっとおいしく感じるのかもしれない。 食事を終えて、列車に乗っていよいよアムステルダム入りする。ライデンからは40分だ。
アムステルダムに着いてまず驚いたのは人、人、人、駅前の中央のとおりは人であふれていたことだ。 ヨーロッパの街らしからぬ人ごみだが、ほとんどが、他の国から来た観光客のようだ。 ライデンとのあまりの雰囲気の違いに改めて驚く。 さて、人ごみをかきわけてホテルを探す。 まだ昼過ぎだというのに、駅前の安ホテルは軒並み満室だった。 5,6軒あたってみて、この通り沿いは絶対無理と確信し、隣の通りに行ってみることにした。 疲れがみえはじめたころ、なつかしの姿が私たちの前を横切った。 ネコだ! そういえばヨーロッパに来てから、パリでもブリュッセルでもネコは見かけなかった。 思わずホテル探しを忘れてネコをかまう。 飼い猫らしく、むこうもゴロゴロと甘えてきたので抱っこしたりして、日本においてきた“ちょび”を思い出す。 アムステルダムの街角で、久しぶりに癒された瞬間だった。 |
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オランダ屈指の花の公園、キューケンホフにいる。 池のほとり、噴水の周り、スクエア形の花壇など、様々なスタイルでチューリップをはじめとした色々な花が美しく植えられているが、やはり印象的だったのは公園の中央に広々と横たわっている森だろう。 ゲルマンの森をイメージしていると思われるが、ドイツにある“黒い森”のようにうっそうとしているということはなく、そこは観賞用で中央には小川のせせらぎ、芝生とセンスよく配置された花壇、そして心地よい間隔で植えられている木々、と癒の空間でデザインされている。 息を飲む美しさだ。 このキューケンホフ公園、年中開いているわけではない。
花の公園だけあって開園は3月から5月限定だ。 ただその期間中は、チューリップは絶えず植え替えられ、いつも満開の状態を楽しめる。 さらにここのいいところは、この周りが一面のチューリップ畑ということだ。 今回私が行ったのは5月下旬だったため、畑のチューリップはすでに収穫後でただの土色の景色だったが、4月ごろなどはまさに“お花のじゅうたん”状態らしい。 ここもオランダらしいオランダの景色を味わえる、一粒で二度おいしい場所なのだ。 |



